堕ち3
サラとカルベルを後にし、残るベリア、ソト、アナの捜索をはじめた。
レイは家族を失った悲しみから誰かに家族を奪われた怒りに変わりつつあった。
それと同時に復讐に近い感情が芽生えはじめていた。
さっきまでとは違い足取りが速くなり、100メートル北に離れたベリアをすぐに発見した。
ベリアの遺体は火傷と口からは血と唾液が出ていた。
ベリアの性格から考えると単独でおそらく何かを相手にしていたのだろう。
「ベリア兄さんにはもっと頼って欲しかった…。もう少し待っててよ。」
残るはソトとアナだが、見渡してもその姿はなかった。
微かな希望すらはないと思っていてもどうしても考えてしまう。
誰か一人はまだ助かるはずと…。
五つある家屋のうち一つは物置小屋として使っていた。
残りの四つはそれぞれ共同で住んでいた。
石材を土台と柱に壁や屋根等々の家内部は木造の家屋。
崩壊こそしていなかったが、至るところに焼けた部分と何かしらの衝撃の跡はあった。
最初にアナ捜索の為に女性陣が使っていた家にレイは入った。
踏み荒らされた跡以外は特に何もなく、アナの姿もなかった。
次にソトの捜索のためガラム、ジルと共に生活していた家へと入った。
扉をあけて正面にソトが椅子に拘束された状態でいた。
後ろ手に縄で縛られ、脚と胴体は椅子にくくり付けられていた。
息絶えていたのは一目でわかった。
左胸に刺し傷から太ももの辺りまで血が流れ出ていた。
それに加えてサラ同様に謎の水が全身に付着していた。
案の定闇の魔力を当てるとその水はなかったように消えた。
常に魔力を行使し続けていたソトさんが戦闘に参加できるわけなかった。
縄を切り、引きずる形で外へと運び出した。
その場所から一番近くで横たわるジルたちと一緒にとりあえずは留めておくことにし、最後アナの捜索へ歩き出した。
残りの家屋も見て回ったがアナの姿はどこにもなかった。
何でアナ姉さんだけいないんだ…。
もしかしたら、逃げ切った。
その可能性があるとしたら何処へ行って…。
レイは少し考えたあと、出した答えが闇市場たった。
その場をあとに、闇市場方面へダッシュで向かった。
まず身を隠すならそこしかない!
普段は絶対に立ち入ってはいけない場所なだけあって父さんたちは看板や目印、木で柵まで作っていた。
看板には(入るな!入ったら飯抜き!)と書かれていた。
その看板付近の柵が人ひとり通れくらいに破壊されていた。
焦げたような跡もあり、おそらくアナの仕業だ。
レイは柵の壊れた場所を通り抜け、闇市場方面へと続く森を走った。
アナ姉さんはこの先にいるはず…。
至るところに草木が焼けた跡があり、アナが魔力を行使しながら逃げていたのが予想出来た。
息をきらし森の中走り、草木を注意深く観察した。
アナが通ったであろう進路を進み続けて数分、足下が湿っていた。
ピチャッと音が立つくらい水溜まりが出来る箇所もいくつかみてとれる。
先ほどサラに付着していた激痛が走るような水ではなかった。
ただ、普通の水でもないような気がレイには感じた。
「はぁはぁ…アナ姉さん…もしかしたらこの辺りか?」
この状況だとやっぱり…。
アナの姿を探すため水浸しの地面を見渡した。
水浸しの地面を辿るとある一本の木に目が止まった。
レイの方向から見ると人の脚のようなものが見えた。
パシャパシャと足音だけを響かせ、早くも遅くなくその場所に近づいた。
そこには木にもたれ掛かるようにアナが死んでいた。
首からはナイフで切った跡があり、手から溢れ落ちたナイフが股の間にあった。
自殺なのか…。
追い込まれ末、自ら命を絶ったのだろう。




