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第1話 ルージュの奇跡
コンビニの帰り道、缶コーヒー片手に空を見上げた。
街灯の明かりが滲んで、夜空の星は見えやしない。
「ったく、子どもの頃は信じてたんだけどなぁ……魔法少女とかさ。」
村井健二、五十歳。独身。夢なし。特技もなし。
ただ、“昔は”アニメを語らせたら右に出る者はいなかった。
だが、現実は残酷だ。
推しが結婚しても、上司に怒鳴られても、魔法は降ってこない。
その夜、彼は道端で一本のルージュを拾う。
落とし物にしては、やけにキラキラしている。
封印された宝石のように、淡く光っていた。
「……え、これ、コスプレ用のメイク道具か?」
冗談半分で、唇に当ててみた。
その瞬間――
風が巻き起こり、身体が光に包まれる。
『変身を確認──魔法少女システム、起動。』
「……えっ? ちょ、ちょっと待て!?」
鏡に映った自分は、ふわふわのピンクツインテールにフリルドレス姿の少女だった。




