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激情に流される
狂ってしまっている感情に
一つの言葉が染み入るには
恐ろしいほどの捻じ曲がった感情の波
それと一滴の酔いの集まり
どこまでも深く刻まれていく狂気の傷は
長い時間の末に穿たれた石よりももろい
激情が場を満たし
狂った糸を捻じ曲げて
元に戻したり
さらに狂わせたりして踊る
命綱を手放し重しを外してしまえば
結果などは見えているはずだった
外すことく構えていればよかった
一瞬 外れたその隙を激情は見逃さなかった
流されていく
溺れていたとしても
それに気づく者などいない空間に
藁さえも投げ込まれることはなく
激情に身をゆだねることしか
助かるすべはなかった
溺れて息ができなくとも
差し伸べられる手は
どこにもないのだと
わかってしまったからには
命綱と重しを外してしまったことを後悔し
ただただ嘆くことしかできないのだ
手はどこにも触れないのだから
2013/08/09