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勇者と魔王のサラブレッド〜魔王城を追放されたので、夢だった冒険者になります〜   作者: 勝羅 勝斗
4章 迷宮編

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47、トラップ

私たちは10通りに分かれた道のうち、5番目の道に進んでその先にある大きな扉の前に着いた。


「わーっ!すっごく大っきな扉だ〜」

「きっとこの先ね!」

「な、なんだか緊張しますね………」

「みなさん安全第一で行きますよ」

「恐らくこの扉の先が階層の本番だろうな。お前ら準備はいいか?」


大きな扉を前にして、ローダちゃんが目をキラキラと輝かせながら大喜びして、私が前のめりに身を乗り出しながら叫んで、セレナさんは緊張しているのか、ずっと手に持っている槍を力強く握りしめていた。

イーディスは全員に向けて注意喚起をして、アリババは真っ先に前に出て扉に近づいた。

アリババの問いかけに全員がゴクリと息を飲む。

そして私もアリババと同じように前に出て扉に近づく。


「それじゃぁ、開けるわよ!」


私とアリババはお互いに向き合ってから、無言で頷いて扉に手をかざした。


「うわっ!」


すると、扉から眩い光が出てきて、私たちは全員を包み込んだ。


「ここは………」


気がつくと、私たちは大広間にいた。

そこは、床が長方形の石畳でできていて、壁には丸いくぼみや細長い切り込みが無数にあり、見るからにトラップだろうと思った。

そして、私たちの反対側の少し高いところにもう一つ扉があった。


「床は一面石畳で、壁には無数の切り込みね。それ以外には何もなしと………」

「向こう側にもう一つ扉がありますね。あれが出口でしょうか?」


私が独り言のように呟くと、それに続いてイーディスが向こう側の高いところにある扉を指差しながら言った。


「恐らくそうだろうな。だが、それにしてはずいぶんと高いところにあるな。どっかに開ける仕掛けがあるはずだ。みんなそれを探してくれ!」


「なんか面倒くさいわね〜とりあえず進んでみましょう?」


「おいっアリス!面倒くさがるなよ。迷宮(ダンジョン)ってのはそういうものなんだよ!何も考えずに動くなって!」


「大丈夫よ。ちょっとだけだから」


私はそう言ってアリババの制止を無視して一歩踏み出してみた。

すると、私が踏んだ長方形の石畳が光だして、クローバーの8に変化した。


「えっ!何これ!」


「どうやら、これがこの部屋の仕掛けみたいだな。アリスはそこにいろ!俺が別の石畳を踏んでみる」


アリババはそう言って、私が立っているクローバーの8の3つ右隣の石畳を踏んだ。

今度は、スペードのジャックが出てきた。


ブー♪


そしてそれが出てくると、この部屋全体に謎のブザー音が響き渡った。

その直後、私の周りにクローバーの頭をした兵士が8体現れて、アリババ目掛けて壁から鉄球が襲ってきた。


「えっ何!こいつら………」

「うわっ!危っぶねー」


私の周りに現れたクローバー頭の兵士は杖を持っていて、ほぼゼロ距離で風魔法を放ってきた。

その攻撃をとっさに【破壊の魔眼】で打ち消した。

すると、クローバー頭の兵士たちは消えて、床がもとの石畳に戻った。

アリババはというと、ギリギリのところで鉄球を回避していた。

そして、鉄球を回避し終えるとアリババが踏んでいた床が元の石畳に戻った。

けれど、アリババが鉄球を避ける時に隣の石畳を踏んでしまった。

今度はその石畳が光だしてハートの5に変化した。


「今度はハートの5ですか。これはまるでトランプですね………」

「じゃぁこっち?」

「あっ!ちょっと待ってくださいローダさん!」


イーディスの言葉を待たずに、今度はローダちゃんが一歩進んで目の前の石畳を踏んだ。

すると、その石畳はダイヤのエースに変化した。


ブー♪


そして、そのタイミングで再び謎のブザー音が鳴り、アリババがいるハートの5にはハートの頭をした兵士が5体現れて、ローダちゃんがいるスペードのエースにはスペードの頭をした兵士が1体現れた。

5体のハートの兵士は火属性の魔法をアリババに放って、スペードの兵士はローダちゃんに向けて雷属性の魔法を放った。


「ぎゃーっ!」

「チッまたかよっ!いったいなんなんだよさっきからっ!」

「アリババ!」ローダちゃん!」


くっ二人が危ない!


「ウォーターバレット!」

「ふっ!」


私がスペードの兵士の魔法を【破壊の魔眼】で無効化して、セレナさんが精霊槍を使った水精霊魔法でハートの兵士の炎魔法を打ち消した。

そして、すぐに兵士たちは消えて床がもとの石畳に戻った。


「間に合った!」

「なんとかなりましたね………」


みんな揃って小さな安堵のため息をこぼした。


「今度は私とセレナさんが行きます。他の皆さんはそこを動かないでください」

「えっ!わたくし共も行くのですか?」

「仕方ないでしょう。進まなければこの部屋からは出られないのですから」

「ん〜」


イーディスの言葉を受けてセレナさんはガクッと肩を落とした。

二人はそれぞれ一歩づつ進んで目の前の石畳を踏んだ。

すると、イーディスの場所ははダイヤの2へと代わり、セレナさんの場所はクローバーの2へと変化した。


ピンポーン♪


そして、二枚が出揃うと今度は甲高いブザー音がなり、今回は特に何も起こらずイーディスとセレナさんの立っている場所は石畳に戻らなかった。


「何も起こりませんね。これは正解ということでしょうか?」

「た、助かりました………」


私は二人の立っている場所を見ながら、口元に手を添えて考え込む。


二枚の石畳がトランプに変化するとブザーが鳴る………

別々の数字を引いてしまうとトラップが発動して、トランプの兵士や壁の仕掛けが出てくる………

同じ数字を引くと何も起こらない………

これってもしかして………


「みんな止まって!ちょっと思いついたことがあるの!後は私が一人で進んでみるわ!」


全員にそう告げて私は【勇者の慧眼】を発動する。

その状態で床を見渡すと石畳の裏が全てトランプになっていた。


やっぱり思った通りだわ!

もし、私の予想が正しければ………


「まずは、ここ!」


私はそう言いながら、迷わず斜め左の石畳を踏んだ。

すると、スペードの6が現れた。


「そして、こっち!」


次に飛行魔法で飛んで6列先の2番目を踏んでみた。

その石畳はクローバーの6に変化した。


ピンポーン♪


そして再び甲高いブザー音が部屋中に響き渡り、私が踏んだスペードの6とクローバーの6はもとの石畳には戻らなかった。

その様子を見て私の中で一つの結論が出た。


「みんな分かったわ!この部屋の石畳はトランプを表してて、神経衰弱になってるわ!」


私はみんなに向けてそう叫んだ。

ご覧いただきありがとうございます!

次回更新までまたしばらくお待ちください。

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