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ヤミノクニ  作者: 瓜坊
30/30

すぐに終わる逃亡劇

 ルークはにやけながらレイにいい考えとやらを話した。

 その考えはこの国から逃げ出すことだった。

「はあ、逃げるってどこにだよ?馬鹿なのか?」

 さすがにレイもこの無謀な提案に呆れていた。

「誰が馬鹿だ!お前よりマシだ!てかお前このままだと殺されんだぞ?それよりはオレの提案に乗った方が百倍マシだと思わないのか?」

「…まあ多分な。にしても何処だよ?」

 この時点で既にレイはルークに飲み込まれはじめていた。

 ルークはニヤニヤしながら話し続けた。

GYua(ギュア)の国って知ってるか?」

 当然の如くレイは知らず、横に首を振った。

「だよな。ここから北上して国を一つ越えれば着く。」

「はあ?国を一つ越える!無理だろ!仮に行ってどうなるんだよ?」

 案の定拒否するレイに自信たっぷりのルークは続けた。

「GYuAはな平民が貴族に反旗を翻して独立した国だ。細かい法律が他に比べて緩いところだから運が良ければ居場所が出来る可能性が高い。」

「…それだけか?」

 レイからして見ればピンと来ない話だった。

「それだけでもこんな国よりは可能性が広がる!肉体的な労働だって、魔法使わないものある。死ぬよりはマシだろ?」

「…オレでも生きれるのか?」

 完全にルークに乗せられるレイ。

 ルークは案内状の紙を取り出し焚き火へと放り投げた。

「あっ!お前大丈夫かよそんなことして?」

「こんなところに行っても地獄を味わうだけだ。…オレは少しだけ抗いたい。」

 ルークのこの言葉には多少同意ではあった。

 レイは少し考え込んだ後、案内状の紙を取り出し焚き火へと放り投げた。

「よし、決まりだな!」

「…行き方分かるのか?」

「任せろ!オレ一人じゃほぼ無理たがお前の能力なら可能性は高い。よろしく頼むなすてご…じゃねえレイだったな。」

「お前何言おうとした?」

「…まあ気にするな。改めてルーク・サンダースだ。」

 何か流された…。

 大丈夫かこいつ?

「レイだよ。裏切るようなことするなよ。」

「フッ、どうだろうな?」

 ルークは不適な笑みを浮かべて返した。

 やっぱりこいつ腹立つから止めようかな。

「そんなことよりレイだけだと闇市場出身だとすぐにバレるから適当に名前つけろ。面倒なことになるぞ。」

「わかった。どんなのがいいんだ?ルークと同じでいいかな?」

「ふざけんな!てめえと兄弟なわけねぇだろ!」

「そうだよな、オレも弟はいらない。」

「何でてめえが兄貴なんだよ!下はお前だ!着くまでに名前考えとけ!」

「はいはいわかったよ、うるさいやつだな。」

 くだらない小競り合いの中レイはあることに気付いた。

「なあ、今から逃げるんだよな?焚き火なんかしたら場所分かるんじゃないか?」

「…大丈夫だ多分だけどな。何とかなる。」

 本当かよ…。

 不安しかなかったが、他にできそうなこともなかった。

「それよりも腹減ったなあ。何かねぇか?食い物とか戻った時…あぁ、まあないよな。お前野生児だから何か捕まえきてくれよ。」

「野生児じゃないし、後レイだ!少し食糧なら持ってきた。」

「お!マジか!くれ!いや、ください!」

 うるさいなぁ…。

「わかったから、干し肉くらいしかすぐに食べれるものがないけど。」

「おお!肉か、久しぶりだな!」

 レイから肉を受け取りムシャムシャと満面笑みで食べるルーク。

「うまいな!肉食ってるって感じだ!」 

「肉だからな。」

「はじめて食う食感と旨さだな。何の肉だ?」

「ウィンドホーンって鹿だよ。オレ食べ慣れてる。」

「…はぁ?高級品じゃねえか。」

 ブッチ同様にやはりウィンドホーンは希少らしく、レイの感覚とはかなり違う反応を見せるルーク。

「おめぇ…、こんないいもの食って何でそんな貧相なんだ?」

「うるさいな!オレの能力使えば仕留めるのは難しくないんだよ!」

「ほぉー、役に立つこともあるんだな。」

 こいついちいち腹立つこと言うな。

「他に何か食えそうなのないのかよ?」

「森の中だしな探せば山菜とか動物とかあるんじゃないか。問題は水だな川でもあればいいけどな。」

「川か…。あっ!これからまず行くルーテ帝国との国境に川がある。」

「ふーん、そこまでに何か捕まえて休憩でもするか。じゃあ、行こうか。」

「今から行くのかよ?暗闇だぞ!何があるかわからねぇ…。」

 これから逃げるんだよな…?

