第6話 奈落の化身
来未は隠し扉の周りを調べた。するとスイッチが見つかったので即押してた。すると床が開き階段が現れた。
「隠し扉か・・・いい思い出はないな。でも、入るしかないんだよな・・・」
階段をおりるにつれて段々と景色が変わってきた。階段を降りると牢屋のような部屋がいくつも現れた。
「・・・・・・・・・まるで拷問部屋だな・・・」
部屋の奥に進むとこの中で1番大きな部屋があった。それはどの部屋よりも危険な道具が多かった。そしてその中に裸で拘束されて泣いている女の子を見つけた。
「・・・れ・・・の。だれな・・・の・・・そこ・・・にいる・・・のは?」
「僕は水無瀬来未。君は誰?どうしてここに囚われているの?」
「私・・・は、ミューナ。ミューナ・シャル・エレメツ。ソートレン王国の姫。ある日突然魔女によってここに連れ去られました。それから3年間ずっと拷問をされ続けて囚われてます。あの・・・」
「助けてくれ、なんて言うなよ。僕にそれをするメリットがない」
すると女の子は小さな声で言ってきた。
「違い・・・ます。・・・違います!速く逃げてください。あの魔女には誰も敵いません。見つかる前に速く・・・」
「おやおや、ここまでくる人がいたなんて」
気がつくと後ろに謎の女が立っていた。その女はローブを覆って顔がよく見えなかった。
「お前、何者?」
「私かい?私はその女が言った魔女だよ!」
《ファイヤーアロー》
女はそう言うと突然攻撃してきた。
「っ!?やばいな!おいっ!」
《暗黒化》
周りの闇が身体中にまとわりついてきた。闇は羽や角を作り来未を悪魔のように変えてしまった。そしてそのまま炎を飲み込んだ。
「それはっ!?・・・・・・・・・まさかあなたがその力を持っていたなんて。驚きですよ。でも、まだ力を使いこなせてないようです。今のうちに殺しときますか!」
《ホーリー・ナイト・イクリプス》
その声と共に辺りは白い光に包まれた。・・・気がつくと来未は吹き飛ばされていた。左の脇腹に大きな穴が空いてあり両足に無数の斬撃のあとのようなものが刻まれている。纏っていた闇も霧散していた。
(何が・・・起こった?体に力が入らない。身体中怪我をしているな・・・)
魔女が近づいてきた。すると、笑い声とともに魔女が何かを話しているのが聞こえた。
「くひひひひ、アンタはもう死ぬんだ。まだ力も使いこなせないような青二才が私に適うわけないんだよ。くひひひ」
魔女は余裕ぶって笑っている。その様子はまるで今から殺すことを待ち遠しく感じているようだった。
(・・・クソッ!ここで死ぬのか。もしここで死んだらまた、甦れるのか。・・・いや、多分無理だ。前のやつは手違いだったから甦ることが出来た。だが、今回は違う。ここで死んだら終わりだ。・・・前もそうだ、日本にいた時も同じようなことに・・・どうにかしてこいつを殺す。僕が、いや俺が死なないようにするために)
魔女は杖を構えて魔法の詠唱をしだした。
(弱い心と決別しろ。今はただこいつを殺して家に帰ることだけを考えろ)
そこで突然何かが体の中に入ってくるのを感じた。それと共に自分の中の何かが変わった。
「くひひひひ、これで終わりよ」
《ホワイトランス・スティッ・・・》
「終わるのはてめーなんだよ」
来未は詠唱の途中で小さな声でそう言って唱えた。
《制限解除》
「っ!?」
今まで消えていた闇が増幅し身体中にまとわりつき出した。闇は体を覆い身体中の傷を癒し、脇腹に空いた穴を埋め治してしまった。そのまま闇はそのまま魔女に向かってのびていった。
「闇は効かないよ!」
《ホーリー・ナイ・・・》
闇は魔女が呪文を言い終わる前に魔女を飲み込んでしまった。
「潰れろ!!」
《地獄握》
その言葉を唱えると、何も無かったところから闇が現れ魔女を囲んだ。闇は潰れ小さな球となった。すると、闇の間から魔女のものと思われる血が流れてきた。
「何とかなったな。初めて見る技だが俺の魔力はどうなっているんだ。オール10だったはずなのだが・・・まあいい」
来未は再び牢屋の前に立った。そしてふらつきながら、目の前の少女に向き合った。
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