42、新しい武器
アリス視点の話になります。
私は今4人でギルドと提携している武具屋さんに来ている。
メンバーは私、イーディス、ローダ、セレナさんだ。
今回はイーディスさん以外の3人の武器を受注していて、今日その武器が完成したという知らせを受けてやってきていた。
「待たせたな。ご注文の片手剣と鎖鎌と槍だ」
来店してしばらくカウンターの前で待っていると、店主が私たちの武器を店の奥から運んできた。
「やっとできたのね。待ちくたびれたわ!」
「わ〜いやったー!」
「わたくしの槍が完成したのですね!」
私を含めて、みんなが自分の武器を見てそれぞれさまざまな反応をした。
鉄の剣が私で、ローダちゃんが鎖鎌。セレナさんが槍だ。
そして、新しい片手剣に見惚れている私に、横からイーディスさんが耳に直接聞こえるようにひっそりと話しかけてきた。
「ローダさんとセレナさんは今まで武器を持っていなかったから新しく作るのは理解できますが、すでに聖剣と魔剣を持っているあなたが、どうしてな何の能力も持たない鉄の剣が必要だったのですか?」
「あぁ、それはね。混血だと気づかれにくくするためよ。オルガと戦った時も、海底神殿でアーサーと戦った時も、魔剣を使っていたからすぐに混血だとバレちゃったから一応持っておくだけよ」
「なるほどそういうことでしたか。納得しました」
♦︎
みんなの武器を作ることになったのは一週間前のこと。
私たちは笛吹男とアーサーたちから街の人たちを救った。
そのことをギルドの地下で暮らす混血のみんなに報告しに行った時のことだった。
「今からみんなに私の鏡の魔剣の力を見せてあげるわ!鏡よ鏡。今あなたが複写できる全ての魔剣に変わりなさい!」
私は鏡の魔剣に今複写できる全ての魔剣に変わるように命じた。
すると、鏡の魔剣は「いいわよ〜」と返事をして、16本に分身してからそれぞれ違う魔剣に姿を変えた。
その中には、私の父であり魔王が持つ破壊の魔剣カタストロフィの姿もあった。
「ふふんっ!どうかしら?これが言霊の魔剣を複写した私の鏡の魔剣の力よ!」
「こりゃすげなー!鏡の魔剣が他の魔剣を複写する能力もそうだけど、言葉を喋る魔剣が世の中に存在することに驚いたぜっ!」
「そうかしら?私は魔剣が喋るなんて気持ち悪くて見てられないわ!」
私が言葉を喋るようになった鏡の魔剣をみんなんの前で披露すると、アリババは驚き、カーミラは嫌悪感を示した。
「ん〜〜!!アリスお姉ちゃんばっかりずるーい!私も武器欲しい!欲しい!欲しい!」
そして、その中で一番影響を受けていたのがローダちゃんだった。
♦︎
そんなわけで、武具屋さんに依頼してオーダーメイドの武器を作ってもらったというわけだ。
まぁ、ローダちゃんとセレナさんは今まで武器を持っていなかったのもあって色んな意味でちょうどよかった。
「ところでお嬢ちゃんは本当にこの鎖鎌の鎖は奴隷の鎖でよかったかい?」
「うん!これがいい!」
「そうかい?お嬢ちゃんがいいならいいんだが………」
店主がローダちゃんに鎖のことを質問していた。
ローダちゃんの鎖鎌は奴隷の時につけていた鎖を再利用したものだ。
実は、笛吹男に奴隷の鎖を引きちぎられた時にその一部を大事に持っていたらしい。
鎖の先端が尖っていて、いろいろなところに刺さるようになっている。
これのをかげで壁などを自在に移動できる立体的な機動力を可能にした。
ケット・シーの血を引くローダちゃんにとって相性がいい。
さらに、この鎖鎌は自分や他人の魔力を通すことで伸縮したり、特定の魔力を自動追尾する能力がある。
この鎖鎌の鎖は流魔鋼という魔力を通す性質を持つ金属が使われている。
「おじちゃんありがと!大切にするね!」
「気に入ってくれたようでよかったよ」
ローダちゃんは店主に元気よく返事をしながら微笑んだ。
「あとの皆さんはどうかな?」
店主は次に私とセレナさん声をかけてきた。
「私はただの鉄の剣だから特に問題はないわね。これで大丈夫よ」
「それはよかった。そんで、そっちの青髪の嬢ちゃんはどうだい?」
「そうですね。とても素敵な槍だと思います。あの、一つお聞きしたいのですが、槍の先端が水色なのですがこれは何でしょうか?」
セレナさんが出来立ての槍を見て一つ質問をした。
セレナさんの槍は持ち手が金色で先端が薄く水色がかった外見をしている。
「ああ、そのことかい?それはね、流精鋼で出来てるんだよ。お嬢さんは水を操るのが得意と聞いたからな。水精霊を通して空気中から水を作れるようにしたんだよ」
「そうだったのですね。ありがとうございます!」
流精鋼とは、精霊が宿った金属で、精霊の力を借りて自然界から特定の物質を生み出すことができる。
今回は水の精霊が宿った流精鋼なので水色がかった外見をしている。
水の精霊は空気中から水分を生成することができる。
水を操るセレナさんにとってとてもいい槍だ。
また、精霊の力を行使するため、自身の魔力を一切消費しないという利点もある。
なので、セレナさんの槍は精霊槍と呼ばれている。
「そうかい!みんな喜んでもらえてとかったよ!魂をこめて作った甲斐があるってもんだ!」
店主はそう言ってにっこりと笑った。
プルルル〜
突然、何かが鳴っている音が店内に響き渡った。
「おや?連絡ですか。いったい誰でしょうかね」
次の瞬間に、イーディスさんがポケットから丸い形をした物を取り出した。
それは全体が金色で、真ん中に鉾線が入ったものだった。
「イーディスさん。それは何なの?」
私は気になってイーディスさんに質問をした。
「これは通信魔道具ですよ。これが鳴るということは誰かから連絡が来たということです」
そう言ってイーディスさんはその魔道具を開いた。
「おっ!やっと出たかイーディス。アリババだ。ドロテアさんが次の行き先占うってよ!お前らも早くこいよ。待ってるぜ!じゃあな」
「了解しましたアリババさん。私たちもすぐに向かいます」
そう言って二人は会話を終えた。
「ということです。みなさんすぐに帰りますよ」
「おー!」
イーディスさんの呼びかけですぐにギルドの地下に行くことになった。
「まいどあり〜」
お金を払い、店を出てギルドへと戻っていった。
ご覧いただきありがとうございます!
ブックマーク登録ありがとうございます!!
嬉しいです!
次回更新までまたしばらくお待ちください。




