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おぼろつき
ゆらゆらと若葉色の柳の枝が揺れる
とうに散った桜の後を追うように
次々に咲いては散るの繰り返し
大粒の実りとなるように太陽を求める
黄金の海が波打つ姿を風に任せる
色が段々と濃くなっていく空を仰ぐ
時計も影も意味をなさない
どこかで鐘の響く音
家のない雀が群れて鳴く
川面に笹の舟が行く
船頭はオタマジャクシか
ちかりちかりと時折光が反射する
ふーっと大きく息を吐き
てんでに散った子を追いかける
鬼よ鬼よとはしゃぐ声も次第に家へと帰ってく
静かになった群青にひっそりと輝く朧月
2019/04/04