「暗闇の方が逃げるにはちょうどよくないか?」

「進むにしても何も見えないだろ。」

「川の音頼りに行けるだろ。」

「………それもありだな。よし、行くぞ。」

 なんなんだこいつ。

 ルークが腰を上げようとした時、後ろから枝葉をガサガサ揺らす音がした。

 咄嗟に二人は音する方向に振り向いた。

「なっなんだ?」

「わかんない…。」

 一瞬のうちに緊張感が張り詰めた。

 草木が少し揺れ、木の根本から革の靴が見えた。

 二人は同時に気付き、ルークはレイを置いて電光石火で瞬く間に逃げ出した。

「あっ、あの野郎逃げやがった!」

 レイも荷物取り焼け野原になった森に一時転移しようとした。

 だが、なぜか分からないが転移出来たのは100m先の森の中の茂みだった。

「えっ?はあ?なんでだ?さっきはうまくいったのに。」

「うお!てめえいつの間に!」

 その真横には真っ先に逃亡したルークがいた。

「ああ!お前やっぱり逃げやがったな!」

「うるせぇ、ついてくんな!お前は捨て駒だ!」

 ルークはダッシュで走り、レイを切り捨てに入った。

 レイはレイでそうはさせまいとその後を追いかけた。

「ふざけんな!逃げんなら一緒だ。捕まるのも一緒だ!共に行こう!」

「バカかお前!てめえと一緒にいたらどの

 道死刑なんだよ。」

「じゃあお前最初から切り捨てるつもりだったのか?」

「当たり前だ!」

「そうか…。なら、最後まで付きまとって出会った事後悔させてやる!」

「そうきたか…。つか何でこの暗闇で正確に位置分かるんだよ。」

 暗闇のこの状況は闇の能力には圧倒的に有利に働く。

 視覚や空間把握能力など無意識の内にとれる行動が昼間とほぼ変わらない。

 この事実はレイ本人も分かっていなかった。

 そして、二人が逃げようとしている相手はその更に上を行く人物だった。

 そんなことは知らずにレイとルークの二人は暗闇の森の中をひたすら走っていた。

 ルークの電光石火の転移を度々発動させ、それにレイはしつこく付きまとうことを繰り返していた。

「はぁはぁ…てめえしつこいんだよ…。」

「絶対に逃がさない…はぁはぁ…。」

「オレが逃げてんだよ…。」

「それもそうだな。撒いたかな?」

 夜風が暗闇の中枝葉を揺らす音だけがした。

「大丈夫だろ…多分な。」

 ルークは一瞬安堵したが、予想とは違う未来が待っていた。

 枝葉の揺らすがひどく大きくなった。

「な、なんだ?」

「わかなんないよ…。」

 ルークの怯えにレイも同調するしかなかった。

 なんなんだよこれ。

 ずっと感じていた違和感がここではっきりわかった。

 そんなこと考える間もなく、ルークが再び電光石火で逃げて行った。

「おい!逃げるぞ!」

 先ほどとは違い、レイに離れた場所から呼びかけた。

「お、おう!」

 レイは少し嬉しそうにしていたが、危機的状況は変わらない。

 レイもルークの後を追い、電光石火で転移した先についていたがルークの姿が突然消えた。

「あれ?ルーク、どこ行った?」

 辺り一帯をみてもどこにもいないどころか声もなかった。

「おい、ルーク!ルーク・サンダース!出てこい!」

 苛立ちを見せても反応なく、急な静寂。

 何処行ったんだよ、また逃げたか?

「くそ!どうすればいい。」

 とりあえず一人でも逃げるしかないな。

 もし次会ったら文句言ってやる。

 レイは一人の逃亡を決意していたが、ルークは逃げたのではなくレイの真上にいた。

 一本の木が彼を拘束していた。

 その木は意思を持っているかのように枝でルークの体を縛りつけていた。

 口元から足首までみの虫のように拘束され、ギリギリ鼻呼吸が出来る状態だった。

「んふー!ぬんだほりゃ!いぎっ!ふぎー!」

 必死でもがくルークの動きを消すように周りの木々も枝を揺らした。

 そのせいでルークの存在すら気付くことはなかった。

 気味の悪さと恐怖でレイはその場から走り去った。

 どうなってる、この森おかしすぎるだろ?

 レイが感じていた違和感は正しくはあった。

 だだ、ほぼ隔離された状況で育ったレイは世情と知識があまりに乏しかった。

 この森はある人物がが造り管理する場所。

 入った時点で既に認識され、監視さていた。

 ソトが造っていた霧の監獄と同じ作用が働いていた。

 ただ、違いがあるとすれば管理者の魔力が桁違いに大きかった。

 その森をひたすら走るレイに微かに川の音が聴こえた。

「よし!このまま行けば。」

 少しの安堵と達成感が一瞬だけ感じることはできた。

 水の豊かな匂いが鼻に触れ時に左の足首に何かが巻き付いた。

 前倒しになり、顔面が地面スレスレで何かが体を支えた。

「うわっ!……いっ!ん?えっ、なんだ?」

 一本の木が二本の枝を伸ばしレイを縛っていた。

「…なんだ、この木?気持ち悪!っうお!」

 次の瞬間にはルーク同様に縛り上げられ、二人の逃亡計画はあっけなく終わった。

 この時、木からは魔力で付け加えられた麻酔成分でレイは昏睡状態に陥った。

 ルークも既に深い眠りについていた。

 レイを縛りつけた木は独りでに歩きだしルークの近くまで運んだ。

 運ぶ道中の密集する木々たちは道を作るためワサワサ揺れながら退く姿は異様であった。

 レイとルークを縛りつけた木に茂みに潜んでいた女性が現れた。

 白髪の三十代くらいの顔立ちの整った美人。

 身長はそれほど高くはないが、鍛えられた筋肉質な体つきをしていた。

 衣服はシンプルで白シャツに黒のパンツスタイルに青色のコートを着て、左手にだけ革の手袋を着けていた。

「手間のかかる子ー。」








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