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携帯するもの
時計の針を一秒一秒追ってしまう
待っているだけの時間はゆっくりだ
機械の溢れた時代につけられた
電源という制限は
紙の重さを余計に重くして
行動に余計な制限を重ねる
身軽に慣れた足元が
静かに静かに崩れ落ちていく
楽しみもあっただろう
アナログの待ち時間は
デジタルの忙しさに打ち消される
時計の針が一秒一秒進むのを
眺めるだけの時間は貴重だ
静かな待ち時間というのは
心を静かに待つしかないだろうか?
紙の重さに綴られた
古の言葉はもうその重さを
失っていくのだろうか
色とりどりの箱の中に
八百万をひめて
2015/11/22