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勇者と魔王のサラブレッド〜魔王城を追放されたので、夢だった冒険者になります〜   作者: 勝羅 勝斗
4章 迷宮編

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54/90

54、キノコのモンスター

私たちは4人で顔を見合わせた。


「なんだと!だったら早く探しに行こうぜ」


真っ先にアリババが叫んだ。


「アリババ、落ち着いてください。ローダさんは【透明化】のスキルを持っています。姿を消す直前まで私たちの会話のやり取りを聞いて笑っていました。おそらくその影響で気分が高まり、無意識にスキルを発動させてしまったのかもしれません。あの子はまだ幼いのでスキルを暴走させてしまう危険がありますから」


「ああ、そういうことこか」

「皆様申し訳ございません。わたくしが一番そばにいたのに………」


アリババはイーディスの話を聞いて顎に手を当てながら頷いて納得した表情を浮かべた。

一方のセレナさんは悔しそうな表情を浮かべながら私たちに向けて深々と頭を下げた。


「起きてしまった事を後悔しても意味ないわ!大切なのはこれからどうしていくかを考えることだと思うわ!みんなで未来のことを考えましょ」


「アリスの言うとおりですね。ここはまだ迷宮(ダンジョン)の中ですからなるべく早くローダさんを見つけましょう」


私は頭を下げるセレナさんの肩に手を置きながらそう言った。

それに続くようにイーディスも私の言葉に賛同してくれた。


「ええ!」


私はイーディス言葉に元気よく返事をした。

この後、私とアリババが【勇者の慧眼】と【鑑定の魔眼】を使って第4層を見渡してローダちゃんを捜索した。

捜索開始からわずか数秒後に私とアリババがほぼ同時にローダちゃんを見つけた。


「いたぞ!」

「見つけたわ!でも、あれは………」


ローダちゃんは階層の端に生えている木の枝に捕まっていた。

その木には不気味な目や口があって、今にもローダちゃんを食べてしまいそうだった。


「危ないっ!」

「あの野郎!木のフリをしたモンスターだったのか!」

「くっ!」


私はすぐに鏡の魔剣を水銀の魔剣に変化させる。

水銀の魔剣は魔力を流すことで刀身が変幻自在にに変化する能力を持つ。

私は水銀の魔剣の刀身を一直線に伸ばしてローダちゃんを捕まえている木のモンスターの枝を切り落とした。

そのまま水銀の魔剣の刀身を細くしてローダちゃんの体に縄のように巻き付けてこちらにすぐに引き寄せた。


「アリスお姉ちゃんありがと!」

「ローダちゃん大丈夫ケガはない?」

「うん!大丈夫!」


私の見たところ特にけがはしていなかったようで安心した。

そして、ローダちゃんを捕まえていた木のモンスターが倒されたことで、近くにいた他の木のモンスターが騒ぎ始めたので周りの木も一緒に切り倒すことにした。


「おりゃー!」


さっきと同じように水銀の魔剣の刀身を伸ばして左向きに円を描くように斬撃を繰り出した。

階層の端の方にいた木のモンスターを倒し終わると、階層全体に不気味な笑い声が響き渡る。


「アハハハハ~」


その笑い声はさっき倒した木のモンスターのものだった。


「な、なんだこれ………み、耳が!」

「これはすごい音ですね………」

「うるっさいわね~」


セレナさんとローダちゃんは二人ともうずくまって耳をふさいでいた。

不気味な笑い声は時間が経つごとに段々と大きくなっていき、全方向から木の根っこが私たちめがけて襲い掛かってきた。


「みんな飛んで!」


私はとっさに皆に向けて叫んだ。

間一髪のところで全員が飛び上がり根っこの攻撃を逃れることができた。

そして、私たちが今までいた場所に根っこの先端が集中的に攻撃してきて、その攻撃が終わると階層の中心部に大きな魔法陣が現れた。

