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類は友を呼ぶ  作者: 手下
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三三三希

 三希は、三月三日、三時三十三分、三番目の部屋で生まれた。


「こんなにも三が揃うなんて、この子は三という数字に愛されてるわ」

「そうだな。俺の名前も三三(さざみ)三郎(さぶろう)で三が三つある。これはもう運命だ」

「そうね、私たちが出会った日も三月三日だった。私たちにとっても、この子にとっても、三は希望よ」


 三希は順調に成長していき、四歳になった頃、彼女の両親はある悩みを抱えていた。


「三希が最近ずっとサイコロを転がしてるんだ」


 父が深刻そうな顔でそう言った。


「いつからかしら、気づいたらサイコロを転がしてたわ。ただ転がすだけじゃなくて、何かを決めてるみたいなの」

「そうなんだよ。前に保育園でハロウィンイベントあっだだろ? その時、保育士さんからお菓子を渡されたんだが、二種類あって、飴かチョコか。どっちか選ばないといけなくて、どっちがいいか三希に訊ねたんだ。そしたら、サイコロを三回振って、それから決めてた」

「先生がね、三希は天才だって言ってたの。なんでも、もう奇数と偶数の区別が出来るようになったって」

「それは、凄いな……」


 喜ばしいことなのだが、事あるごとにサイコロを振る娘に、心配が勝ってしまう。

 誤飲する恐れもあるし、あのまま大人になってもサイコロを振り続けるおかしな子になってしまうことも。でも、娘の才能は大切にしたい。その葛藤が二人を悩ませていた。

  

「とりあえず今は見守ることしかできないな」

「そうね。あの子から無理矢理サイコロを取り上げたくはない」

「きっと、いつか飽きる時が来るさ」

「そうね」


 そう二人は思っていたのだが、小学生になっても、三希はサイコロを手放すことはなかった。


 小学五年生になった頃、それでもサイコロを肌身離さず持つ娘に、二人は思い切って訊いてみることにした。


 夕食時、最初に切り出したのは父だった。


「三希は、サイコロが好きなんだな」


 様子を伺うような、どこかよそよそしかったが、三希は特に気にした様子はなく、あっさりと答える。


「サイコロは別に好きじゃないよ?」

「「え!?」」


 予想外の返答に、二人とも箸が止まった。


「サイコロ好きじゃないのか? ずっと持ってるし、学校にまで持って行ってるだろ?」

「これは道具だよ。私が何か選択に困った時に代わりに選択してくれる道具。重要なのは、サイコロを振ることと、振って出た目」


 その三希の説明に母も父も首を傾げた。


「よく振ってるのは、何かを決めてるってこと?」


 母がそう質問すると、三希は「うん!」と明るく頷いた。


「例えば、今日夏休みの宿題をするか迷った時、奇数だったら今日する。偶数だったら今日はしないって決めてサイコロを振るの。最初は一回だけ振ってたんだけど、何となく偶数がよく出る気がしたから、今は三回振ることにしてる」


 言って三希は両親の目の前でサイコロを三回振ってみせる。


「三、四、四、だったから、全部足して十一。十一は奇数だから、今日宿題することになるね。ちなみに三回振るのは、私が三っていう数字に愛されてるからなの!」

「三希は三がいっぱいだからな! でもどうしてサイコロなんだ?」


 父のその質問に三希は答える。


「ママがよくサイコロ振ってるから真似してみたの。もともと数字は好きだし、私よく色んなことで迷うから、好きな数字に決めてもらおうと思ったの」


 母がよくサイコロを振っているというのは、職業が関係している。

 三希の母は占い師だ。

 何度かテレビに出演したこともあり、実際に有名人を何人も占ったことがある。


 占い師である母がサイコロを振っているのを見て、三希も真似してみたのがキッカケだった。


「ママとはやり方が全然違うけどね、へへ」

「そうね、でも、それが三希にとって助けになっているなら、それは立派な占いよ」


 小学五年生になってもサイコロを手放さない三希から無理にでも取り上げるべきかと考えていた母だったが、娘のサイコロの使い道を聞いてそんなことはできなかった。


「そうだ、ちょっと待ってて」

「お母さん?」


 そう言って母は食卓から離れると、二階に上がっていく。


 程なくして母は、手に何かを持って戻ってきた。


「これ、もう使わないからあげる」


 そう言って母は三希にサイコロを手渡した。

 そのサイコロは、昔母が使っていたもので、見た目はただのサイコロなのだが、職人が超精密に作ったものなので、値段はうん万円もの価値がある。


「いいの!?」

「いいのよ。こっちの方が良いと思う」

「ありがとうママ!!」

「良かったな三希」


 娘の嬉しそうな顔を見て、父の顔も自然と綻んでいた。


 母も父も、三希からサイコロを取り上げることは出来なかった。娘にとってサイコロは迷った時の道標。そんな大切な道具を取り上げたり、手放すように説得したりすることはしたくなかった。


 だから両親はこのまま見守り続けることに決めた。


 心配はまだ残っているが、今は娘の嬉しそうな顔を見ているのが何よりの幸せだった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

拙い文章ではありますが、少しでも楽しんでいただけていたら幸いです。

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