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勇者と魔王のサラブレッド〜魔王城を追放されたので、夢だった冒険者になります〜   作者: 勝羅 勝斗
3章 魔笛の童歌編

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34/90

34、ローダとセレナの魔力測定とスキル鑑定

数時間後。


「みんなーっこれで今日の新人歓迎会はこれで終わりにするわ!この後はゆっくり休んでね〜」


カーミラとターリアの小さな騒ぎがあったものの、歓迎会はドロテアさんの宣言で静かに幕を下ろした。


「えーもう終わりかよ〜つまんねーな。おいみんなまだ騒ぎ足りないよな!!」


ドロテアさんの言葉に反発するようにアリババはこの場にいる全員へ向けて大声で呼びかけた。


「いいわね!アリババ私は賛成よ!」

「おぉノリがいいなカーミラ!他のみんなはどうだ?」

「アリスは達もどうかしら?」


カーミラがアリババに賛同しその流れで私に尋ねてきた。


「ええ、ももちろん。楽しそうだものっ!!」


私はアリババとカーミラの提案を受け入れて二次会に参加することを決めた。

ここから二次会に参加する者と参加しない人に別れた。

二次会に参加しない人たちは、ドロテアさんの閉幕宣言を受けて続々と会場を出ていった。


「ちょっと待ってくださいアリスさん。二次会に参加するのは構いませんが、その前にドロテアさんにセレナさんとローダさんの持ってる魔力量とスキルを見てもらいましょう!!」


