幼馴染 その6
五時限目の授業が終わり、隣人はサイコロを手に三希のいる三組へと向かった。
三組の教室に到着した彼は、教室の扉越しから中を軽く覗く。
しかし、彼女の姿はどこにもなく、もしかしたら、と校舎裏に向かう
校舎裏に着くと、やっぱりと、そこで三希の姿を確認した。けれど、彼女は一人ではなかった。
同じクラスの女子──逆道心乃実と、イケメンで有名な陽志麗人がいた。
二人は三希と一緒に、生い茂る雑草を掻き分けながらサイコロを探していた。
隣人はすぐに物陰に隠れた。
(どうしてあいつがここに……)
三希とあのイケメンとの接点がまるでわからなかった。
もう一人の方は、同じクラスなので仲良くなってもおかしくはないが、あのイケメンとはクラスが違う。
どうやって知り合ったのか。もしかして付き合ってるのか、なんて不安が過ぎる。
「そろそろ時間だね」
麗人はスマホで時刻を確認してそう言った。
「どこにもないね。もしかしたら風に流されて遠くの方に落ちてるのかも」
「そうだといいんだけど……」
落ち込む三希にそっと歩み寄る麗人。
「大丈夫、必ず見つけるから」
「ありがとう……」
その二人のやり取りを物陰から覗いていた隣人は、二人が付き合ってるようにしか見えなかった。
「隣人とか言う奴がいたら、俺のドロップキックをかましてやるしかないな」
三希の悲しげな顔を見て、心乃実は闘志を燃やしてそう言った。
「ドロップキックは危ないから、俺が代わりにやるよ」
麗人はそうは言うがもちろん冗談ではある。一方で心乃実は割と本気であった。
そんなやり取りを物陰から聞いていた隣人はブルブルと震える。
(今出て行ったら確実にドロップキック決められる……こ、これじゃあ渡すタイミングがない…………)
「ど、ドロップキックは危ないから大丈夫だよ? それにりんくんはわざと投げたわけじゃないし、手を滑らせただけだから」
「そもそも三希の大切な物を奪って遊ぶのはどうかと思うがな。それに、本人は探しに来ないのな」
心乃実から鋭いツッコミが入った。
「そ、そうだね……」
(ち、違う! 俺は探しに行った、そして見つけたんだ! 早く渡して謝らないと、嫌われたまま疎遠になってしまうぅ)
今すぐここから出て、サイコロを渡して謝りたいのに、どうしても一歩が踏み出せない。
とうとう次の授業が始まる五分前となってしまった。それを知らせる予鈴が鳴り響く。
「そろそろ戻ろっか。続きは放課後で」
「二人とも、ほんとにありがとう」
「気にするな」
「気にしないでいいよ」
三人は教室へと戻っていく。
結局、隣人はサイコロを渡さないままトボトボと教室へと戻っていくのだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
拙い文章ではありますが、少しでも楽しんでいただけていたら幸いです。




