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夢のよう
夢の中のようだ
白い空間に浮いている
遠くに色とりどりな何かがある
手を伸ばせば届くだろうと
ありえないことを考えている
足をばたつかせて空気を混ぜた
その空気は透明なのに
赤にも青にも黄にも見えた
見えるはずもないのに
子どもの自分が見えた
進んでいるはずなのに
風景は変わらず
ずっと止まっていた
疲れることもなく
飽きることもなく
だから夢の中だと思った
目を覚まさなければと思い
心はあがくが
身体は何一つ動かず
その場にたゆたうことを選んだ
もうちょっとがまだまだになり
まだまだが全然になる
そのうち空間は黒くなっていって
小さくなっていって
意識が途切れると
やっぱり夢だったと
目が覚めるのだった