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第6話 ルージュの記憶



夜風が冷たく、商店街の街灯がぽつんぽつんと光る中、

村井健二は赤いルージュを握り締め、ピロポンを見つめていた。


「よし……やってみるか……」

50歳の中年オッサンの声は震えていたが、どこか覚悟の力も宿っていた。


> 『村井健二……覚悟はできたのね。』

ピロポンの奥から、封印された初代魔法少女ミアの声が響く。




村井はルージュを唇に近づけ、軽く塗った。

すると――世界が一瞬、赤い光に包まれた。


だが、変身した自分を鏡のように見て――村井は首をかしげた。


「……あれ? これが変身? なんか、まだ違う気が……」


> 『あはは、そうね。あれは“慣らし変身”みたいなものかな?(笑)』

ミアの声は柔らかく、でもどこか軽妙だった。




「慣らし……? つまり、これは……本番じゃない?」


> 『そう。完全な変身とは程遠いわ。

これが、マジ変身(笑)』

ミアの声が続く。




> 『ルージュを使えば、見た目は貴方が思い描く魔法少女になるはずよ。

内面の想いと魔力次第で、服装や髪型も、能力も変化する。』




村井の目の前で、赤い光がさらに強くなり、

目まぐるしい閃光と風に包まれる。


> 『これでわかるでしょ? 過去の魔法少女たちの戦いの記憶も、

ルージュを通してあなたに伝わる。』




視界がぐるぐると回り、目の前に映るのは、

燃えさかる街、飛び交う魔力、仲間の悲鳴――過去の戦場の光景だった。


> 『これが……ミアの過去……』

村井は息を呑む。

50歳の自分が、魔法少女の力を手にするために、

こんなに尊い戦いを背負っているとは――想像もしていなかった。




光が収まると、目の前のピロポンはいつものふわふわ姿に戻っていた。

だが背中のジッパーは微かに開き、封印されたミアの存在が確かにそこにあった。


> 『さあ、村井健二……今度こそ本気の変身よ。

あなたの想いを形にして――新しい魔法少女として生まれなさい。』




村井は深呼吸し、赤いルージュを握り直した。

心の中で、過去の魔法少女たちの声と、ミアの声が重なった瞬間――


――光が爆ぜ、村井の体が熱を帯びる。


ルージュの輝きの中心で、村井の体がゆっくりと、だが確実に――

魔法少女として変化を始めた。


> 『これが……マジ変身……か……』

50歳のオッサンの声が、少女の声に変わり、力強く響く。




ピロポンの毒舌も一瞬静まり、

中のミアは微かに笑ったように見えた。


> 『うん、よくやったわ、村井健二。

これで私たちの力が、あなたの中に生きる。』





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