堕ち
「なんだよ…この状況は…。何でだよ!!」
飛び込んできた光景に混乱することしかできないレイ。
誰か生きていないのか、誰でもいいから生きていてくれ!
無造作に倒れる遺体に駆け寄り、在りもしない希望を探し回った。
混乱する中最初に目に留まったのは黒こげの物体だった。
持っていた荷物をその場に落としてしまう程の衝撃は確かにあった。
「…ジルさん?」
かろうじて原型があり、見覚えのある体格からジルと判断できた。
うつ伏せで倒れいたジルの足先から5メートル離れた場所にセシルとガラムの遺体が横たわっていた。
ガラムはうつ伏せで背中左肩甲骨のあたりから血を流し、セシルは仰向けで首から血を流していた。
二人の周りには溶けかけた氷の破片が散らばっていた。
それぞれの傷口には穴のようなものが空いておた。
この状況からはおそらくお互いを庇い合ったんだろう。
レイは無言でジルの焦げた体を抱えてガラムとセシルの側に寝かせた。
三人を仰向けで寝かせてみんなを1ヵ所に集め、弔いすることにきめた。
既に精神が崩壊していたが、この時頭の中には父ガイルのある言葉を思い出していた。
いつだったか、最近だった気がする。
夕食を食べた後くらいに急にその話を始めた。
「なあレイ。ちょっとだけ話を聞いてくれないか。」
「何だよ?もう眠いんだけど、風呂ならちゃんと入るよお休み。」
「いや、待て!そうたが違う。」
「何?」
「・・・うん、お前に覚えて欲しいことがある。いつも使ってる倉庫があるだろ。」
「ん?ああ、ガラムさんとジルさんの家の隣にある倉庫だよな。それが何?」
「その倉庫に薪が大量にあるだろ。その奥に棺が人数分用意してある。」
「急に何だよ?・・・誰か死ぬのか?」
父さんは少し黙りこんで目線を下に落とした。
思い返せばこのことだったのかもしれない。
その後は誤魔化す形でこの話終わらせてたな。
「おい!何か言ってくれよ、本当に誰か死ぬのかよ!」
「え?!ああ、別に誰も死なない。そろそろお前にもこういう話しとかないとな。順番的にお前が最後だからな。」
「何だそれ。だいぶ先の話だろ。」
後日詳しい弔いのやり方を教えられた。
そして現在に至る。
まずは皆集めないと・・・。
「誰か生きててくれないかな・・・。」
感情が滲みでると涙が出てそのまま倒れそうになる。
心を殺してすべきことを始めた。




