傷の深さ
注意 読んで気分が悪くなる表現や残酷な描写があります。
ご注意ください
指を噛みきってさえ
欠けたなんて思わない
病気だって当てはまりそうな
症状だって何も変えない
苦しい理由は逃げたいだけで
悲しい理由はわがままで
わかってくれる人なんて
わかりたくもないのに
かげろうを追いかけて
くたばってしまいたい
木々のざわめきにおぼれて
儚くなってしまいたい
空いた傷を埋めるものは?
成功事例を聞かされたって
同じ教師にはなれないし
とばされてしまった夢は
戻ることに疲れてしまった
叶えたい思いは否定されたまま
くすぶる火種も消えていく
笑って頷いて「大丈夫」
信じたい人もいない
泣いた心をさらす人を作れない
固まって裏返って砕け散った
透明な教科書が嘲笑う
「無能もの、生きる道も知らないで」
恋を知らず愛を受け入れられず
空に焦がれ風に叫んだ
届かない歌はもう歌えない
手首を切ってさえわからない
「死ぬな」とは誰のエゴ?
幸せと不幸の意味を知らないままでいい
生きている価値など誰にもない
値段をつけるのは物好きだけだ
価値観の相違をものさしにして
はかれるほど器用ではない
仮面をかぶって嘘をつく
背を押せば誰も気付かず前に進む
虚無に足を踏み入れて
何もなかった
絶望と希望をわけたくないと
駄々をこねる
子どもと大人の境界線を
いつの間にか越えさせられていて
足が動かなくても
理不尽を知っている
理不尽をかなえるために
動かしていく
「どうせ」も「だって」も「でも」も
消えてなくならない
人生と一緒だ
埋まらない
答えは現実にならない
だから
舌を噛んでさえ
生きていることがわからない
2021/10/20




