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第13話 微睡(まどろみ)の中の声



静かな夜。

ピロポンの着ぐるみの中で、ミアは目を閉じていた。

汗で張り付いた髪を押さえながら、彼女は小さく呟く。


「……ごめんね、村井。

 あなたを、巻き込んだのは私……」


そのまま、意識がゆっくりと沈んでいく。

そして――夢が、始まった。


……白い靄の中。

どこか懐かしい声が聞こえる。


『――おい、ミア。聞こえるか?』


「……村井?」

ミアは声の方を向いた。

だが、姿は見えない。光の粒が漂っているだけだ。


『変だよな……。

 姿は無いのに、声だけは残ってるってさ。』


「どうして……あなた、消えたはずじゃ……」


『ああ、たぶん、消えてる。

 でも、完全には“いなくなってない”みたいだ。

 あのルージュが、俺を覚えててくれたんだろうな。』


ミアは胸に手を当てた。

――そこには、村井が最後に残した“ルージュ”があった。

微かに、赤い光が脈打っている。まるで心臓のように。


『なぁ、ミア。

 お前、泣いてるだろ?』


「泣いてない……泣いてないわよ……」

声が震えた。


『嘘つけ。

 ま、泣いてもいいさ。俺も泣きたいしな。

 だけどよ……まだ終わってねぇんだろ?』


「……!」


『俺の代わりに、あいつらを止めてくれ。

 この世界の“虚影”を――そして、俺の想いを、続けてくれ。』


ミアは顔を上げた。

その瞳の奥に、光が宿る。

彼女の背中から、かすかな風が流れ、ピロポンの着ぐるみのジッパーがひとりでに開いた。


――中から、初代魔法少女ミアの姿が現れる。

白と赤の衣装が光を受けて、ゆらめいた。


「村井……。あなたの声、ちゃんと届いた。

 今度は、私の番ね。」


彼女の手の中で、ルージュが再び輝きを放つ。

その光の奥に、一瞬だけ――村井の笑顔が見えた気がした。





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