つたない決意
簡易な墓の前に立ちつくしてレイはあることを考えた。
これが全て誰かの仕業ならぼくはそいつを…。
もしかしたら、いや多分複数いるんだろうか?
何人いようがかまわない、探し出して報いを受けさせてやる。
報復の決意を胸に秘め、まず数日分の食料を探した。
日持ちする野菜や干し肉袋に詰め、あとは武器の用意だ。
一番最初に思いついたのはサラが持っていた剣だった。
レイたちが持っている武具の中で一番優れている代物がそれだった。
とはいえ、それ以外は父ガイルの能力で創られたなんちゃって武器しかなかった。
サラが持っていた剣は造る工程で魔法が行使されたらしいと聞いていたから、正直レイが持っていてもほぼ意味がなかった。
むしろ剣を劣化させるだけかもしれない。
今ないよりも数百倍はマシな状況でもあった。
サラが何故そんな一品を持っていたのかは未だに不明ではある。
レイは日暮れ時に剣一本を探し求めて誰もいない故郷だった荒れ地を歩き回った。
剣は見つかることなく日がほぼ落ちかけた時にある疑問が出てきた。
戦闘があったのに何でサラ姉さんは剣を持ってなかったんだろうか?
戦闘時に剣が飛ばされても、鞘はサラ姉さんの腰にあるはずなのにそれすらもどこにもない。
思いつくところは全て探した。
物置小屋から女性陣が使っていた家、各部屋、そしてクローゼットにタンスのなかの衣服と下着まで漁って探したのなかった。
あるのはここを出る時に父さんが持たせてくれた歪な短剣だけだった。
これで何とどうやって戦えばいいだよ…。
また、心が不安でいっぱいになった。
焼け野原をうなだれてながら歩き再び墓の前にもどった。
日が沈み、気温がぐっと下がったように感じた。
未だに王都方面の森は煌々と燃え続けていた。
呆然と燃える森を観て喪失感に浸るレイ。
座り込み、森の火の手が弱い箇所の一点をなんとなく見つめた。
あの辺りから確か戻って来たんだよな。
火の廻りがほぼないため空洞が出来ているようにも見えた。
ただじっと見つめていると、人が立っているように錯覚してくる。
髪の長い女の子がいるな…。
黒く腰まで伸びた長い髪の少女が突っ立っているように見えるな…。
錯覚か…。
上を見上げ、薄暗くなった空に星々が見えた。
疲労か頭が壊れたか、その両方かもしれない。
再び同じ場所に視線を戻すと、同じように少女が立っているように見えた。
先ほどとは違うのははっきりとその姿が捉えられることだった。
風の流れに沿って揺れ動く髪、黒いつなぎのワンピース。
距離があり、顔までわからないが姿ははっきりわかった。
「…マジで…誰かいる!?。」




