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第15話 融合(フュージョン)する心



夜の街が静まり返る。

ビルの影に潜む《虚影シェード》たちが、まるで何かを待っているように蠢いていた。


その中心に、紅い光が立つ。

――魔法少女ルージュ。

いや、もうその名でさえ、正確ではない。


ミアと村井、ふたつの意識がひとつの身体を共有している。

変身を終えたルージュの瞳は、片方が赤、もう片方が青く輝いていた。


「……ミア、聞こえるか?」

『聞こえてる。あなたこそ、無理してない?』


「俺の体じゃないけど、悪くねぇな。

 なんか……若返った気分だ」


ミアの声が少し笑う。

『それ、もう言葉の意味が違うと思うけど?』


軽口を交わすその裏で、互いの感情が微かに混ざり合う。

喜び、痛み、恐れ、そして……確かな絆。


だが次の瞬間、強烈な衝撃が襲う。

地面が爆ぜ、空気が震える。

上空から黒い槍が降り注いだ。


《虚影》の中でも上位種――“哭くもの(ウィーパー)”。

その咆哮が空を裂く。


「ミア! 来るぞ!」

『わかってる! 同調率を上げて――!』


二人の声が重なった瞬間、ルージュの身体が閃光を放った。

紅と青が交錯し、エネルギーが爆発的に増大する。


「――ルージュ・フュージョン・ブレイズ!!」


炎と光の奔流が、哭くものを一瞬で包み込む。

その悲鳴が夜空に消えた。


静寂。

風が吹く。

ルージュは息を荒げながら膝をついた。


「はぁっ……ミア、今の……すげぇな」

『うん……でも、あなたの感情が流れ込みすぎて、私まで胸が熱い……』


「そりゃ、オッサンの根性だ」

『ふふ……悪くないわね』


だが――

その瞬間、ルージュの中に“ひずみ”が走った。


“どちらが自分なのか”が、わからなくなっていく。

声も、意識も、心さえも混ざり合い、ひとつになろうとする。


『ねぇ……村井?』

「……ミア?」


“ふたりの声”が同時に響いた。


そして、静かな風の中で、ひとつの言葉が浮かぶ。


――融合の臨界点。



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