11、上級冒険者 イーディス
2章突入です!
あれから二日後の夜。
私は再びギルドマスターから応接室に呼び出された。
どうやら、さっそく私の護衛を引き受けてくれる人が見つかったらしい。
私は今、クレアさんから入れてもらった紅茶を飲みながら、ギルドマスターが来るのを待っている。
そして、しばらくの間待っていると、応接室の扉がノックされた。
「はい、どうぞ」
「アリス君、失礼するよ」
私が返答すると、ギルドマスターの声が聞こえてきた。
そして、扉の向こうからギルドマスターと白髪で、赤いふちの眼鏡に金色のダイヤの形をしたピアスをつけて、ベージュ色のバケットハットを被った一人の女性が現れた。
「こんにちは………」
「初めまして、アリスさん。私は上級冒険者のイーディスと言います。これからあなたの護衛を勤めさせていただきます」
私たちが軽く挨拶を済ませると、ギルドマスターがイーディスさんのことを教えてくれた。
「イーディス君は、このギルドで混血の人たちを保護する活動に参加してくれているんだ。何か困ったことがあったら彼女に相談してくれたまえ」
「わかりました。イーディスさん、これからよろしくお願いします」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします。アリスさん」
私たちが自己紹介を終えると、ギルドマスターが話を続けた。
「では、アリス君に混血の人たちの保護活動について説明を………」
「マスターそのことについてなのですが、私の方から説明させてください!それから、アリスさんと二人だけでお話したいので、申し訳ないのですが席を外していただけないでしょうか?」
「ああ、そうか、わかった。では、イーディス君あとはよろしく頼む」
「お任せください!マスター」
ギルドマスターはそう言って応接室を後にした。
そして、この場には私とイーディスさんの二人だけになった。
しばらく沈黙の時間が流れる。
「………………」
「………………」
き、気まずいわね………
こういう時はいったいどんな話をすればいいのかしら………
何かいい話題ないかな………
あ!そうだ
「イーディスさんてお若いんですね。歳はいくつなんですか?」
何やってんの私!!普通の会話すぎるでしょ!
もっと別の話題を!………
「今年で26ですかね」
「って、そんなの答えるわけないですよね………アハハッ」
「だから今年で26ですよ」
「え?あ、普通に答えてくれるんですね」
「はぁ………アリスさんが何を心配しているかは知りませんが、歳ぐらい普通に答えますよ」
「ああ、そうなんですね。その歳で上級冒険者なんですよね。強いんですね」
「っ!………」
私がそう言うと、イーディスさんは一瞬目を細めた。
あ、なんかマズイこと言っちゃったかな………
「それを言うならアリスさん、あなたの方がすごいじゃないですか。成人したばかりで、しかも冒険者を初めて一ヶ月も経たずに、あの勇者様と同等の特級冒険者なんですから………」
「そ、それは………」
し、しまった!!これじゃ相手を挑発するだけじゃない!!私のバカ!!
「あ〜私が言いたいのは、今まで出会った冒険者たちはみんなおじさんたちばかりだったので、女性で、しかもこんなに若い人が上級冒険者なんてすごいなって思って………あ、あの、ただそれだけで特に深い意味はありません!!」
私は必死に自分の気持ちを素直にイーディスさんに伝えた。
「そうですか………まあいいです。では雑談はこのくらいにして、そろそろ本題に入らせてもらってもいいですか?」
「あ、はい。どうぞ………」
「アリスさんは明日から私と一緒に海底神殿へ行ってもらいます」
「海底神殿ですか!!」
私は勢いよくソファーから立ち上がった。
「それってあの『勇者物語』に出てくる海底神殿ですか?」
「えぇ、そうです………詳しいですね、アリスさん………」
勇者物語が実話だとは聞いていたけれど、海底神殿は本当にあったのね!!
今から楽しみね!!
「わかりました!!何を準備すればいいですか?私さっそく………」
「アリスさん。座ってください。まだ話は終わりではありませんよ」
「えへへ、すみません………」
私は頭の後ろに手を当てながら、そっとソファーに座り直した。
すると、イーディスさんはコホンッと一度咳払いをして話を続けた。
「そして、その他にあと二つアリスさんにお願いしたいことがあるのですがよろしいですか?」
「ええ、別に構いませんけど………なんですか?」
「ありがとうございます。ではまず一つ目に私と決闘をしてあなたの実力を私に見せてください。二つ目はアリスさんに見てもらいたいところがあるのです」
「見てもらいたいところですか?」
「はい。そちらは決闘が終わった後に案内します」
「わかりました」
私が返事をすると、イーディスさんはソファーから立ち上がり、私の方に視線を向けて来た。
「では、さっそくアリスさんの実力を私に見せてください」
イーディスさんの言葉を受けて私は立ち上がる。
「ええ、いいですよ。全力でお相手します」
そう言って私はイーディスさんと一緒にギルドの表へ向かった。
こうして、私とイーディスさんは急遽決闘することとなった。
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