第1話 バグってる異世界召喚
学校のチャイムがなった。すると、クラスのみんなは号令とともに立ち上がり終わりの挨拶をする。これが当たり前の日常。そんな日常は、突然の光とともに終わりを告げた。
「うわっ!なんなんだこれ!?」
突然現れた魔法陣にクラスの皆は口々に喋った。そしてその光はクラスを包み込むと一瞬にして中にいた人達ごと消えてしまった。
目を開けるとそこは森の中だった。周りに建物などはなく木や草などの植物しかない。そういえば、自己紹介が遅れたが僕の名前は水無瀬来未。かなりのオタクだ。さらにこの名前と性格で高二になった今でもいじめられてきた。
「ここはどこなんだ?確かあの時に僕以外にもクラスのみんなが光の中にいたはずなのに」
たが、そこには誰もいなかった。
「とにかくみんなを探さないと」
すると、少し歩いたところで男に出くわした。
「あの、すいません。ここはどこかお尋ねしたいんですけど・・・」
「何者だ!?貴様!」
すると男は剣をつきつけてきた。しかし男は急に何も言わなくなると逃げるようにその場からいなくなった。不思議に思って後ろを振り向くと、得体の知れない巨大な犬のような生き物がこちらを睨んでいた。
「うわぁぁぁ!何なんだ!?」
驚いてコケてしまった。するとその生き物は噛み付いてきた。
「あぁぁぁぁ!来るな!来るなぁ!」
そこで突然右腕の感覚が消えた。目をやると右腕を食べられていた。
「うわぁぁぁ!腕がぁぁぁぁ!」
激痛で動けなくなっている。しかし、その生き物はこちらに来ている。顔を上げると、やはりこちらを睨んでいた。そして意識は途絶えた。しばらくして目を覚ますと、目の前には一人の女がたっていた。その女は、近寄ってきていった。
「あなたは死にました。それも異世界で。この状況を理解してない様子なので説明します。あなた方は、この世界に召喚されました。しかし、あなただけは皆様がいる王都ではなく王都から離れた大森林の中に召喚されました」
それからその女は説明を続けた。そしていくつか分かったことがある。まず、この世界は魔王がいる。そしてその魔王を倒すべく異世界から勇者を呼んでいる。そしてこの世界には魔物がいるという事だった。
「あなたは何らかのバグのようなもので王都には行けませんでした。何かお詫びをしたいのですが、こちらの手違いによって死んだも同然なので生き返らせることを前提に何かありますか?」
「日本に帰ることは出来ますか?」
すると女は首を横に振った。
「そうですか・・・。それなら力をください。この世界で最強になれる力を」
すると女は困った顔になった。
「どうして力を求めるのですか?」
「・・・この世界で生きることは難しい。だからです。それに力があれば帰る方法も見つかるかもしれないですし」
「分かりました。では、あなただけには通常の召喚時に手に入る力の他に沢山力を与えます。しかし、ここでの事は決して口外しないでください。このような事は初めてですので」
「分かったよ」
「そして最後に、力を手に入れたからと言って力を発揮できるかはあなた次第です。また、死ぬ前に食べられていた右腕は再生することは出来ませんでした」
「そうか、だから右腕が黒いモヤでおおわれてるのか」
それからその女は色々追加で説明をした。
「じゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃいませ。あなたに女神である私の加護を授けます。頑張ってください」
こうして新しい異世界生活が始まった。
初めての連載です。読んでいただきありがとうございます。