第13話 新しい町
来未達は新しい町のギルドへと来ていた。
「これから何かクエストを受ける。そしてお金を稼ぐぞ」
「ねぇ、ちょっと待ってよ。手は打ってあるってどういうことよ?それに、お金を稼ぐってなんで?」
ニューが不安そうに聞いてきた。
「国王に会った時に国王のステータスは確認した。もちろん周りの人達全員もだ。その時に俺のスキルが通用するってわかったから発動した」
「スキルって、もしかしてあの時のアレですか?」
「そうだよミューナ。<大規模超級幻覚魔法ファントムレイス>だよ」
「あれを使ったの?」
「あぁ、使った。だからサモネン王国で俺らの顔を知る者はいない。全員仮面を被っていたことにしてある。それに、あの場には俺を倒せるようなやつはいなかったよ」
そう言うと2人は安心したようにホッと息を漏らした。
「だが、そううかうかしてられない。あそこには俺を殺せる人がいなかっただけで、俺を殺せる武器はあった。だから対抗するために俺たちはこの世界にある神器を探しに行く」
『じん・・・ぎ?』
「そうだ、特訓で神眼を手に入れて初めて使った時に見つけた。それを回収しに行く」
2人は頷くとギルドの依頼を持ってきた。その依頼内容は、神器・神聖剣シャイニング・アーツと魔剣ナイトメア・エビルの発見、回収のクエストだった。どうやら2人とも前に来たことがあり何年も前からこのクエストのことを知っていたらしい。
「報酬は300万・・・これなんて読むんだ?」
「300万ゼルよ。お金の単位くらい覚えてよね」
「悪いな。だがちょうどいい。このクエスト受けるぞ」
・・・それから少し歩いて神眼で見えた場所の近くに来た。そこにはダンジョンがあった。
「ダンジョンか。多分この奥深くに神器はある。早く見つけるぞ」
ダンジョンの中に入ってすぐに来未達は絶句した。なんとそこらじゅうに骨や死体が転がっていたのだ。腐敗しておりかなりの悪臭を漂わせている。そして驚きなのがこのダンジョンは1層しかなく、壁の向こえにドアがありその中に神器があるのだ。
「あそこにある。神眼で確認した」
3人がドアの前に立つと急に後ろの方で魔法陣が展開された。すると、そこからローブを着て浮いている多種類の武器を持った骸骨がいた。それを見たニューが、驚いて声も出なくなった。そして、声を絞り出すように小さな声で呟いた。
「うそ・・・でしょ。・・・・・・・・・エンペラー・スカル・アーク・・・」
そして、その骸骨は鎌を振りかぶるとものすごい速さで切り裂いてきた。何とか避けた来未だったが、肩から脇腹にかけて深く切られてしまった。
「ゴフッ!・・・・・・・・・」
(やられた・・・。深手をおったな・・・)
それを見たミューナが近寄ってきた。
「大丈夫ですか!?今回復薬・・・」
気がつけば魔物がこっちの方に来ていた。
「避けろ!ミューナ!」
そう言って来未はミューナを投げ飛ばした。魔物はそんなことも気にせず来未を切り裂いた。そのせいで来未は先程とは逆の方向で深い傷を負い、十字に傷を負ってしまった。
(まずい!こいつのスキルは・・・)
魔物は声とも言えない声で唱えた
《クロスカット》
来未の傷が光ると来未の体には十字に穴が空いていた。そこから大量の血が流れ出した。再びミューナが戻ってくると回復薬を使ってくれた。しかし、腹の穴は治らなかった。
「回復薬では無くなったものは治りません傷ならいいんですが、穴は埋まりません」
「そうか・・・。さて、どうやって倒すかね・・・こいつを」
「ご主人様、いつものやつは使わないのですか?」
「あぁ、こいつには効かないからな。神眼で確認した。ニュー、なにか倒す方法はあるか?」
だが、ニューは応えない。というより応えられなかった。恐怖のあまり泣いて体が動かなくなっていた。さらにニューの目の前には骸骨が鎌を構えていた。
「クソッ!ちょっと待てぇぇぇぇ!」
間一髪のところでニューをお姫様抱っこで助け出した。気がついたニューはさらに泣き出してしまった。
「来未ぃ!怖かったよぉ!」
「そうかそうか。でも泣くな。おもらしする程怖かったんだな。あと、おもらしするのはいいけど俺の足におしっこをかけないでくれないか」
「ご主人様!大丈夫ですか?どうします?」
「ニューをよろしく。・・・もう迷ってはいられない」
そう言って来未が手を前に突き出すと身体中に炎や水、雷がまとわりつき出した。
《トライフォース》
その声とともに来未の体は3色に光出した。
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