第24話 ミューナの決意・来未の決意
ついに運命の日が来た。朝起きると、皆は直ぐに着替えた。だが、来未は帰ってきていなかった。
(来未・・・きっと来るよね?)
着替えが済むと、王の側近の人が来た。近衛騎士団長と共に来た側近たちは、足早にミューナ達を王の間まで案内した。部屋の前に来ると側近の人が声を上げた。
「ミューナ姫がまいられました!」
中に入ると、凄く高そうなものでいっぱいの部屋だった。そして長い廊下のおくの階段の上の真ん中に置かれた椅子の上にソートレーは座っていた。ミューナ達は前に進んだ。ソートレーの前に立つと話し始めた。
「よく来ました。お待ちしていましたよ。あら、来未さんはどうしたのですか?」
「まだ、帰ってきてません・・・」
「そうですか。まぁ、分かりますよ。ミューナ、あなたと別れるのが嫌だっのでしょう。いない方が別れを惜しむことが無いですしね。逃げたとも考えられますがね」
「そんなわけありません!あの人は私達はを裏切ったりしません!」
「分かりました。そういうことにしておきましょう。では、早速答えを聞きましょう」
「はい・・・」
周囲の空気が重くなった。
「私は・・・この街には戻りません!ご主人様・・・いや、来未様と一緒に旅を続けます!」
周りの衛兵たちがざわめき出した。
「そうですか。残念です。仕方がありませんね」
ソートレーが手を上げると衛兵たちは落ち着き槍をミューナ達に構えた。
「今すぐそのものたちを捕らえよ!そこのふたりの女は拷問部屋送りにしろ!そして、水無瀬来未を反国家勢力として賞金をかけろ!罪状は国家反逆罪にしておけ!」
その言葉を聞いた周りの衛兵たちほニューとキュラを拘束し両手足に枷をつけた。
「お母様!それは、やりすぎではありませんか!これではまるで・・・」
「黙りなさい!あなたは何も分かってません!あなたがこの国にとってどんだけ大事か理解してください!そんな大事なものを奪おうとしているのです!当然あの男にはそれだけの罰を受けてもらわないと行けないのです!」
「そんな!」
「ですが・・・一つだけチャンスを与えましょう。それは、あなたがこの国に留まり王を継承すると言い直せば今のことを取り消しても構いません。どうしますか?あなたの一言に皆さんの命がかかっているのですよ」
ミューナは黙ってしまった。
(そんな、私はもう皆と冒険は出来ないの。それに、私のせいでみんなは犯罪者にされて、痛い目に・・・)
「さぁ、早く答えを出しなさい!あなたの言葉にあなたの仲間の命がかかっているのです!わかってますよね」
その一言でミューナは決めた。嫌だけど、言いたくないけど仕方ないと心に嘘をついた。言い訳をした。枯れた声を絞り出すように、小さく言った。
「分かり・・・ました。私は・・・」
「まて、それ以上言うな」
突然の声に驚いて振り返ると、来未が立っていた。それも、ポッケに手を入れてモデル撮影をするかのような姿勢をしている。
「ごしゅじん・・・さま・・・」
「皆またせたな。悪かった」
「遅いのよ!怖かったわ!」
「そ、そうよ。もうちょっと早く来て欲しかったよ・・・」
「悪いな、準備に少し手間どってしまった。だが、もう大丈夫だ」
そう言ってニューとキュラの枷を切った。すると皆が泣いて抱きついてきた。
『うわ〜ん・・・本当に怖かったよ〜』
「水無瀬来未!」
国王が突然フルネームで来未のことを呼び出した。
「フルネームで呼ばれたのは久びさだな。なんだ?」
「残念でしたわね。あなたが今頃出てきたところでこの話はもう決まっておりますのよ。あとは、ミューナが国に残ると言うだけ。他の言葉は受け付けませんわ」
来未は周りを見るとすぐに察した。だが、ミューナ達の顔を見るとうなづいて不敵な笑みを浮かべた。
「そうか、拒否させてもらう。ミューナ自信が拒否してるんだ。それを聞かないやつは仲間でもないし、家族でもない」
「言いますね。あなたわかってますか?今あなたの神器はこちらの手の中にあるのですよ」
「あぁ、そうだ。だが、今手に持っているのがお前でも持ち主は俺だ」
「どういうこと・・・」
急に神器がカタカタ震えたした。
「なに?どうしたの?」
「言ったろ。俺の神器だって。神器は神器が認めた相手にしか使えない。今その神器は持ち主である俺の元に帰ろうとしている」
「そんな・・・させません!これはもう我が国の国宝なのですよ!」
ソートレーは必死に神器を握りしめ腕で抜けないように挟んだ。
「無駄だ!神器はお前らを拒絶した!だから、返してもらう!」
《共鳴せよ》
その言葉と共に神聖剣シャイニング・アーツと魔剣ナイトメア・エビルは共に白の光、黒の光を放ち出した。そのままシャイニング・アーツから光が、ナイトメア・エビルからは闇がどんどん国王の体にまとわりついてきた。
「な、なんですかこれは!何をしました!」
「何度も言わせるな!神器自信がお前達を拒絶している!そして、俺達もお前を拒絶している!その心が共鳴したんだ!今すぐ手を離せ!死ぬぞ!」
たまらず国王は神器から手を離した。すると、体にまとわりついていた光と闇は虚空に消えていった。神器は手から離れた途端、来未の元に自分から戻ってきた。
「お帰り、もう盗まれないよう気をつけるよ」
「やってくれましたね・・・」
そう言って国王は立ち上がると手を再び上げた。そして直ぐにこちらに向けて下ろした。
「今すぐそのもの達を捕らえよ!女は拷問、男は殺せ!」
そう言うと直ぐに衛兵達が突っ込んできた。
「短気だな!”黒繭”」
来未達の体は黒い球体に覆われた。
「そ、そんな・・・お母様!おやめ下さい!」
「もう、聞きません。あなたは勘当です。一緒に拷問でも受けてください」
「っ!?」
ミューナは絶望した。声も出なくなり、俯くことしか出来なくなった。そんな中一人の男が声を上げた・・・。
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