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類は友を呼ぶ  作者: 手下
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エピローグのその後

(イケメンって言われると正直困るんだよなぁ)


 イケメンというアドバンテージのお陰で得したことは多々ある。その一つとして、異性からよく好意を寄せられる。

 そのため、他人より告白される回数は多い。


 けど、良いことばかりではない。

 イケメン=優しいとか、イケメン=誠実とか、そういった理想を押し付けられるから、期待を裏切らないように優しくて誠実であらなければならない。


 ありのままを出したくても、それが難しいことも多々あるのだ。

 イケメンと言われるのは嬉しい反面、それと同じくらいイケメンであらないといけないというプレッシャーが重くのしかかる。


 これは他人によっては贅沢な悩みに思われるだろう。


「お前昨日また告白されただろ?」


 そう言うのは、麗人の友人──沢村だ。

 彼は目を細めて睨みつけてきている。


「それで、また振ったんだろ? 二組の中島さんだっけ、あの人めっちゃ優しいし、可愛いじゃん」

「可愛いとは思うよ、でも、好きな人がいるから……」

「それよく言ってるけど、誰なんだよお前の好きな人は」

「口軽い奴には教えられない」


 逆道のことが好きなことは告白してくれた人にしか言ってない。それも、好きな人がいるからと断り、それが誰なのか訊いてきた子だけにしか言ってない。


 今のところ誰一人としてそのことを広めてはいないみたいだが。

 運がいいだけなのか、麗人の誠実さが伝わったのか、それとも知らないところで密かに漏れているのか、それは彼女たちにしかわからないことだ。


(いつか、告白したいな……)


 逆道を好きになったのは中学一年の時。

 あれは正に、人生初の一目惚れというものだった。


 これまで何度も告白されてきたが、いざ自分から告白するとなったらなかなか勇気が出ない。

 そのまま気がつけば中学三年と、何も進展がないまま時だけが過ぎてしまった。


 告白するということがどんなに凄いことか、麗人は痛いほどわかる。だから、勇気を出して告白してきた子を断る時、彼は物凄く誠実に対応するように心がけている。


 昨日放課後に告白してくれた中島さん。

 あの後のこと──。


「そっかぁ……逆道さん可愛いもんね……」


 そう言うと中島さんは静かに涙を溢した。

 振られたという事実が、少し遅れて襲ってきたのだ。


「良かったらこれ」


 麗人はポケットから綺麗なハンカチを中島さんに渡す。

 そのハンカチは、告白してくれた子が振られたショックで泣いてしまうことがあるので、そのためにいつも常備している綺麗なハンカチだ。


「あ、ありがとう……」


 ハンカチで顔を覆って泣く中島さんを、麗人は静かに見守る。

 こういう時、何か言葉をかけようとしてはいけない。

 この子は今、振られて傷ついている。その原因である本人が何を言っても、今は傷つけるだけ。


「……落ち着いた……かな……?」


 様子を伺いながらそう訊ねると、中島さんはハンカチをギュッと握って応える。


「お陰で……ハンカチ、洗って返すね」

「ありがとう。でも、そこまでしなくても大丈夫」

「でも汚れたし……」

「こんなの汚れたうちに入らないよ。それに、泣かせてしまったのは俺が原因だしさ……だから、気にしなくて大丈夫」

「わかった。じゃあ、返すね」

「うん」


 中島さんに返してもらったハンカチをポケットにしまった後。


「か、帰ろっか……?」

「優しいね、陽志くんって。正直、諦めきれないよ……」

「ほんとごめん。中島さんがせっかく勇気を振り絞ってくれたのに。でも、俺はまだ自分の気持ちに決着を付けてないんだ。だから──」

「わかってる。顔を見ればよくわかるよ。陽志くんが逆道さんのこと本気なんだなってこと」


 中島さんは麗人の声を遮ってそう言った。

 そんな彼女は、意を決したようにギュッと拳を握る。


「意地悪なこと、言ってもいい……?」

「意地悪なこと? 構わないけど……?」


 そうは言ったが、どんなことを言われるのかと少し身構える。

 そんな麗人に中島さんは言う。


「もしダメだったら、もう一度、告白したらチャンスあるかな……?」

「そ、そうだね……その時は、出来れば、慰めて欲しいかな……」


 少し戸惑いつつも、麗人は応えた。

 中島さんは、意地悪なこと言って困らせてしまった罪悪感から申し訳なさそうな顔をする。


「ごめんなさい、困らせちゃって」

「いいよいいよ、気にしないで」


 校門を出たところで、二人は立ち止まる。お互い帰り道が逆方向だ。


「また明日」


 そう言って麗人は軽く手を振るが、中島さんは手を振り返してはくれなかった。その代わり、彼女はどこかスッキリした様子で口を開く。


「私、告白して良かったと思ってる。結果は振られちゃったけど、でも、告白しないままだったら後悔してたなって今凄く感じてる。だから、頑張って! また明日!」


 言うだけ言うと、中島さんは走って行ってしまう。

 その背中が徐々に小さくなるのを眺めながら、麗人はぼそりと呟く。


「頑張るよ、ありがとう」


 ──と、言うことがあった。


 だから、卒業するまでにはこの気持ちを伝えたい……のだが、問題が一つあった。

 それは、中学一年の時に一目惚れして、今に至るまで……。


(とりあえず、存在を知ってもらうところから、かな)


 そう、麗人は一度も逆道と会話はおろか、目と目が合ったことすらない。

 接点ゼロ状態なのであった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

拙い文章ではありますが、少しでも楽しんでいただけていたら幸いです。

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