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第7章~過去~

あれは俺が中3の時、時期は3学期が始まったぐらいだったかな。

さっきも言ったが、俺は中1の時から付き合っていた子がいたんだ。

その子の名前は、春風 日和《ハルカゼ ヒヨリ》。

日和との出会いはホント一目ぼれってやつだった。

しかも告白した時、向こうも俺のことが好きだったらしい。

まさか両思いだったなんて思いもしなかった。

俺達が出会うのは、まさに運命だったんじゃないかって思えたさ。

そしてもうそろそろ卒業も近いかなって時期だ。

俺と日和は同じ高校にいくことになった。

2人ともそれなりの学力はあったから推薦でいくことになっていた。

俺はこの幸せが永遠に続くんじゃないかと思っていた。

そしてある日の帰り道。

俺達はいつも通り通学路を通って帰っていた。

そこで俺達は暴漢に襲われた。

俺は後頭部をバットで殴られて意識も薄れ薄れになっていた。

その暴漢は倒れている俺を尻目に、日和を襲おうとしていた。

このままじゃ日和は一生心に傷を背負うことになる。

俺は無我夢中で暴漢の捨てたバットをとり、その暴漢を殴った。

逃げようとした暴漢を追いかけ殴った。

多分途中で日和が止めてくれなかったら俺はそいつを殺していただろうな。

一応俺の扱いは正当防衛が認められた。

その暴漢は、他にも犯罪を犯していて刑務所から出てくることはないだろうって話だ。

はたから見たら、俺は女の子を暴漢から守ったヒーローだ。

でも俺はヒーローなんかじゃない。

俺は自分を抑えられなかった。

日和が止めなければ俺はヒーローじゃなく犯罪者になっていた。

一歩間違えれば俺は犯罪者。

そのことが頭から離れなく、俺は次第に日和から遠ざかるようになっていた。

彼女を守るために。

周りの友達や先生は優しかったさ。

よく守ったな、カッコいいじゃんか、お前は何も悪くない。何も悪くない。


そして卒業式、俺は日和に別れを告げた。

推薦で受かっていた高校も諦め今の高校を受けた。

俺は逃げたのかもしれない。

日和を守るつもりで遠ざかったが本当は何もかもすべてから逃げたかったのかもしれない。

だから俺はいまだに断ち切れていないんだと思う。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーー


「まぁ長くなったけど、これが俺と日和が別れた時の話。俺は自己満足で彼女を守ったつもりでいて逃げたっていうのが真実さ。かっこよくなんかない。むしろ最低な奴なんだよ俺は。なんなら笑ってくれたって良いんだぞ。」

俺は空元気で笑って見せた。

でも彼女達は笑ってはいなかった。


「なんだよ、なんて顔してんだよ。泣くなよ、笑ってくれよ。じゃねぇと俺が泣きたくなるじゃねぇかよ。」

「笑えるわけ、ないじゃないのよ!例えどんな手段でもあなたはその子を守ったんでしょ!守りたい人を守ったんじゃないのよ!いいじゃない自己満足でも、それで誰かを救えるならそれは悪いことなんかじゃないのよ!」

「秋穂の言うとおりデスよ!グスッボク達だってグスッ春樹に色々と助けられたんデスよ!グスッ」

「夏美だらしない。泣くのか喋るのかどっちかにした方がいい。」グスッ

「そういう冬佳だって泣いてるじゃないデスか、ううふえ~~~ん」


「たっく、なんで俺じゃなくお前達が泣くんだよ。はぁ~、もうしょうがねぇな。」

俺は泣き喚く夏美と冬佳を抱き寄せた。

「ったく、手間の掛かる妹をもった気分だよ。」

「ならそこに私も追加しといて。」

秋穂が後ろから腕を回し抱きついてきた。

「わかったよ、今は精一杯泣け。」


日和、俺は今、前を向いて進めているかな。

確かにこいつらは手間が掛かるけど、こいつらは俺のために泣いてくれる。

俺なんかの為に泣いてくれる。

こいつらのお陰で俺はお前ともう一度向き合える気がする。

もう遅いかもしれないけど、もしお前とまた会える日がくるなら、そんときは笑ってくれ。




チーーーーンッ!

「あっコラ夏美、俺の服で鼻かむんじゃねぇよ!?」

グスグスフキフキ

「冬佳お前泣いていいって言ったが、誰もタオル代わりしろとは言ってねぇぞオイ!」

グゥーーーーッ

「秋穂てめぇ寝てやがるな。コラ起きろ、俺の背中は寝るとこじゃねぇよ。俺の背中は大切なものを背負うためのものだ、って誰も聞いちゃいねぇよ!!」


3人とも泣き疲れて寝ちまったようだな。

「ふっ、ホント手間の掛かる奴らだな。あぁもう服がベットベトじゃねぇか。」


「はぁ~~~。着替えるか。」

とりあえず部屋に戻って服を着替えることにした。


「おっと、そうだ、忘れる前に!」

俺は彼女達の耳元で、感謝の言葉を囁いた。



「ありがとな、それとこれからも頼む。」


自分で言っててあれだが、少し照れくさいな。

こいつらが起きてなくてよかったよ。

「さーて、着替えよ。」




桜井 春樹が立ち去った後、3人は目を閉じたまま、

「「「こっちこそよろしくね。」」」

と告げて再び眠りに落ちていく。

次に起きる時、笑顔で彼を迎えるために。

一応前半終了デスナ(・∀・)


こっからはラストスパートに入る感じです。

ちょっと寄り道が過ぎましたが、こっからはちゃんと本題に入れるように頑張りたいデス!

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