思い出は美化される
月を見上げて歌を口ずさむ
誰も知らない誰も聞かない歌を
風が言の葉をのせて流れ
やがてちりぢりになる
思い出すんだ 君と過ごしたこと
今を省みるんだ 君がいてくれたから
前を向いていられる
たとえそれが君から受けてしまった
あってはならない呪縛であったとしても
恋をしているの また君に
未来が小さくなっていくんだ
立っていることさえもおぼつかなくて
君が怒ってくれたことが 今に生きる
こんなにも君の存在が大きくて
無理矢理押し込めているのが正しいのに
なんだが不安定になる
新しい友達を探さなきゃいけないんだ
君を忘れるために
それなのに僕は いまだに怯えたまま
言い訳をしよう まだまだ今のままでいいのだ
と
月を見上げて 今を思うよ
繰り返される 歴史が自分に跳ね返る
また誰かを傷つけて 苦しんだふりをする
返された手札に本当のことが書かれているのに
見て見ぬふりをする
それが僕の短所
そして君が離れた理由だろうか
誰も知らない誰も聞かない歌をうたうよ
風に流され消えていくその場限りの一瞬の歌を
恋でも愛でもない 今でも過去でも未来ですらない
人間でも動物でもない
この世界そのものをうたうよ
2013/01/28