第27話 心霊の街に来た
調査を初めて数時間がたった。しかし、村人が1人も帰ってこなかった。
「おかしいな、見たところ廃村ってわけじゃないのに誰もいねぇ」
「そう・・・ですね」
「もう少し調べたいところだが、これ以上は何か危険な感じがする。この村は何かおかしい。近くの町のギルドに調査依頼を出そう。引き上げる・・・ぞ・・・」
気がつけば目の前に女の人がいた。その人は1度こちらを見ると振り返ってどこかに行ってしまった。
「な、な、な、なんですか?あ、あれは」
「女性・・・でしたね」
「追いかける?」
「いや、やめとこう。傷を負った訳では無いが、みんなの疲弊がすごい。今深追いしても危険だ」
来未はそう言って村を出た。すると反対側の方から村の中に入ってきた。
「・・・」
もう一度出た。しかし、また同じ結果だった。
「まぁ、テンプレだよな。こういう場合は出られないってのが普通なんだよな」
「転移魔法で出ますか?」
「そうしよう。頼む」
ミューナは頷くと詠唱を始めた。
《転移空間》
来未達は光に包まれた。光が収まると、普通に村の外に出られた。
「・・・普通に出られたね」
「そうだな・・・だいたいこういう時は出られないんだけどな」
来未達は何事もなかったかのように村を離れた。
しばらく歩くと街があった。
「やっと着いたな。ここは?」
「ソートレン王国の領地からかなり離れたので分かりません」
「あ、あの・・・ここ、知ってます。ここは、世界一心霊現象が起こる街<ファントミリオン>です」
どうやらここはファントミリオンという街らしい。確かに心霊現象が起こりそうな不気味な街だ。さらに、心霊グッズなど色々売ってある。
「それにしても、心霊の街って呪われたりしないのか?」
「だ、大丈夫らしいですよ。余程のことがなければ何も起こりません」
街の真ん中にギルドがあった。ギルドに行くと、なかに人がかなりの人数いた。そして代表のような人が何かを話している。
「緊急クエスト!緊急クエスト!街にいる冒険者は今から来る霊波に備えてください!」
ひと通り話すと冒険者は慌てて出ていった。受付の人に話を聞いてみることにした来未達は、受付の人のところに行った。
「ちょっといいか?今何が起こっているんだ?」
「えっと、この街は初めてですか?」
「そうだ」
「そうでしたか、えっとですね今からこの街には霊波というのが来ます。霊波というのは、無数の亡者たちの霊が集まってひとつの実態を持たない魔物になったものです。皆さんはそれに備えて装備を整えていたりしています。もし良ければ参加してくださいますか?」
「ちょっと待ってくれ」
来未はそう言うと3人に話をしようとしてきた。だが、それより早く3人は言った。
「別にいいですよ。ご主人様」
「どうせ何もしないでも暇だしね」
「た、助けましょう。この街を助けると何かいいことがあるかもしれないですよ」
来未は再び受付の人の方をむくと言った。
「いいよ。みんなもいいって言ってるしね」
「そうですか、ありがとうございます。ではステータスプレートを拝見します」
来未達はステータスプレートを見せた。
「いいですね。はい、これで参加が出来ました」
「ありがとな」
それから色々話を聞いて、武器を揃えに行くことにした。ギルドを出て、少し歩いたところで来未があることを思い出した。
「そうだ、新しい魔法を覚えたんだよ。ここ最近戦ってばっかだったし、修行したからかレベルが上がってな。武器召喚っていう魔法と、モンスターテイムっていう魔法だ」
「凄いですね」
「なんだ、驚かないのか?」
「なんだかもう慣れちゃったね」
「そ、そうだね。いっぱいあって驚かなくなったよ」
「そういうものなのか。まぁいいや、試しに武器召を使ってみよう”武器召喚”」
すると、空間に魔法陣が現れた。そこから禍々しい剣がでてきた。
「なんか、やばいの出てきてない?」
「ほ、本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。神眼で確認した。ええと、<災厄剣・獄>だって。・・・なんだこれ?アーティ・・・ファ・・・クトってなんだ?」
『えっ!?』
3人は驚くと剣をジロジロ眺め始めた。
「嘘でしょ。神器の次は、アーティファクトって・・・。欲張りすぎよ」
「おい、もしかしてだがアーティファクトって古代の武器とかそんなのか?」
3人はすごい速さで頷いた。
「本当だ・・・、私の心眼でも何も見えない・・・」
「多分あれだな、俺の魔力量が多くて召喚したのがかなりヤバいやつだったパターンだな」
「そもそもだけど、その魔法の効果ってなんなのよ?」
「た、確かにそうです。召喚ってどこから召喚したんですか?」
「知らんけど・・・あ、なんか書いてあった。えとえと・・・」
書いてあった内容がこれだ。
<武器召喚>
時空変動を起こし、別次元から武器を召喚する。召喚する武器は別次元内で生成される。生成される武器は、召喚魔法を使う際に使われた魔力量によって変わる。
「・・・じゃ・・・じゃあもしかして、ご主人様の魔力って・・・」
「あ、アーティファクトより多いってこと!」
「ま、まぁそうなるな」
3人は驚いて声も出なかった。
「あ、そうだ。皆もいる?」
『お願いします・・・』
来未は武器を召喚した。いくつか召喚したが、4個目で変なのがでてきた。
「ん?なんだこれ?」
それは、鎧になる剣だった。・・・と言うより、どんな武器や防具にもなる武器だった。それを見ていると急に警報がなった。
「・・・そろそろみたいだな」
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