第30話 緊急クエスト発生
服屋を出るとみんなは温泉に向かった。温泉に着くとすぐに中に入った。中に入ると何人か人が入っていた。
「やっと入れるな。まさか服を買うのにあそこまで時間がかかるとは・・・」
そう、今はもう夕方である。なんと服を買うのに3時間も使ったのだ。2時間くらい経つとみんなはヌルヌルが嫌になりだして急かしてくるほどに時間がかかったのだ。
3人は急いで服を脱ぐと足早に風呂場に入っていった。来未とマリムはあとからゆっくり風呂場に入った。来未は体を流すと風呂に入った。
「はぁ〜〜〜、ごくらくごくらく」
「き、気持ちいい〜」
「やっとヌルヌルが落ちたわ」
「いいですね。ご主人様」
皆は口々に言ってくる。それから数十分がたつと、辺りに霧が立ち込めてきた。湯気とも思えたが、なんだか嫌な予感がしたので上がることにした。
「俺はもう上がるよ。お前らものぼせる前に上がってこいよ」
『は〜い』
みんなは腑抜けた返事をした。しかも上がってきたのはキュラだけだった。来未は素早く着替えると脱衣所を出ようとした。すると風呂場から悲鳴が聞こえた。
「きゃあ〜!ご主人様!助けて〜!!!」
「くるみ〜ん!早く来て〜!」
「来未〜!はやく〜!」
「急になんだ!?」
来未は急いでドアを開けた。すると、イコの触手のようなものが皆に絡みついていた。来未はすぐに背中の剣の柄を握った。
「クソッ!結界みたいなものがあって入れねぇ!”属性変化・水”・・・キュラ!魔法を頼む!特別なやつだ!」
「え?な、なんで知って・・・、あ、そういう事か」
来未が優しく微笑むと、キュラは不敵に笑った。
《時空歪曲》
すると、結界が空間ごと曲がった。ぐにゃぐにゃに曲がった結界は形を崩し壊れた。
「よくやった!キュラ!・・・”激流閃・連撃”」
来未は一瞬の間に触手を切り刻んだ。来未は3人を助け出すと触手が出ていた方に目をやった。すると、そこに何者かがいた。その者は来未と目が合うと地面の中に潜り消えてしまった。
「・・・・・・逃げられた、か・・・」
「だ、大丈夫?」
「うへぇ、またヌルヌルだよぉ〜」
「また、風呂に入らないと行けなくなったのよ、どうしてくれるのよぉ」
3人は口々に文句を言っていると思ったが1人だけ違った。
「はぁ♡これがヌルヌル・・・。くせになりそう♡」
来未は見なかったことにしてこっそり風呂を出た。そして、そのままギルドに向かった。念の為、ミューナ達にはマーキングをつけていつでも助けられるようにして。ギルドに着くと中は大慌てだった。
「あ!来未さん。いいところに来てくれました」
「何がだ?」
「今、この街に霊波が近づいてるんです。でも、こんなすぐに霊波が来るのは初めてなので手が足りなくて・・・」
「ちょっと待て、その前に話したいことがある。さっき温泉に行ったがイコに襲われてしまった。そこに人がいた。おそらく何者かがイコを操っている」
「本当ですか!?もし、本当なら大事件ですよ!」
「本当だ。目が合ったからな」
それを聞いた途端、ギルドの雰囲気が変わった。これまで以上に真剣な顔つきになった受付の女の子はお辞儀をして頼んできた。
「お願いします。ギルドの緊急クエストを受けてください。内容は、イコの討伐、謎の襲撃者の処分です。もう、この街には頼める人があなた達しかいません。どうかお願いします!」
来未は少し悩んだが言った。
「断る。なぜ俺がしなければならない。さすがに危険すぎるな。勝てるかも分からない相手と戦うのは得策では無い」
「それでも、もう希望はあなた達しか居ないんです!何でもします!どんなことでも言われた通りにするんでお願いします!」
強く懇願されてしまった。断れない状況になった。来未はまた、少し考えると言った。
「・・・仕方ないな。やれるだけやってみよう」
そう言うと、ギルドが歓喜でつつ待った。どうやら本当に俺以外いないらしい。よく見ると、冒険者がかなり減っていた。来未はギルドから出ると、装備を整えた。
(はあ、多分これからこういうのが増えてくるんだろうな・・・。そうなったら、自分の、命を優先しよう。それにしても、テンプレなのかそうじゃないのかわからんな。例えば、ミューナは分かるぞ。姫だしな。でも、ニューとキュラはギルドの受付の女の子じゃん。それにマリムは幽霊でしかも超ドMだしな。いや、ドMってところはテンプレなんじゃね?)
そんなことを考えてると、ミューナ達が帰ってきた。
「お前達、これからクエストだ」
「今からですか?」
「そうだ。緊急クエストだから直ぐに行かないといけない。装備を整えろ」
「な、内容はなんですか」
「イコを操っているかもしれない男を見つけて殺すこと。それが今回の依頼内容だ」
「ふふ、なんだかやる気が出てきたわ」
「私も、私も!」
「良かった。皆やる気になってくれて。じゃあ、行くぞ」
『うん!』
「ご主人様、転移魔法で行きますか?」
「いや、やめておこう。敵が待ち構えているかもしれない」
そう言って来未は謎の村に向けて足を進めた。しばらく歩くと村があった。来未は1度神眼で確認してはいることにした。よく見ると、結界のようなものがはられていた。
「結界がはられている。前に来た時はなかったよな?」
「そうですね。やはり、何者かがここにいるのでしょうか?」
「おそらくな」
来未は試しに入ってみた。すると簡単に入れた。しかし、出られなかった。
「どうやらこれは中に閉じこめるための結界のようだ」
「だ、大丈夫?」
「なんともないなお前達はそこで待ってろ。危なくなったら転移魔法で逃げろ」
来未はそう言って村の奥深くまで調査に行った。ミューナ達は小さな結界を張り待つことにした。そこで、ニューはキュラの魔法について聞くことにした。
「ねぇ、突然なんだけどキュラのあの技って何なの?」
「じ、時空間魔法のことですか?」
「多分それだと思う」
「あれは私の固有魔法です。時空間または、空間に影響を与える魔法です。来未くんは神眼で確認していたみたいですけど・・・」
「なにそれ!?凄いじゃない。これまでどうして使わなかったの?」
「こ、この魔法を使うと、魔力の3分の1を持ってかれるんだよ。だから切り札として使わないと行けないの」
「そうだっのね・・・」
「そ、そんなことより、来未くんは今どうしているんでしょうか?」
「そうね・・・」
「ご主人様・・・無事に帰ってきてください・・・」
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