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闇の本性、絶望の中で

第四十一章:崩れる静寂


私の癒しの光が町を包んだその瞬間、闇に染まっていた魔物たちの一部が膝をつき、赤い瞳を失っていった。


人間たちと目が合った魔物のうち、何匹かはまるで我に返ったかのように動きを止め、恐る恐る後ずさった。


「……正気に戻った……?」


町の青年がそう呟いた声が、かすかな希望となって広がった。


私は胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じながら、そっと手を胸に当てた。


——よかった、まだ届く。癒しの光は、ちゃんと届いてる。


だけど——。


「……フフ……フフフフ……」


笑い声が、空気を裂くように響いた。


私は顔を上げた。闇のローブを纏った男が、何とも不気味な笑みを浮かべていた。


「面白い。実に面白い……。まさか、この程度の癒しが“闇の汚染”を打ち破るとはな」


「あなたのしていることは間違ってる。誰かを操って、苦しめて……そんなことで世界が変わるはずない!」


私がそう叫ぶと、男の表情から笑みが消え、やがて仮面のような冷たい声に変わった。


「では教えてやろう。これが……“真の闇”だ」


彼の体から、一瞬にして凄まじい漆黒のエネルギーが噴き出した。


風が唸りを上げ、地面が震え、周囲の魔物たちが一斉に怯えて後退する。


「な、なんなの……この力……!」


私は強烈な圧に膝をついた。息が苦しい。心まで押し潰されそうな重圧。


「その名も“クラーディア”。古代よりこの世界の底に巣食う、破壊と終焉の意志……私の身体は、その器に過ぎぬ」


闇の男の姿が変わり始めた。ローブが闇の霧となって彼の背後に舞い上がり、影の触手のように蠢き始める。


目は紅蓮に染まり、地面に踏み出した足から、黒い裂け目が広がっていく。


——これが、この世界を蝕む真の敵。


「癒しなどという幻想……私がすべてを塗り潰すことで終焉に導いてやる」


私は歯を食いしばって立ち上がった。


「私は……諦めない。絶望を選ぶのは、もう終わりにする。私は、希望の方を信じる!」


光と闇が、再びぶつかり合った。



第四十二章:奪われゆく光


光と闇がぶつかり合う中、私は限界ギリギリの力で魔力を練り上げ、癒しの光を周囲に放ち続けた。


けれど、そのたびに、影の力が私の光を侵食しようと押し返してくる。


「まだ、やれる……!」


私は必死に声を振り絞ったが、足がもつれて崩れ落ちそうになる。


そのとき、町の人々が次々と私の背後に立ち始めた。


「りめる様!私たちがついています!」


「あなたの癒しに、何度救われたか……今度は、俺たちが守る番です!」


彼らの想いが、私の中に再び光を灯してくれた。


心の奥に、小さな炎が生まれる。


——私は一人じゃない。


その光に呼応するように、モコが一声高く鳴き、私の胸元に飛び込んできた。


「モコ……」


彼の小さな体から、ほんのりとした光が私の全身に広がった。


その瞬間、何かが——私の中で目覚めた。


——それは、今までにない癒しの“核”。


「これは……!」


力が溢れてくる。悲しみも、痛みも、すべてを優しく包み込むような力。


私は両手を前に差し出し、溢れ出す魔力を光へと昇華させた。


「これが、私の“ほんとうの癒しの力”——!」


輝きは夜空を照らし、闇の中にぽっかりと希望の穴を穿つように、静かに、けれど確かに世界を照らしていた。


けれど——。


「ふん……まだ目覚めぬか……」


闇の男が呟いた。


次の瞬間、彼の闇が地面を這い、私の足元に届く。


「りめる様——!」


青年の叫びが響く間もなく、私はそのまま闇に呑み込まれていった。


——ああ……光が、遠ざかっていく。


意識が暗闇に沈みかけたその瞬間、かすかに、どこか遠くから声が聞こえた。


「……りめる……まだ、終わりじゃないですよ」


その声に、私は——目を見開いた。

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