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ヤミノクニ  作者: 瓜坊
18/28

愛した末路

 夜が明け、レイは眠りから覚めた。

 地べたにそのまま寝ていたことに起きてすぐにわかった。

 泣きながら眠りに落ちたことを徐々に思い出し、昨夜の話しの内容に再度落ち込んだ。

 ぼくは生まれてはダメだったたよな・・・なんでまだ生きてる?

 片手を額に当て、顔を隠すようにうなだれ落ち込むレイ。

 その時に背中にかかっていた一枚の布が肩から落ちることに気がついた。

 昨晩寝た時にブッチがレイに寒さ対策でかけてくれたものだった。

 レイは川原に目を向けるとブッチが川の水で顔を洗っていた。

 彼がまだ自分の近くにいることが意外に思った。

 レイは緊張しながらもブッチの下へと向かった。

「あっ、ブッチさん。・・・昨日はありがとう、色々教えてくれて。」

 ブッチはレイの声に反応し、首だけレイの方へと向けた。

「あぁ、為になったならいい。別に礼を言われることじゃない。」

「うん・・・ありがとう。」

 ブッチは小さなため息をついた。

「まぁいい、お前も顔くらい洗え。もうすぐしたら出発する。」

 レイは黙って頷き、ブッチの指示に従った。

 その場を片付けた後、荷物を乗せすぐに馬車を出した。

 ブッチは走り出してすぐにこの後の予定を話した。

「この先を少し進んだところでお前を降ろす。そこからは自分の足で目的の場所に向かえ。」

 そう言われたレイは不安に襲われた。

 やはり自分は厄介払いされる存在なのではないのかと珍しく面倒くさい思考の至った。

「・・・やっぱり、ぼくと一緒だと迷惑がかかるのかな?」

「チッ・・・。」

 舌打ちされたよ・・・。

「はぁ・・・お前面倒くさいな。」

 はっきりと言われた。

 確かに自分でもそう思うが今までの自分を昨晩知ったばかりだから・・・仕方なくねぇ?

「・・・ごめん、忘れて。」

「本当に面倒くさいな!説明するからよく聞け、根暗小僧!」

「うん、ありがとう。あとレイだよ。」

「うるせぇ。それでな、この先の森はこことは領域が違う森になっている。オレはそれ以上進みたくない。」

「どうして?何が違うの?」

「・・・理由はお前の行く場所の人間が管理している森になるからだ。入った瞬間感知されてどうなるか分からないからだ。」

「そう・・・なんだ、わかった。」

 ぽくはそこに入らないといけないのか・・・。

 憂鬱な心持ちになり、馬車に揺られて先に進み続けた。

 ただ、無言でブッチごしに流れる前の風景を見つめていた。

 大して変わることのないその景色の中の流れる木々が心なしか自分たちを見つめているように感じた。

 突然ブッチが馬車を停め、舌打ちをした。

「チッ、もしかして入り過ぎたか?まぁ仕方ない。まだ大丈夫だろう。」

 独り言をぶつぶつと話しはじめ、どこか焦りも見えた。

「どうしたの?」

「ここまでだ。悪いが降りてくれ。」

 理由は答えず、冷や汗を流してレイに要求だけした。

 レイは困惑しながらも従い、馬車を降りた。

 素直に従うレイを見てブッチは安堵の表情を浮かべ、その後すぐに罪悪感を感じるように視線を逸らした。

「・・・ここを真っ直ぐ進んで行けば着くはずだ。」

「うん、ありがとう。それで・・・どうしたの様子がおかしいけど?」

 目を合わせようとしないブッチが気になって仕方ないレイ。

 ブッチは視線を逸らしたままで返答した。

「さっき話した通りだ。ここから先はオレは踏み入れたくない。じゃあな。」

 質問の答えにはなっていないように感じたが納得するしかなかった。

 とりあえず頷いてこれ以上何か聞くのは止めた。

 ブッチは馬車を元来た方向に変え、去り際にレイに言葉をかけた。

「健闘を祈る。」




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