第23話 女の子達の休日part.2
3日目の朝、ニューは部屋の中で着替えていた。
「結局昨日は帰ってこなかったわ・・・。どうしたのよ?こんな時あなたは絶対いると思ったのに・・・」
「ど、どうしたの?」
「な、なんでもないよ」
「?」
どうやらニューの呟きはキュラには聞こえていなかったようだ。
「あ、あれ?私のパンツが無くなってる。それに、ブラジャーまで・・・。ち、ちょっと待って・・・服もないよ・・・」
キュラは裸で洋服を探している。
「ふふっ」
「も、もう何?」
「いや、なんか考えるのが馬鹿みたいにたそなったから」
「?」
(そうよ、きっと来未はなにか策があるはず。信じて待とう)
「キュラ、あなた夜裸だ寝るのはどうかと思うのよ」
「う、うるさいな。い、いいじゃないか。これじゃないと寝られないんだよ」
「フーン、そんなあなたにいい知らせがあります。なんとここに、あなたのお洋服がありま〜す」
ニューが洋服を掲げるように見せつけると、キュラが飛びついてきた。ニューはそれを避けてドアを開けると洋服を外に投げた。
「あっ・・・」
キュラは膝から崩れ落ちると泣き出してしまった。少し泣くと、俯きながら裸で外に洋服を取りに行った。戻ってくると、キュラはもっと泣きながら部屋に入ってきた。顔はりんごのように真っ赤に染まっている。
「・・・か、・・・ニューのバカ!し、下まで落ちていたから取りに行ったのよ!そしたら衛兵の人に見つかったし・・・。す、すごく恥ずかしかったよ!」
キュラが泣きながらそう叫んだ。ニューが謝っているとミューナが部屋に入ってきた。
「皆、今日も街に・・・行こ・・・う」
ミューナは裸のキュラを捕まえるニューを見て声よもでなくなった。
・・・それからしばらくして街に来た。それまでに何度も説得したがなかなか信じて貰えず、やっと街に出て信じて貰えた。
「それにしても、今日が最終日となるとなんか寂しいな」
「そ、そうだね。それじゃあみんなで遊園地に行こうよ」
『いいわね!それ』
しばらく歩くと遊園地が見えてきた。遊園地の前に行き中に入った。
「は、初めて来ました・・・。わ、私あれ乗りたいです」
そう言って指さしたのは、ピンポンボールというものだった。
「何これ?私ずっと王城の中にいたからわかんないよ〜」
「あ、私もわかんない」
「な、なんでわかんないんですか!初めて来たけど私すぐに分かりましたよ!それに、遊園地と言ったら定番じゃないですか!」
「そ、そうな・・・の?」
「そ、そうです!」
ミューナとニューは気圧されてしまった。そして、後で来未に聞いてみようと心に決めたのだった。それからはキュラの怒涛の遊園地巡回コースに振り回された2人であった。
「・・・はぁはぁ、まさかキュラがこんなに遊園地が好きだったなんて・・・」
「そう・・・ね。私も初めて見たのよ」
「み、皆!まだまだこれからだよ!」
2人は急速に顔を青ざめさせて縮こまってしまった。
「ね、ねぇ少し休まない?」
「・・・わ、分かりました」
3人はベンチで休憩することにした。ニューが喉が渇いたと言うと、ミューナが水を魔法で発生させた。
「フゥ、今日は楽しかったね」
「そうだね」
「わ、私も凄く楽しかったです。また、一緒に来たいです。次は来未くんも連れて・・・みんなで遊びたいです」
「あ、ていうかはしゃぎすぎてキュラも前みたいに戻ってる」
「えっ、あっ、えと、ふぎゅぅ〜」
キュラの頭がパンクしたみたいだ。頭から煙を出してミューナの膝の上に倒れてしまった。
「ふぎゅぅ〜、だって。ふふふっ」
「あ〜、わ、笑ったな」
3人で楽しく話しているとアナウンスが聞こえてきた。
『現在館内にいる人たちに連絡です。もうすぐ閉館の時間となります。お帰りの際は忘れ物に気をつけてお帰りください』
「そろそろ閉館だね。帰ろっか」
ミューナはそう言うと詠唱を始めた。
「忘れ物は無い?ミューナ、キュラ」
「な、ないですよ」
「私もないよ。それじゃあ行くよ」
《転移空間》
3人の体は光と共に消えた。
━━3人が遊園地を出た時、来未はちょうど部屋に帰ってきた。ドアの前に来て、半分開けると突然部屋の中に3人が転移してきた。来未は話しかけようと思ったが、楽しそうな様子を見てそっとドアを閉めた。ドアにもたれ掛かると中の話を盗み聞きし出した。
そしてミューナ達ははなしだした。
「皆ありがとう。これでもし今日が最後の日になっても悔いはないよ」
『・・・』
2人は黙ってしまった。そんな静寂の中キュラが口を開いた。
「・・・そ、そんなこと言わないでよ。か、悲しいよ!私達はでまた冒険したいよ!」
「キュラちゃん・・・。ごめんね、こんなこと言って。・・・私も・・・私もまだ皆と冒険したい!私、まだ皆と話がしたい!遊びたい!仲良くしたい!」
「・・・私も!くるみんと喧嘩しちゃったけど仲なおりしたいよ!また皆で冒険したいよ!こんなとこで・・・終わりたくないよ!」
3人は泣き出してしまった。そして、抱き合うと慰め合う形で泣き続けた。来未はそっとその場を離れるど再び森の中に向けて足を進めた。そして、決心した。
「皆、待ってろ。必ず俺が・・・。あと少しだ。もう少しで完成する・・・」
小さくそう呟いて王城を後にした。
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