第4章~訪問~
「うぅ~、やってもやっても減らないデスよ~!」
「口を動かす暇があるなら手を動かして。」
「そうよ夏美、あなたが一番ペース遅いんだから切ることに集中しなさい。」
「ぶぅー、なんでボクの分はこんなにも多いんデスか~!?」
「あなたがジャンケンに負けた人が多く切るって言ったじゃない。」
「言い出しっぺは夏美なんだから責任持ってやりなさい。」
「夏美、あれだったら俺が手伝ってやるぞ。俺は今日やる分はもうに終わってるからさ。」
「ホントデスかっ!?」
「「春樹は甘やかさない!!」」
「お、おぅスマン。」
今俺達は、俺の部屋で紙吹雪を作る作業をしている。
なぜ現在こうゆう状況になってるかというと、まぁ少し長くなるが回想で説明する。
あれは、演劇部に機材の確認をした2日後の話だ。
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「なぁ秋穂。今度の土日暇してるか?」
「えっ!?そ、それってまさ、まさかあのその、デデデデデ....」
「ん、大王か?」
「違うわよ!というかなんで大王!?」
「いや、デデデってゆうから。」
「そんなわけないじゃない!私が言いたいのはそのあの...」
「いやな、言っただろ前に、俺んちで作業をするってさ。で今度の土日にでもやらないかなってな。」
「はぁ~、なによそっちなの。」
「そっちって、これ以外に何かすることでもあったっけ?」
「真顔でそう言われると腹が立ってきた。ねぇ春樹、一発殴っていい?」
「いけ、笹木!桜井をボコボコにしちまえ!」「笹木に俺たちの思いを託した!」「笹木さん、マジ天使。」「桜だけに散る時が着たんですね、わかります。」「ちょwww誰がうまいことを言えとwww」「わくてかわくてか」
「おい、外野ども!勝手なこと言ってんじゃねぇ!てか誰だ散るって言った奴。誰だか知らんが全然うまくねぇよ!それとわくてかしてんじゃねぇーーーっ!!」
たっく、俺の味方は1人もいねぇのかよ。
「言いたいことはそれだけ春樹?」
やべっ、忘れてた。
「ま、まぁ落ち着きませんか秋穂さん、お願いしますから殴らないでくだ、アッーーーー!」
.........そして昼休み
「とりあえず、3人とも集まったな。」
あのあと俺がどうなったかは聞かないでくれ。思い出しただけで悪寒が...
「はいっ、質問デス!」
「どうぞ夏美さん!」
「土日暇ってことは、土曜日はお泊りってことでいいんデスか!?」
「いい質問だ。お前らが良かったら泊まってもいいぞ、ただし嫌なら帰ってもいいがな。」
「嫌じゃないデス、むしろテンション上がりすぎて爆発しそうデス!」
「爆発はしなくてもいいが、残り2人はどうする?」
「わ、私は別に泊まってあげてもいいけど、その、春樹の両親はどうなの?」
「うちの親か?それは問題ないさ。うちは両方とも今短期出張中だ。一応連絡も入れてOKもらったしな。」
「残念、両親がいたら挨拶できたのに。」
「挨拶?なんで挨拶する必要あるんだ冬佳?」
「「その手があった(デス)!!」」
夏美と秋穂まで...
ホント、こいつらがわかんねぇときがあるな。
「で、結局どうするんだ?来るのか来ないのか、泊まるのか泊まらないのか。」
「ボクはモチノロンで泊まるデスよ!」
「私も泊まるつもりで行くわ。」
「右に同じ。」
「よし、じゃあ12時に○×駅に集合ってことで。そしたら駅まで迎えに行くからさ。」
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そしてそんなことがあり今に至るということだ。
今は18時、つまり午後6時。
そろそろ晩飯の準備でもするかな。
「そろそろ作業切り上げるぞ、晩飯の時間だ。」
「おぉ、もうそんな時間デスか!」
「う~ん、疲れたぁ。」
「私はそんなに。」
おのおの伸びをしたり脱力したり、まぁみんな頑張ったしな。
「あっ、でも晩御飯ってゆってもどうするデスか?」
「そうね、外で食べたりするの?」
「それについては問題ない。お前らが作業してる間にだいたいの仕込みはやってあるからあとは温めるだけだ。」
「ということは春樹の手作り?」
「そゆこと。」
おぉーという声と拍手が俺の部屋で響く。
「ちなみに何を作ったんデスか?」
「まぁ人数も多いし、無難にカレーとサラダの盛り合わせだ。あと好みによってライスとパンを選べるぞ。」
「カレーは家によって味が変わる。」
「ということは好みもわかるということね冬佳。」
「そうゆうこと。」
「楽しみデスね。」
3人とも色んな反応をするな。
まぁでも今俺が言えることは、
「とりあえず手を洗えに行けよ。」
手も洗い今は、食卓ならぬこたつを囲む状態にある。
俺から見て左に夏美、前が秋穂、右が冬佳。
時計周りに春夏秋冬になってる。
ある意味すごい状態だな。
「さて、じゃあみんな手を合わせて...」
「「「「いただきます!」」」」
「このカレーおいしいわ!」
「ライスとの相性がバッチリ。」
「ふぁんほあふぁへへほひへふへすひょ!」(訳:パンと合わせてもいけるデスよ!)
「コラコラ、めしを口に入れたまま喋るんじゃねぇよ。」
ガヤガヤガヤガヤ
(騒がしいけどやっぱ、誰かと食う御飯ってうまいよな。)
そう思うと、ふいに笑みがこぼれた。
「ん、どうしたのよ春樹?」
「いや、別に。こうやってみんなで食べるっていいよなーって思っただけさ。」
「春樹...」
「秋穂スキありデス!」
「ああっ、私の分のパン!」
「夏美、行儀悪い。」
「そう言いながら、冬佳も夏美のパン取ってんじゃねぇか。」
「いつの間に!?」
「ふっ、残像よ。」
「使い方間違ってねぇか?」
うん、やっぱこうゆうのはいいよな。
「春樹の分もも~らい!」
訂正、やっぱこいつらはあなどれん。
そんなこんなで晩飯の時間は過ぎていく。
「「「ごちそうさまでした!」」」
「おそまつさまでした。そして俺もご馳走さんっと。」
俺は立ち上がり皿を洗うために後片付けをしようとした。
「あっ、私が片付けるから春樹は座ってて。」
「私も手伝う。」
「頑張ってくださーい。」
「「夏美もやるの!!」」
「は、はい!」
「スマンな、じゃあお言葉に甘えて。」
とりあえずやることもないから3人を眺めてる。
夏美もイヤイヤな感じに見えるが、案外やる気になってやってる。
秋穂はいつもみんなをまとめてくれるな。
冬佳は昔と違ってよく話すようになったな。
この3年、色々あったけどやっぱ楽しかったな。
俺は、与えられた時間で色んなことを考えた。
たしかに進学しても俺達は一緒だ。
でもその後はみんなバラバラの道を行くようになる。
俺達はいつまで、こうやって一緒にいれるのかな?
3人とも可愛いし、彼氏とか出来たら一緒にいられなくなるよな。
なんかそれは嫌だし、悲しいよな。
なんだったら3人とも俺と、って馬鹿か俺は。
そんなのはただのチャランポランじゃねぇか。
俺はどうすればいいんだろ?
そんなことを考えている俺を尻目に、時間だけは刻々と過ぎていくのであった。