第1話 霧の外
「おーいレイ。そろそろ行くぞ。」
僕の後ろから声をかけたのは育ての父ガイルさんだった。
寂しさがなかったのはこの人の存在が大きかった。
闇市場から逃げ出す時に一緒に連れ出してくれた人らしい。
ぼくが1歳の時のことだから本当のところはわからないけれどとても優しいひとだから本当のことだろう。
「今行くよ」
今日は二人で狩りに行く予定だ。
「今日はどこにむかう?」
「うーんそうだなぁ。南西方面に向かうか」
僕たちが生活している場所は360度森に囲まれおり、脱走者たちが身を隠すにはさいてきだった。
近くには川が流れおり魔獣も多く生息いたたため食料困ることはなかった。
「いいかレイ霧の外にはでるな」
「わかってるよ。もうそこまでガキじゃない。」
「よしっそれならいい。しゃあっ!行くぞっ!!」
「はいはい。」
謎の気合の入れ方といい、森に入るたびに毎回毎回同じこと言われるのはさすがに疲れるな。
森には、常に霧が漂っている。
対策の1つで《霧の監獄》という魔法を発動させている。
この魔法は霧の幻覚作用により、内側からは出さず、外側から入らせない仕組みになっている。
この魔法を発動しているのは、最年長のソトさんだ。
≪水属性 タイプ 霧≫の魔力を持っている彼にしかできない技だ。
そんな大事なものとわかっていれば自分から出るようなバカいないだろ。
昔からぼくだけが出ることができ、森の中を入るたび無意識のうちに霧の外へ出てしまって何回かみんなに迷惑をかけてしまったことがあった。
だけどこの歳にもなれば霧の範囲くらい体が覚えていて外へ出るなんてありえない。
バカにしているとしか思えないなまったく。
心の中で文句を言いながら父さんから離れた場所で魔獣を探していた。
うっすらと漂う霧の中でも気配で見つけることができる。
魔獣に気付かれないように慎重に歩きながら探した。
慎重に、慎重に少しずつ前に進んでいった。
目を凝らし、耳をすませ、獣の匂いはないか神経を集中させ魔獣を探した。
少しずつ前へ前へと進むと目の前には霧一つない光景が広がっていた。
霧が晴れていた。
ん?霧が晴れた?
いや、いかん。
「まずいどうしよう!!ヤバい!!」
あれ?おかしいな、そんなはずはない。
めっちゃ焦る。
僕って本当にバカだったのか?
いやそんなことはどうでもいい、どうやって戻ろう。
冷や汗を流しながらその場でうろたえているとどこからか声がした。
「お・・・・・イ・・だー・・」
耳をすませてもう一度よく聞いてみた。
「レイーーどこだーーー?」
父さんだ、間違いない。
声のする方向へと走るとまたうっすらと霧が漂い始め人影が見えた。
「あっ父さん!」
よかった戻れた。
だが安心したのもつかの間、嫌な質問が飛んできた。
「レイ!どこいってたんだ?」
「いや・・まぁ・・ちょっと向こうのほうとういうか・・・なんとういうか・・・。」
言葉を詰まらせながら視線を外して話すレイの様子を見たガイルはすぐに分かった。
「まさか霧の外にでたのか?」
「・・・・」
「あれほど出るなと忠告したにもかかわらず何してんだまったく!!」
「いやまさか出るとは思わなかったよ。びっくりしたなぁ。へへっ」
「へへっじゃない!!びっくりしたのはこっちだ!!」
そこからくどくどと小一時間程かけて怒られた。
「もうわかったよ父さん気をつけるからさ。あとそんな声出したら魔獣達が逃げちゃうよ。」
「お前のせいだたわけ!!」
最後に一喝されたが、そのあとすぐにいつもの優しい父さんに戻った。
「まったくあまり心配させるな。はぁ・・無事でよかったよ。」