「そうね。いいわよ!」


イーディスさんの提案で二人の魔力測定とスキルを鑑定することになった。

セレナさんとローダちゃんをイーディスさんの案内でドロテアさんのもとへ連れて行った。

ドロテアさんがいるカウンターの前には、透明の水晶と黒い石板が置かれていた。

私が前にギルドで冒険者登録をした時と全く同じものだった。


「それじゃあ始めるわね!セレナちゃん、ローダちゃん、順番にこの水晶と石板に手を置いてくれるかしら?」


「はいっ!」

「うん」


セレナさんとローダちゃんはドロテアさんの問いかけに元気よく返事をした。

まずはセレナさんが水晶に向けて魔力を込める。

しばらくして透明だった水晶が紫色に変化した。

これは全部で8段階ある中で虹色に次ぐ二番目に多い魔力量を示している。


「これは驚いたわね!紫色あまり見かけないのよ!あなたいいセンス持っているわね!」


ドロテアさんはセレナさんの魔力で紫色に変化した水晶を見て驚いていた。


「うわ〜セレナお姉ちゃんすご〜い!」

「これは珍しいですね。紫色ですか………」


周りを見渡すとドロテアさんだけではなく、イーディスさんやローダちゃんも驚いていた。


「そ、そうなのですか?わたくしこのようなことは初めてで何が凄いのかわかりませんが………その、ありがとうございます」


セレナさんは何が凄いのかわかっていないようで、キョトンと困惑した表情を見せた。

その姿は少しだけ私の時と重なって見えた。


「それじゃぁ次はローダちゃんの番ね。さっきのお姉ちゃんのようにやってみて!」


セレナさんが固まっているのをよそにドロテアさんがローダちゃんに声をかけた。

そして、ローダちゃんは無言のまま頷いてセレナさんと入れ替わるように水晶の前に立つと、目を閉じたまま静かに水晶に向かって魔力を流し始めた。

しばらくして、紫色だった水晶が今度は藍色に変化した。


「どう?すごい?」


ローダちゃんは水晶の色が変わると同時に首をコクリと傾げながら目の前にいたドロテアさんに尋ねた。


「ええ、もちろん凄いわよローダちゃん!!上から3番目だもの〜」


ドロテアさんはそう言いながら満面の笑みで返した。


「やった〜!!」


ローダちゃんはバンザイしながら大喜びをした。

魔力測定が終わるとドロテアさんはスキル鑑定の石板を取り出してきた。


「そじゃあ最後にスキル鑑定をして終わりにしましょうか。まずはセレナちゃんからね〜この石板に手をかざしてもらえるかしら?」


ドロテアさんに声をかけられてセレナさんが再び前に出る。

そして、ドロテアさんに言われるがままセレナさんが石板に手をかざす。

すると、石板が眩い光を放ちながら文字が刻まれていく。

セレナさんが石板から手を離すといくつかのスキル名が石板に刻まれていた。


「セレナちゃんもういいわよ〜」


石板を確認すると【魅惑の歌声】【永泳】【槍使いの加護】【超再生】などが書かれていた。


「わたくし【槍使いの加護】なんて持っていたんですね。初めて知りました」

「スキルの中には両親などから遺伝する場合もかるから知らなくても当然よね〜」

「そうなのですね。安心しました」


どうやらスキルは両親から遺伝する場合もあるらしい。


「てっ!何それ私初めて知ったんですけど!!」

「えっアリスさん今まで知らなかったんですか?」


私がドロテアさんの発言に驚いていると横からイーディスさんに横槍を入れられた。


「えっ!も、もちろん………し、知ってたわよっ!?」

「………本当ですか?」

「………すみません知りませんでした。見栄を張りました………」

「よろしい。素直になりましたね」


イーディスさんとこんなやり取りをしていると、気づけばローダちゃんが石板に手をかざしていた。

石板は先ほどと同じように眩い光を放ちながら新たな文字を刻んでいく。


「おわった〜」

「ありがとう〜もう手を離していいわよ?」


そして、ドロテアさんが石板を確認する。

石板には【透明化】【巨大化】【浮遊】【妖精の加護】などが書かれていた。


「なんて書いてあるの?」


どうやらローダちゃんはまだ文字が読めないらしい。

その様子を見てドロテアさんが丁寧にローダちゃんに説明していた。

そして、説明が終わった後にドロテアさんがローダちゃんの額に手をかざした。


「ちょっと調べさせてね〜」


ローダちゃんの額に魔法陣のような模様が浮かぶ。

私はドロテアさんが何をしているか気になってイーディスさんに聞いてみた。


「イーディスさんあれは何をしているんですか?」

「あれは対象者の情報を読みよっているんですよ。ドロテアさんの予知能力の副産物です」

「そういうことなのね………」


イーディスさんの説明が終わるとほぼ同時にドロテアさんの方も終わったようだ。


「もういいわよ〜お姉さんたちとお話があるから向こうのソファーで休んでて」

「は〜い!!」


ドロテアさんは空いているソファーにローダちゃんを案内して、その後に私とイーディスさんのもとへ来た。


「ローダちゃんについてわかったことがあるわ」


そして、ローダちゃんについて話してくれた。

ローダちゃんは人間とケット・シーという妖精族との混血だということ。

加えて本人がまだ幼く自分のスキルをうまく制御できずに暴走する可能性があることなどを教えてくれた。


「なるほど暴走する危険性があるのですね。ありがとうございます」

「まぁ、何かあっても私たちが側にいれば大丈夫よ!!」

「二人の実力なら大丈夫だと思うけど一応頭に入れといてもらえるかしら?」

「ええ、承知しました」

「わかったわ!」


ドロテアさんの忠告が終わり、ふとローダちゃんのいるソファーに視線を移す。

すると、ローダちゃんはソファーにもたれかかりスヤスヤと寝ていた。


「おーい、アリスそろそろ二次会始めるぞー」


声のする方を見るとアリババ手を振りながら大声で呼んでいた。

私はとりあえずローダちゃんを私の部屋へ運んで寝かせてから行くことにした。

イーディスさんには自分の部屋に連れてくのは危ないと忠告されたけれど、ギルドマスターの養子でもあるローダちゃんが側にいないのはおかしい事と私が側についていることを条件に納得してもらった。


「それじゃあみんなローダちゃんを寝かせてからまた来るわね!」


みんなにそう告げてローダちゃんをおんぶしながら階段を登り外に出た。

空には煌々と満月のが顔を出していた。

満月は朝からかなりの時間が過ぎ去ったことを告げてくれる。

そして、ギルドに着くと一階では冒険者のおじさん達がいつものように大騒ぎをしていた。

そんな光景を横目に見ながら二階にある私の部屋へと向かう。

この間、他の冒険者達にローダちゃんの正体がバレることはなかった。

これは、混血であることを隠すことができる指輪の魔道具のおかげだった。

ローダちゃんとセレナさんには海底神殿から地上に戻るシャボンの中で渡していた。


「よし、到着〜」


自分の部屋へ着くとローダちゃんをベッドに寝かせて頭を撫でる。


「ローダちゃんおやすみ。いい夢見てね〜」


私はそうローダちゃんへ告げて自分の部屋を出た。

そして、みんなが待つギルドの地下へと戻った。

次回更新までまたしばらくお待ちください。

Twitterもよろしくお願いします。


https://twitter.com/katurakatuto

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