表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者と魔王のサラブレッド〜魔王城を追放されたので、夢だった冒険者になります〜   作者: 勝羅 勝斗
4章 迷宮編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/90

49、炎の階層

私たちはトランプで出来た階段を上り次の階層にやってきた。

そこにはマグマと溶岩で出来た灼熱の世界が広がっていて、それはまるで炎の国のようだった。


「今度は見た感じ炎の階層みたいね。今から何が出てくるか楽しみね!ワクワクするわ〜」


「どこを見渡してもマグマだらけだな。さーて今度はどんな奴が出てくるのか見ものだぜ!」


「アリスとアリババは二人揃って同じようなことを言いますね。それにしてもマグマの熱が凄まじいですね」


「わたくしここにいたらすぐに干上がってしまいそうです………」

「あつ〜い。うごけないよ〜」


全員が目の前に広がる灼熱の景色を見てそれぞれが違う反応をした。

私とアリババは前向きな反応をしたけれど、他の3人はマグマを見るだけで肩を落としていた。

その中でも特にセレナさんとローダちゃんは暑さに弱いのかぐったりと床に座り込んでいた。


「二人とも床に座り込んじゃってるけど具合でも悪いの?」

「うぅ………」

「あつーい〜」


私の問いかけにローダちゃんとセレナさんの二人は反応しなかった。


「アリス………あなたはこんな状況でなんともないのですか?」


その代わりに少し遅れてイーディスが息を切らしながら、私に対して逆に問いかけてきた。


「ええ、大丈夫よ。私には【自然影響無効】のスキルがあるからそこまで熱くは感じないわね」


「そういうことですか。そういえば前にそんなこと言っていましたね。アリババはどうなのですか?」


イーディスは私に聞いた後、今度はアリババに質問をした。


「あぁ、俺か?俺にはアリスみたいなチートスキルは無いが、生まれ育った国が比較的温暖な気候の国だったからな。少しあったかいとは思うが、まぁ、平気だな」


アリババはイーディスにそっけない返答をした。


「チートスキル持ちのアリスは置いておくとして、生まれた場所の違いでここまで差がつくものなのですね………」


イーディスは呆れつつもどこか納得したような表情でそういった。


「ハァ〜仕方ないわね。鏡よ鏡、氷の魔剣に変身して氷のバリアを作りなさい!」


私はみんなの方を向いて小さなため息をついた。

そして、召喚魔法で鏡の魔剣スペクルムを取り出した。


「まったく、久々に呼び出されて来てみれば氷のバリアを作れだなんて簡単なことね。次呼ぶ時はこんなことで呼び出さないでよねアリスちゃん」


「簡単な事で悪かったわね。わかったわ!次呼ぶ時はもっと大事な時にするわよ。あと、ちゃん付けはやめて!とにかく今は氷のバリアをお願い。私の仲間が苦しそうだから」


「仕方ないわね〜」


鏡の魔剣は召喚魔法で呼ばれるなり、雑用まがいな用事だったと知って少し不機嫌だった。

そして、渋々氷のバリアを作ることを承諾して氷の魔剣に変身した。

そのすぐ後に私たち全員を包み込む大きさの氷の球体のバリアを作り出した。

私たちは氷の球体バリアで階層の空中を移動しながら、氷の魔剣に変身した鏡の魔剣と会話していた。


「氷のバリアを作ってくれてありがと。あなたはそのままこのバリアを維持して」

「ちょっとそれ結局雑用じゃない!」

「しょうがないでしょ!魔物が出てきたらちゃんと活躍させてあげるから今は我慢しなさいよ!」

「なんですって!」


会話といっても主に鏡の魔剣と話していたのは9割ほどが私だった。

というか、それもほぼ口喧嘩のようだった。

その証拠にみんなから「魔剣と仲良いんだね!」みたいなことを言われた。

そんなやり取りをしながらしばらくの間炎の階層を進んでいると、私たちの目の前に真っ赤な炎の塊で出来たカボチャの魔物が現れて襲ってきた。


「おぉ、ようやくお出ましか!待ちくたびれたぜ!」


真っ先に反応したのはアリババだった。

そして、アリババは【眷属召喚】でアイスワイバーンを3体召喚した。


「よーしお前ら!アイスブレスだ!くらえー!」


3体のアイスワイバーンが同時にアイスブレスを放つと、炎のカボチャの魔物もそれに反撃するように火の玉を放ってきた。

そして、アイスワイバーンのブレスと炎のカボチャの火の玉がぶつかり合って、辺りが濃い煙で覆われた。


「ちょ、ちょっと何してんのよアリババ!これじゃあの魔物がどうなったか見えずらいじゃない!」


「へへっどうだ!これでヤッただろ!」


アリババはニヤリと笑いながらそう言った。

煙が晴れて前を見てみると、炎のカボチャの魔物には傷ひとつ付いていなかった。


「なにっ!俺のアイスワイバーンのブレスで傷ひとつないだと!」


「ちょっと何してんのよアリババ!ぜんぜん効いてないじゃない!しょうがないわね。鏡の魔剣あなたの出番よ!」


「ようやく出番のようね!いいわよアリスちゃん私が力を貸してあげる」


私はそれから鏡の魔剣に分身して合計で3本の氷の魔剣に変身するように指示を出した。

それを聞いた鏡の魔剣は召喚された頃とは違って上機嫌なのか回転しながら宙に浮いていた。


「だからちゃん付けはやめてって言ってるでしょ!ほら、遊んでないであいつらを全部氷付けにしなさい!」


「ふふ〜ん。任せなさーい」


氷の魔剣に変身した鏡の魔剣はそう言いって炎のカボチャの魔物に斬りかかった。

3本の氷の魔剣が次々と斬撃を与えて炎のカボチャの魔物は瞬く間に消滅した。


「マジかよ………俺のアイスワイバーンのブレス攻撃でも傷ひとつ付かなかったってのに、氷の魔剣なら倒せるのかよ………」


「ふぅ〜まぁ、こんなところかしらね!まぁ、地上の魔物よりは確かに魔力が多くて少し強かったわね」


私は炎のカボチャの魔物を倒して一息ついた。

アリババは私が炎の魔物を倒す様子を見て絶句していた。


「終わったわね。さぁ、次進みましょ!」


その後もこんな感じでこの階層の魔物と戦闘しながら奥へと進んでいった。

気づけば私たちは次の階層へと続く階段のところまできていた。

階段の前には魔法陣があり、私たちがその上を通り過ぎるとその魔法陣が光だして中から全身が炎に包まれたクマが現れた。


「どうやら次の階層に行くにはこのクマさんを倒さなきゃいけないみたいね」

「さすがに素通りさせてはくれませんね………」

「まぁ、そう簡単には行かせてはくれないよな!よーし、やるぞお前ら!」

「おーっ!!」


私たちは次の3層に向かうために目の前に現れた炎のクマと戦うのだった。

ご覧いただきありがとうございます!

次回更新までまたしばらくお待ちください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