しばらくして、その魔法陣の中から虹色の姿をした大きなキノコのモンスターが現れた。


「魔法陣!ねぇ、あれってもしかしてこれまでと同じ召喚獣?」

「ああ、間違いないな。おそらくだが各階層の特徴に合わせて設置されてるんだろうよ」

「どんな攻撃をしてくるかわかりません。皆さん慎重に行きますよ」


私たちはそんな会話のやり取りをしながら着地した。

そして、私たちが着地してすぐに巨大なキノコのモンスターは全方向に向けて赤色の霧を放ってきた。

その霧はわずか数秒で階層全体に広がり、まったく前が見えなくなった。


「くっクソ!なんだこの霧はまったく前が見えねぇ…ぞ…」

「そう…です…ね…」


私はすぐに【破壊の魔眼】で周囲の霧を晴らした。


「みんな大丈夫?じゃないわね………」


そのあとすぐに呼びかけるとみんなは眠ったようにその場に倒れていた。

どうやらさっきの赤い霧は吸い込んだ者を眠らせる効果があったらしい。

私はここでも【状態異常無効】のスキルに救われたのだった。


「どうやら今戦えるのは私だけみたいね。さぁ、行くわよ!」


そう言いながら聖剣ミステリオと鏡の魔剣スぺクルムを両手に握りながら走り出す。

【勇者の慧眼】でキノコのモンスターを見通す。

すると、頭部の中心部部分にコアがあり、それが弱点であることがわかった。


「ふふっあそこが弱点なのね!」


キノコのモンスターは今度は紫色の霧を放ってきた。

みんなにこれ以上状態が悪くならないようにバリアの防御魔法をかける。

この紫の霧は麻痺効果があることが【共感覚】のスキルを通して伝わってきた。


「残念ね!私に麻痺は効かないのよっ!」


私はそう言いながら斬撃で霧を払い、キノコのモンスターの頭に飛び掛かる。


「やぁ!」


両方の剣先をキノコのモンスターの頭部に突き立てる。

キノコのモンスターの頭部はスライムのような弾力があり、剣がはじき返された。


「えっうそ!めんどくさいわね!」


そう言いながら、一旦飛行魔法で距離をとってから鏡の魔剣を石の魔剣に変化させる。


「これならどうかしら?」


再びキノコのモンスターの頭部に近づき今度は石の魔剣の刀身を押し当てる。

石の魔剣の刀身が触れている部分から徐々にキノコのモンスターが石化しはじめる。

数秒もたたないうちに全身が石化した。


「これで終わりよ!」


最後に聖剣ミステリオの斬撃で縦に真っ二つにしてトドメを刺した。

トドメを刺すとキノコのモンスターはチリとなって消えた。


「今回の敵はちょっと手こずらされたわね~」


キノコのモンスターを倒した後に石の魔剣を夢の魔剣に変化させて、4人が寝ているちょうど中心辺りの地面に突き刺す。

夢の魔剣は切った相手を眠らせたり、寝ている相手を起こすことができる。

夢の魔剣を地面にピンク色の魔法陣が現れてみんがゆっくりと目覚めた。


「あれ?俺はなにしてたんだっけな………」

「どうやら眠ってしまっていたようですね」

「わたくしたちが眠っている間に終わってしまったようですね」

「アリスお姉ちゃんすごい~」


4人は目覚めるとすぐに状況を把握して私がキノコのモンスターを倒したことに気づいたようだった。


「さてと、この階層の召喚獣も倒したことだし早く次の階層に向かいましょう?」

「ええ、アリスの言う通りですね」

「くっそ~眠ちまなきゃ俺が大活躍できたのによ。一番おいしいところをアリスに持っていかれたぜ!」

「次がこの迷宮(ダンジョン)最後の階層ですね。今から楽しみです!」

「早くいこー!」


私たちはこんな会話をしながら階層の奥のほうにある階段へ向かい、最後の第5層を目指すのだった。

ご覧いただきありがとうございます!

次回更新までまたしばらくお待ちください。

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