第5章~喧騒~
「風呂沸いたから、順番はどおでもいいから入れよ。」
「お風呂まで用意してもらって、なんか悪いデスね。」
おぉ、夏美にしてはまともな対応だ。
「気にすんな。女の子ってやっぱ1日でも風呂に入らず我慢する、なんて嫌だろ。だから俺んちだからって遠慮はすんなよ。」
「「「はーい。」」」
そして3人は入る順番について話し合っていた。
「さて、まずは入る順番デスね。」
「私は別にいつでもいいわよ。」
「私は少し長湯だから最後でもいい。」
「というかお泊り会ってゆう特別な機会デス!3人で入るとかどうデスか?」
「それもそうね、私はいいわよ。」
「うん、わたしもOK。」
どうやら決まったらしいな。
「で、3人で入ることになったんだな?」
「はいデス!」
(3人でか...。まっ、うちの風呂は広いし3人ぐらいなら十分入れるだろうな。)
「てかお前ら、寝巻きとかは持ってきてるのか?」
3人を見回すと3人とも頷いた。
どうやら服を貸す心配はないらしいな。
「んじゃお前らは風呂場に行け。俺はバスタオル用意して持っていくから。」
「あっそうだ、春樹。」
「ん、なんだ?」
「「「覗かないでね。」」」
「の、のぞかねぇよ!お前ら人を何だと思っていやがる!?」
たっく、こいつらは。
俺がさっき悩んでたのが馬鹿みたいに思えてきた。
(とりあえず、バスタオル取りに行かなきゃな。)
自分が使うのは洗面所に置いてあるけど、お客様用は別途で置いてるから取りに行かなきゃならないわけだ。
(とりあえず、そんなに急ぐことないと思うし、ゆっくり行くか。)
風呂場にて。
「でも人の家のお風呂って何か緊張するわよね。」
「そうデスね~。さらに言えば男子のおうちデスしね~。」
「そのさらに言えば春樹の家。」
“春樹の家”。そのワードが出た途端、3人はのぼせた様に顔が赤くなる。
そしてしばらくの間、沈黙が続くのである。
「と、とりあえず、入りましょう!早くしないと春樹と鉢合わせることになるし!」
そして、風呂場に入ると、
「おぉ~~!春樹の言ってた通り結構広めデスね~!」
「うちより広い、さすが一軒家。」
「私の家も一軒家だけどここまで広くないわよ。」
「イッチバ~ン!」
そういって夏美が入り、
「そんな慌てなくてもお風呂は逃げないわよ。」
と2番目に秋穂、
「湯船も結構広い。」
と3番目が冬佳が入った。
そしてその後順番に体を洗った後、3人でまた湯船につかることに。
「むむ、そういえば秋穂はまた胸がでかくなったデスか~!?」
「えっ、そうかな?まぁでも確かに今のじゃ少しきつくなってきたかもね。」
「いいデスね~、ボクも毎朝牛乳飲んでるのにそんなに大きくならないデスよ~!」
そしてその2人の会話を隣で聞く冬佳は、自分と2人を比べていた。
(秋穂の胸でかい。夏美も秋穂ほどでかくないけどそれなりにあるし。わたしのは...むぅ。わたしも毎朝牛乳飲んでるのに。)ハァ~
そんなことを思い、ため息をついた。
「あり?どうしたんデスか冬佳?はっは~ん、胸が小さいことで悩んでるんデスね!ならボクが揉んで大きくしてあげるデス!!」
「ふぇ夏美、やめなっ、はぅ」
風呂場がこんな感じになっている時、春樹は今....
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「あんっ、やめて夏美!あぅ」
「コラッ、やめなさい夏美!」
「ふふん、秋穂もスキありデス!」
「あっコラ、バカ!」
(なんか風呂場がエロ、じゃなくてヤバイことになっていやがる!!)
風呂場の前の洗面所で立ち往生していた。
(落ち着け俺、落ち着くんだ俺!!静まれ俺のピーーー!そうだ素数を数えれば落ち着くって聞いたことがある。よしとりあえず数えよう。1,2,3,5,7,11,13,17,以下省略)
よしっ、とりあえず落ち着いた。
(さてまずこのバスタオルをどうしよう?さりげな~く洗面所に置くか、いやそんなことしたら後でなんか疑われる気が。なら風呂場をノックして、いやこの状況に入る勇気俺にはねぇ!でもなんにしてもバスタオルを置かなきゃならない!言わばこれは俺に課せられたミッションだ。こうなったらスニーキングアクションだ!)
俺は何事もなかったかのように、バスタオルを洗面所に置いて立ち去ろうとした瞬間、
「うぅ、夏美もうやめろー!」ベシッ
「グハッ、きゅうぅ~。」
冬佳の手刀が夏美の頭をヒット!
「もう私出る!」ガチャッ
「「あっ。」」
(なんていいタイミング、じゃなくて悪いタイミングで出てくるんだーーー!!!)
