三三三希と逆道心乃実 その2
三希は心乃実のアシストにより、トイレに行くことができた。
そして二人は今、教室に戻っていた。
「本当にありがとうございました。お陰でトイレに行くことができました」
「俺もついでにトイレに行きたかったからな。気にするな」
深々と頭を下げる三希に、心乃実はひらひらと軽く手を振って言った。
「それより、なんかサイコロ振ってなかったか?」
「あ、はい。振ってました」
「あれは何だ? 偶数がどうとか言ってたし、それが気になって仕方がなかったんだ」
「あれは……私の運命を決めるサイコロです」
「運命を決めるサイコロ?」
首を傾げる心乃実に、三希は説明した。
「ほほう。でも、それって選択肢が二つしかない時に限らないか? もし四つや五つの場合はどうするんだ?」
「やっぱりそこ引っかかりますよね」
三希はスカートのポケットからサイコロを取り出した。
「選択肢が多い時は、一から六でそれぞれ振り分けて振ります。六より多い時は、多面体のサイコロを使います。でも、滅多にないですよ」
「お前面白いな! 名前はなんて言うんだ?」
「三三三希です。逆道心乃実さんですよね……?」
「俺の名前知ってるんだな」
「一応、入学式の時に自己紹介したんですけど……覚えてないですよね……?」
入学式初日に担任の先生主導のもと、一人一人自己紹介が行われた。その時に心乃実も三希も自己紹介をしているのだが、心乃実は覚えてなかった。自分がどんな自己紹介をしたのかすらも覚えてない。
「私は、逆道さんのこと凄く綺麗な人だなって思って、印象的だったので覚えてました」
「そうなのか、俺は全く覚えてないな」
自己紹介というイベントは心乃実にとってあまり興味がなかった。だから覚えれなかった。
「それより、敬語はやめてくれ、なんか話しにくい」
「あ、うん、わかった。一応、初対面の人には敬語でって決めてるから」
「そうか。でも、もう初対面じゃないからな」
「うん! そうだね!」
そして、教室の前に着いた。
「あの、本当にありがとう。助けてくれなかったら、本当に漏らしてた」
「気にするな。俺はもっと三希のことが知りたくなった。良かったら昼一緒にどうだ?」
「全然いいよ! あ、でも私いつも購買でパン買ってるから、お弁当だよね? 待たせちゃうかも」
教室で一人お弁当を食べていることは知っていた。席が近いので、話しかけようか迷ったこともあったが、サイコロを振って偶数だったので、話しかけることはしなかった。
「俺も今日はパンにする」
「いいの? お弁当持って来てるんじゃ……」
「気にするな。弁当はれいにあげる」
(れい……? 友達かな)
内心で首を傾げる三希だった。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。
拙い文章ではありますが、少しでも楽しんでいただけていたら幸いです。




