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第19話水の姫巫女の中の人

 そんな光の巫女との出会いもあって、すぐに戻るつもりがもう少しだけこの三人で話をする事に。


「そういえばシャイニーさんは先程の話聞いていたのですか?」


「み、水の姫巫女さんの中の人が男の人だなんて話、わ、私聞いていません」


 どうやら聞いてしまったらしい。というか中の人って着ぐるみじゃないんだから。


「というかあなたも見えるのでしょ? 巫女に宿っている魂が。だからその質問も野暮じゃないかしら」


「たた確かに見えますけど、それがハッキリと男の人のものとまでは……」


「どうやらわざわざ尋ねなくてもよかったみたいですね」


「つまりそういう事。私達は姫巫女として遠く離れていても繋がっているのよ。だからもしもこの先、何かあったら助けにだっていけるの。そうやって私達はお互いを支え合って来た。あなたは結構複雑な気持ちかもしれないけど頑張って。私達が付いているから。まあ約一名例外はいるけど」


「分かりました。困った時は皆さんを頼りにさせてもらいます」


「わ、私だって駆けつけますからね」


「ありがとうございます」


 どうやら俺には常に頼もしい味方がいるらしい。これならこの先もやっていけるような気がした。勿論頼ってばかりではいられない。俺だって彼女達の力にならなければならないのだ。つまりグリアラが言いたかったのは、困った時はお互い様ということらしい。


「で、ここからはちょっと話が変わるんだけど。ミスティアさんに、というより中の人に聞きたいのだけど」


「な、何でしょうか?」


 突然ミスティアにではなく俺自身に話しかけられ、ちょっとだけびっくりしてしまう。というか中の人ってって呼ぶのやめてほしいのだが……。


「元々男だったあなたが突然女になった時って、どんな気持ちだった?」


「あ、それ私も聞いてみたいです」


「そんなの答えは一つに決まっているじゃないですか」


「なになに?」


「せめて男として死んだなら、男として生まれ変わりたかったですよ」


『ですよねー』


 ◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

 その後三人で会場に戻ると、既にパーティーは終わりの雰囲気が出ていて、俺の帰りを今かと待っている様子だった。


『おいおいあれって』


『森の姫巫女と光の姫巫女じゃない』


『まさか知らない間に三人が密会していたとは』


『どんな事を話していたのかしら』


 でもその帰りが森の姫巫女と光の巫女と一緒だった為か、戻った後も少しだけ騒がれていた。


『それではそろそろ記念パーティーをお開きにいたします。皆様お疲れ様でした』


 そんな雰囲気を残したまま、進行がパーティーの終わりを告げる。パーティーが開催されてから二時間。俺にとってはかなり濃い内容となった記念パーティーだった。

 

 皆がぞろぞろと帰り始める中、未だに帰る素振りを見せない巫女二人に、俺は話しかけた。


「あれ? お二人とも帰らないのですか?」


「か、帰ろうと思ったんですけど……」


「けど?」


「実はちょっと困った事が起きたのよ」


 ここでグリアラがしかめた顔で帰れない事情を説明する。


「え? お二人の国が異常気象に見まわれて、帰りの馬車が出せなくなったのですか?」


「そうなのよ。元々光の姫巫女と住んでいる国が近いというのは知っていたんだけど、まさか二人とも足止めをくらうなんて思いもしなかったわ」


「さ、最近私の国でも何故か異常気象が増えているんです。原因を今究明しているのですが、なかなかうまくいかなくて……」


 二人の国で起きている原因不明の異常気象。それが最近のものだとしたら、ウォルティアで頻発している揺れと何か関係でもあるのだろうか? とにかく今は原因を究明するよりも、帰れない二人をどうするか、だ。


「どうかされましたか巫女様。森の姫巫女様と光の姫巫女様もご一緒になられて」


「あ、セリーナさん。実はですね」


 何かいい案はないかと思い、セリーナに事情を説明してみる。


「うーん、確かにお二人がお住まいになられている、グリーンウッドとセイランスが異常気象に見まわれているという情報は先程耳にしましたが、お二人が帰ることが出来ないとなると困りましたね」


「そうなんですよ……。何かいい考えありませんか?」


「それでしたら一ついい案がありますよ」


「本当ですか?」


「十分ほどお時間を頂いた後、巫女様の部屋に来てください」


「分かりました」


 そう言うとセリーナは俺の元から去っていった。セリーナが去った後、二人にその趣旨を伝える。


「という事だそうです」


「そ、それってつまり……」


「しばらくここに泊まりなさいって事じゃないかしら」


「あ」


 しかも俺の部屋に来いってことは……。


 十分後。


「セリーナさん、これって、その、あれですよね?」


「はい。姫巫女三人で仲良くお泊まりしましょうって事です」


 見事に水の姫巫女の部屋は、三人が寝れるように整備されていた。しかもご丁寧に布団が三式綺麗にくっつけられているし。


(いくら女の体でも、このシチュエーションは理性が保てるか不安になるぞ)


 それに他の二人だって、当然反対のはず。


「いかがですか? 御三方」


「とてもいいと思う。私こうやってくっついて寝るの憧れていたのよ」


「な、何かお友達と寝るみたいで、楽しそうです」


(って、ノリノリかよ!)


 二人とも、いくら見た目が女とはいえ、中身が男であるのを忘れてないか?

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