「・・・ばっ、」
「ば?」
なんだ冬佳は、何を言いたいんだ?
「ば、ばかああぁぁぁーーーーーー!!!」
そこで我に返る。
「ま、待て冬佳!コレは不可抗力なんだ!だからやめ、グハッ」
冬佳のグーパンチが俺の顔面にクリーンヒット!
「は、春樹!あなた何やってるのよっ!!」
「グホァッ」
続いて、秋穂が洗面器を投げてきて、角が頭にクリーンヒット!
ヤバイ、目の前が真っ白になってきた。
(まぁ死ぬ前にいいもの見れたし、悪い人生じゃなかったよな。)ガクッ
そして視界がブラックアウト。
「もう春樹、あれほど覗かないでって言ったのに!あれっ春樹?春樹ったら起きなさいよ!」
「うぅ、痛いデスよ冬佳。うわっ、春樹がなんでここにってあれっ?春樹が倒れてるデス!!」
「わ、わたしのパンチのせい?春樹ごめんなさい。」
「そんなことよりとりあえず、春樹の部屋まで運びましょ!」
「その前に服を着てからにしない?」
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「春樹大丈夫かな・・・、・・・わたし思いっきり殴ったし・・・」
「あれから起きないし・・・もしもの場合は・・」
「・・・・とりあえず無事を祈るしかないデスね。」
(ん、なんだ?喋り声?あいつらかな。おでこが冷たい、何か乗ってるのか?あれっ、でもなんで俺寝てんだ?)
「ふあ~~ぁ、ん~~~~。」
とりあえず体を起こし伸びをする。どうやら俺は部屋で寝てたようだ。
「あっ、起きたみたいね。」
「頭だいじょぶデスか~?痛くないデスか?」
「あのっ、ごめん春樹。」
「どうしたお前ら?それに冬佳が何で謝ってるんだ?」
「「「えっ?」」」
「確か俺はバスタオルを持って風呂場に向かっていったんだが、その後何があったか思い出せないんだ。そして気づいたら部屋で寝てたし。」
「えっと、じゃあ何も覚えてないわけ?」
「わたしの・・・を見たことも覚えてない?」
「なんのことだ?それと冬佳、俺は何を見たんだ?」
「べ、別に覚えてないならそれに越したことはない。」
「どうやら、クリーンヒットを2回も受けたから記憶が飛んだようデスね。」
「クリーンヒットって?」
「それはデスね、秋穂と冬佳が...」
「「夏美!!」」ガシッ
2人は夏美の口を勢いよく塞いだ。
「ムガムムッ」
「春樹、人間忘れていた方がいいこともあるのよ。」
「秋穂の言うとおり。このことについてはもう口出し無用でお願い。」
2人がこえぇ、こいつは掘り起こさないほうがいいみたいだな。
「お、おぅわかった。」
そして今度は、夏美の方に顔を向け、
「「夏美もね。」」
とても冷え切った言葉でそう言った。
「は、はい、わかりましたデス。」
そして触れてはいけない話題がまた一つ出来るのであった。
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その後俺は風呂に入って、その後俺達は昼間の残りの紙吹雪を作る作業をして、寝る準備をすることにした。
でもなんだろう、お風呂に着いた時に何か思い出しそうになったが、秋穂と冬佳のさっき言ったことを思い出し、出来るだけ気にしないようにした。
「さて、一応お前らは客間で寝てもらうからな。」
「一つの部屋でみんなで一緒に寝るデスか~。これもお泊り会って感じがするデスね!」
「そうね、修学旅行以来じゃない、こうゆうの。」
「でも修学旅行と違うのは、春樹もいるってこと。」
「いや、俺は部屋で寝るぞ。」
その答えにブーイングの嵐。
「えぇい、うるさい!だって男女同じ部屋で寝るって、なんかヤバイだろ!?」
「なにがどうやばいのよ?」
「春樹は寝ているわたし達を襲うような人じゃないから一緒に寝ても心配ない。それに布団は別々、何か問題がある?」
「いやまぁそうだがな、」
「いいじゃないデスか、こんな機会めったにないデスよ~。3人の可愛い女子高生と一緒に寝れるんデスよ~。」
「いや一緒って、布団は別々だ。」
「ボクは別に春樹と一緒の布団でもいいデスよ~。それに春樹ならえっちぃことだって...」
「えっちぃこと禁止。」ベシッ
「ギャフンッ」
「まぁなんにせよ別にいいと思うわよ、それとも私達と寝るのは嫌なの?」
なんだこの展開。
「ま、まぁ思い出作りなら別にいいかもな。」
そして一つの部屋で4人で寝ることになった。
しかし何度も言うが、布団は別々だからな。
俺達は、頭を向かい合うように布団を敷いて寝ることになった。
「じゃあ電気消すぞ。」カチッ
暗くなった部屋で俺は適当な記憶を辿り、自分の布団に着いた。
「じゃっ、おやすみ。」
「「「おやすみ(デス)。」」」
そうして終始騒がしかった日が終わろうとしていた。