別れ
朝を迎え、何も知らないレイが目を覚ました。
起き上がりベッドで寝ている自分に違和感を感じた。
目を擦りながら朧気な記憶を頼りに昨晩のことを思い出そうとした。
あれ、風呂に入っていたような・・いつの間に部屋で寝ていたんだ?
服もしっかり着替えている・・・。
ぼくって意外としっかりしていいたんだな。
細かいところはレイのアホさでなんとかなった。
ベッドの傍には父さんが椅子に腰掛けているのに気が付いた。
「おはよう・・なんでぼくの部屋にいるの?」
「おう、おはようお前に話すことがあってな。それは後にするのして、昨晩のことは何か覚えているか?」
「昨晩?飯食ってから風呂に入ってそのまま寝たけど何?」
「いや、特に何もなければいいんだ。お前があまりに早く寝るから服も着ずに寝ていると思ってな。」
「そんなわけないだろ。もしそうだったら服くらいきせろよ!」
「ははは、そうだな。」
「それで話って何?」
「あー・・・後で話すとしよう、飯が先だ。下に用意してあるから食べたら外に来い。」
「・・・わかったよ。」
昨晩に引き続きどうも違和感がある。
そそくさと部屋から出ようとするガイルにレイ問いかけた。
「何かあったの?」
「・・・何もない。大丈夫だ心配はない。」
不安そうな顔で言われてもな。
そのままガイルは部屋を出て行ってしました。
ガイルの言われた通り下に降りて朝食を食べ、外に出た。
昨晩大鍋を囲んでいた辺りにガイルを含め他の面々が集まっていた。
「おーい、こっちだー。」
手を大きく振りながらベリア兄さんが呼んでいる。
足早にみんなのいるところへ向かった。
「みんな集まってどうしたの?アナ姉さんはいないけど・・。」
「あー・・あいつは腹が痛いらしい。」
「そうなの?珍しいな頑丈なのに。」
「ハハ・・本人居なくて良かった。」
レイの無神経な言葉でまた二人が揉めると面倒なのは明白たった。
回避できたことに安堵の言葉を漏らすベリアに苦笑いの一同だった。
レイ以外の全員がこの瞬間緊張と不安で押し潰されそうになっていた。
誰が話を切り出すか、どう伝えるかなど様々な思考が渦巻いていた。
そもそもレイが目を覚ました時点でガイルが事の全てを話す予定であったがガイルが怖じけずいた為ここまで持ち越したのだ。
ガイルに視線を送るが本人が涙目になっていた為責めるに責めれなかった。
「それで話って何?」
レイがベリアに問いかけたことで話をするのはベリアに決定した。
全身から冷や汗を垂らしながら話し始めた。
「あー・・実はなレイ。今日でお前はここを出なくちゃいけないだ。」
突然のことで驚きを隠せないレイ。
「え・・・。」
すぐに言葉が出ないのは当然と言えばそうなのだろう。
ベリアはこの隙に話を続けた。
「突然のことで驚くよな・・・。気持ちは分かるぜ。オレ達も同じだから、どうか話を最後まで聞いてくれないか?」
「わかった。」
いつになく真剣なベリアの表情に頷くしかなかったレイ。
「すまんな。お前の傍に居てやりたいが、もうそれが出来ない。これからお前には魔導士育成所という国の管轄の機関に行ってもらう。」
「ぼく一人で!?」
「そうだ。」
「なんでぼくが?」
なんで?
事の真偽はわからないが、恐らく異端の闇の能力を魔力大戦で投入しようという国の考えなのではないかとほぼ全員が予想していた。
などということをレイには話せない。
闇の能力がどういうものかさえレイに教えてこなかった上、家族として接してきた手前説明する中で存在してはいけないなどと誰も言えなかった。
そんな思考をベリアは瞬間的に巡らせ、出した答えは・・・。
「それは・・レイ、お前自身が強く生きて行く為だ。」
半ば強引に理由をこじつけた。
それは無理があるのではないか?
大人たちはそう思った。
レイの反応はというと。
「わかった、頑張るよ。」
納得した。
真っ直ぐなレイの瞳がこの時ばかりは、苦しく感じた。
季節は春、爽やかな風が頬を撫でる中レイと別れの時間になった。




