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第11章~不安~

翌朝、俺は遅刻しかけた。

理由は、まぁ察してくれ。

夜遅くまでメールのやり取りをしていたら、そりゃあ目覚ましぐらいじゃ起きねぇな。


しかしそのメール相手の張本人達はいつも通りに登校していやがった。

一応コレでも俺は、現在無遅刻無欠席であと少しで3年連続皆勤賞なんだ。

さすがにここまできて遅刻したら多分、夜の校舎窓ガラス割って回るだろうな。


この状況を分かりやすく言うなら、ゲームをしていてあと少しで達成ってときにしょうもない邪魔が入って達成が出来なくなった。

まぁこんな感じだ。


それでだな俺が何が言いたいのかと言うと...、眠い。

もう眠くて何が言いたかったのか忘れた。

頭がうまくまわらない。


・・・・とりあえず、昼まで眠りこけよう。

「秋穂、あとでノート頼む。」

「もう、それぐらいちゃんと起きてやりなさいよ。」

「俺が眠くなる原因を作ったのはどこのどいつだ?」

「そ、それは悪いなーって思ってるけど、そうだとしても私はちゃんと起きてるじゃない!」

「お前と違って俺は真面目じゃないの、あえてゆうならマメなんだよ。」

「何よそれ。」

「それならわたしのノート見る?」

横から冬佳が会話に入ってきた。

「おっ、マジで?」

「マジ。」

「じゃあ冬佳にノートを借りよっかな。」

俺がそう答えると、秋穂はムッとして、

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!誰も貸さないとは言ってないじゃないの!」

「秋穂、無理はよくない。わたしがノートを貸す。」

「む、無理なんかじゃないもん!私が貸すったら貸すの!」

おいおい秋穂さん、なんかキャラ壊れてますよ。

「まぁ落ち着け秋穂。そんなに言うんだったら、俺秋穂から借りるからさ。」

「ほ、ホントに?」

「あぁ、“本気”と書いて“もとけ”と読む。だからそんな涙目になるなよ、な。」

「うん、わかった!」ニコッ

秋穂は少し涙目な目を拭い、笑ってみせた。

やっぱ人間、笑ってた方がいいよな。

「そうゆうことなんだ冬佳。だからスマンな。」

「ううん、大丈夫。」

そういって冬佳は親指を立て、大丈夫だということをみせた。

だが少し残念そうな顔をしてたように見えたが、気のせいかな。


「じゃあ冬佳、春樹の変わりにボクに見せてデス~。」

「永遠の眠りに尽きたいの?」

「夏美がんばります!」

そういって夏美は背筋を伸ばし真面目に授業を受ける体勢にはいった。


夏美、ドンマイ。


そして俺は眠りについた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーー


俺はどれだけ寝たのだろう?

机で寝すぎると体の節々が痛くなる。

「ふわあぁぁ~~~~~ぁ、はぁ。」

俺は大きなあくびをしたあと、黒板の上にある時計に目をやる。

短い針と長い針、ともに下をさしていた。

「あれ、なんかおかしくねぇか。」

俺は眠い目をこすり、よ~く時計のさす時間を見てみる。

時計の針は、短い針が4、長い針が6をさしていた。

時間に変えると、4時半か16時半。

だが外の明るさから見て4時半には見えない。

グランドでは生徒達が部活動に励んでいる。

正門を出て帰る生徒もちらほら見える。


(そうか...、もう放課後なのか...。)

ん、放課後?

「って、なんで放課後!?いやいやいや、おかしいだろ!俺は昼まで寝るつもりだったのにそれが放課後って、てかその前に俺寝すぎだろ!?どんだけ寝てんだよ、俺寝すぎだろ!大事なことだから2回言いましたって誰も聞いちゃいねぇよ!あぁもう寝すぎて体のあちこちが痛てぇよ畜生!」

