歩いて歩いて
晴れた日に気分が向いたから外に足を向ける
一歩を踏み出して立ち止まる
部屋から出ない身体は外を求めて準備を始める
「行きたい場所は?」自問する声は空気に触れないけれど
答えはちょっとだけ片付けられた部屋と扉を開ける左手
風の匂いをかぐことはないけれど
空の青さと日光の強さに目を伏せる
人々の声と足元の風景が代わり映えのないコンクリートにかかる
一歩一歩自分のリズムがバラバラで苦笑する
苦笑した自分がおかしくなって顔を引き締める
百面相する自分はきっと不審者に見えるだろう
到着しなければならない場所はあの部屋
なら、どこを寄り道してもいい
歩いて歩いて空を見上げてため息ついて
歩いて歩いて面白そうなものにふらふらと寄っていき
歩いて歩いて欲しいと思ってしまうもので優柔不断さが足を止め
歩いて歩いて誰かを思い出す
歩いて歩いて時計を見る
一日が無駄に終わったって終わらなくたって
時間通りに動いてしまう自分が不思議で仕方がない
みんなが帰宅するころに一緒に部屋のドアを開ける
誰もいない部屋の明かりをつける
歩いて歩いてなんとなくにやつく
今日も自分らしく過ごしたんだなぁ
そんなふうに思ってしまうから
2012/11/16