知る
レイは行商人が投げかけた質問に凍りついた。
「いっいきなり何だよ・・・。そんなわけないじゃないか・・・。」
「ならさっき言った“誤魔化す”ってのはオレとお前、どっちにやましい事があるんだ?」
そう聞かれてレイは何も言葉が出てこなかった。
まずい・・・どうしたらいいんだ?
冷や汗を垂らし、うつ向くレイを行商人は無言で見ていた。
しばらくは荷馬の足音と荷台の車輪が土を削る音だけが続いたが行商人は痺れを切らし口を開いた。
「全然誤魔化せてねぇじゃん。」
「えっ?」
「えっじゃねぇよ。そんなでこれからやって行けないだろ、もっとズル賢くなった方が身のためだ。」
「はじめからわかってたのか?」
「まぁな、ちなみにオレとジャックと今西門に立っていた奴は元々闇市場で一時生活していた。こんな健全な町に出てきた時は苦労した。」
「そうなんだ。」
「ああ、お前は何も知らなすぎる。どこに居たかは知らんが、あの近辺で生活していたこと予想はつく。その案内状がどういうものかわかってないのも大体分かる。」
レイはこの時に自分の無知を自覚した。
「この案内状ってなんなの?」
「逆に聞きたいが、書いてある内容は目にしたか?」
案内状の内容はほとんど確認していないレイは改めて読み返した。
その内容に唖然とし、頭が真っ白になった。
この時に自分の存在も自覚し始めた。