そして盛大にツッコミを入れたあと教室の扉が開いた。

そこにはジュースやお菓子を抱えた夏美、秋穂、冬佳の3人の姿があった。


「あっ、やっと起きたんだ。」

「いやいや、なんで起こしてくれなかったんだよ?」

「起こしたわよ、でもどんなに起こそうとしてもぐっすりと寝てたのは春樹だよ。それに...」

「それに、なんだよ?」

「春樹の気持ちよく寝る顔見てたら無理に起こせない。」

「俺そんなに気持ちよさそうに寝てたのか?」

「今日は暖かかったデスからね~、とっても気持ちよさそうに寝てたデスよ~。ボクも何度寝かけたことか。そしてその度に先生に当てられるから寝る暇がなかったデスよ。」

「「「自業自得。」」」

「みんなして、酷いデス~~~ッ!」

そして笑いあう俺達。


「それはそうと、その抱えてるもんはなんなんだ?」

「これ?これは作業中に小腹がすいたとき用の食料よ。今日も作業するんでしょ?」

「まぁ一応な。」

「じゃあ早くやろう。時間もないし。」

「そうだな。じゃあ花吹雪の残りでもやるか。」

「えぇ~~っ!あれってまだあるんデスか!?」

「一応4つ分の大砲に詰める桜吹雪は出来てるが、試し用の桜吹雪を作ってた方が色々と便利だしさ。まぁ数は前の半分だからすぐ終わるさ、下校時間までにはな。」

「じゃあお菓子はいつ食べるデスか?」

「そりゃあ、早く終わったモン勝ちだろ。なぁに心配しなくても夏美の分も残してやるよ、時間内に出来たらだけどな。」

「前の半分ね。まぁ少し早めにやったら1時間も掛からないわね。」

「とりあえずやろう。」

「秋穂、冬佳、ボーっとしてたらボクが全部食べちゃいますよ~!」

いつのまにか夏美は作業を始めていた。

「そんなに急がなくてもお菓子は逃げねぇよ。」

そして少し遅れる感じで俺も作業を始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーー


「そういやさ、今度の日曜に日和の高校の卒業式見に行こうと思うんだが、一緒に来るか?」

「えっ、来週がそうなの?日和ったら手を回すのが早いわね。」

「2人きりにさせるのはマズイ。行くべきだと思う。」

「ただでさえ春樹の好感度高めなのに、これ以上高くされるのは勘弁デス。」

3人ともそれぞれ考え込むようにブツブツと喋る。

何を話してるのかは聞き取り辛いが、それを聞くのはダメな雰囲気をかもし出している。

そしてまず口を開いたのは冬佳だった。

「わたしも行く。」

それに続いて夏美が、

「あっ、ならボクも行くデスよ!」

そして最後まで渋っていたが秋穂も、

「私だけ行かないのはあれだし、行ってあげてもいいわよ!」


「ま、まぁとりあえず全員参加ってことでOKだな。了解、日和にまたメールを送っておく。」



そのあと作業を終えた俺達は、プチお菓子パーティーをして帰った。


そしてその日の夜に、日和に全員参加ってメールを送り、返って来たのを確認してからベッドに入った。

その日の夜は、昼間たくさん寝たにもかかわらず深い眠りにすぐ落ちた。



そして次の日の放課後は、卒業式の詳しい作戦を考えた。

一応再確認のつもりで考えたのだが、みんなで話し合って、直すべきとこは直し、いらないところは省くなどの訂正をした。


そしてその次の日は、大砲もどきの設置場所と実行するタイミングを考えることに。

こればっかりは卒業式前日にしか最終調整は出来ないので、とりあえず設置場所、発射する角度、誰がどの位置を担当するかなどについて話し合った。

そして舞台側の左端が俺、右端が夏美、入り口側の左端が秋穂、右端が冬佳ということになった。


そしてその次の日は、生徒会や先生にその事を伝え、詳しく話し合った。

いくら自分達がそれでよかったとしても、学校側に許可が下りなければ元も子もないので、当日のことを含め改良すべき点などについて話し合った。

まぁでもほとんど問題はなかったので、変更せずに済んだ。

しかしあの後生徒会長に連れられて行ったお店の麻婆豆腐はメチャクチャ辛かったな。

でも辛さの後になぜかとてもうまいと思えるんだ。

しかし会長は普通に食ってたな。

うちの学校の会長が辛いもの好きと初めて知った。

そして冬佳も辛いもの好きだったということも初めて知った。

冬佳も会長も平然と食ってたから、舌がいかれてないか心配だったが聞かないことにした。

女の子は不思議でいっぱいだが、その不思議を突き止めるのはなんかダメな気がしたからである。

ウソです、ただ怖かったからです。


そしてその次の日、最終決定を校長や主任の先生に了承をもらいにいった。

主任の先生は他の先生と同じで職員室にいるが、校長先生は当たり前のごとく校長室だ。

校長室に入るのは、正式には初めてだが、何度か忍び込んだのをあわせると、6回目だ。

壁に飾られている鹿の剥製を誤って取ってしまってから忍び込むのをやめた。

あの剥製、実はというと瞬間接着剤をつかっているのはここだけの話だ。

だがわかるだろ、校長室ってなんか無性に豪華じゃん。

そこで自由でいるとなんか偉くなった気がするんだよ。

まぁ若さゆえの過ちってことなのさ。


そして土曜日をまたぎ、現在日曜日。

今日は日和の高校の卒業式である。

俺達は駅前で待ち合わせをして、日和の高校に向かった。

うちの高校と同じで、そんなに遠くない場所にある。

電車で数駅ですぐ着く場所にある。

自転車でもいける距離だが、日和が言うには帰りは楽だけど行きがしんどいから歩いた方がいいかもね、と助言をいただき電車で行くことにした。

そして駅を出て学校の手前まで来てようやく日和の言っていた意味がわかった。

確かにこの坂は自転車じゃあしんどいな。

途中急いで坂を自転車で駆け上る慧夜達を見かけたが、声を掛けないことにした。


そして長い坂を上りきった俺達は、校門で通行証とパンフレットをもらい体育館に向かった。

少し場違いな感じもしたが俺達は保護者席に座ることにした。

前の方の席は、ほとんど学生の親御さん達で埋め尽くされていて、俺達は導かれるように後ろの方に座ることになった。


そして俺達が席について数分もしないうちに卒業式が始まった。


入り口から入場してくる生徒達、その顔にはいろんな思いが募られている。

新たな未来への好奇心、大切な友との別れの悲しみ、出て行く社会への不安、大人の仲間入りをするという嬉しさなど色々な顔をしている。


次々と入場していく中に、日和達が入場してきた。

日和は俺達がいることに気付いて、軽く手を振った。

俺も軽く振り返した。

そして奥に歩いていき見えなくなった。


これが卒業か。

俺も卒業式になるとあんな顔するのかな。

期待や不安、喜びに悲しみ。

俺はいったいどんな顔して卒業するのだろう。

俺は1週間後に控える自分達の卒業を考えながら日和の卒業式を見る。

でもほとんど覚えてなかった。

気がつくと終わっていた。

どうやら俺は卒業式のほとんどを使って、自分達の卒業式のことを考えてたみたいだ。


日和達には少し悪いなとは思ったが、どうやら俺の心は今卒業ムードらしく、とてもおちていた。


その後、日和達の打ち上げに誘われたが、俺はいける気分じゃなく、夏美・秋穂・冬佳の3人をおいて先に帰ることにした。

3人も打ち上げには参加せず、それぞれの家に帰った。


その日は前のように夜遅くまでメールをしてるわけでもないのに、あまり眠りにつけなかった。

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