魔女の誕生
処女作です。
楽しんでいただけると嬉しいです。
昔々世界が滅びる前の物語
とある世界のとある村に一人の少女がいた。
その少女は幼いころに事故で両親を亡くしていたが、
祖父母に引き取られ村で幸せに暮らしていた。
だが、そんな少女を妬む者がいた。
その者は少女の両親が亡くなった事故と同じ事故で
家族を亡くし、少女と同じ村の男に引き取られた。
ところが男は些細なことで暴力をふるい、
その者の生活は少女と違い幸せではなかった。
その者は年々少女を妬む気持ちが大きくなっていき、
とうとうある日、その者は教会に少女を魔族とつながる異端者だと
嘘の告発をし、少女は教会に連れていかれた。
少女の祖父母は必死に違うといって教会を止めようとしたが、
教会のものは調べればわかることだと言って取り合わなかった。
そして、数か月がたち少女は異端者として火あぶりにされるために
村へと戻された。少女は魔族に情報を流した裏切り者として
村人に石を投げつけられた。
少女の祖父母だけは石を投げなかったが、教会の者に、
異端者を育てた責任がある。石を投げなさい。
まさかあなた方も魔族とつながっているのではないでしょうね。
と言われ、しぶしぶ石を投げた。
その瞬間少女の心は壊れた。
なぜ、なぜ。と疑問しか頭には思い浮かばなかった。
火が放たれるのを見ながら、少女は疑問を重ねる。
(なぜ?私は魔族とつながっていないのに、情報を流したりしていないのに。
誰?私にうその告発をするなんて。
何で?ずっと耐えてきたのに。教会で魔族とつながっているといいなさいと
言われ続けても、耐えてきたのに。痛いことやひどいことをされても
耐えてきたのに。何で?お祖母さんもお祖父さんも石を投げるの
私が裏切者じゃないなんて知っているでしょ。)
少女は知らなかったが、教会は少女に催眠をし、魔族とつながっていると
嘘の自白をさせていた。
火で己の身が焼焦げ痛いと思いながらもさらに少女は思考をする。
(もうこんな事になる位なら
人間なんていらない。友達も家族もいらない。
裏切られるくらいなら、人間なんか必要ない。
許さない。私を裏切った奴ら全員許さない。
この村も、国も、教会も。全部滅ぼしてやる。
許さない。許さない。許さない。許さない。
ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ。)
数時間後、火が消えそこには少女の姿はなかった。
その夜、密告をしたその者改め密告者が処刑場の場で、
「いい気味。私と違ってあなたはずっと幸せだったんだもの。
これくらい当然よね。」
「へえ、貴方が嘘の密告をしたんだ。」
密告者が後ろを向くと、そこには炎のような赤い髪の少女がいた。
「あ、あなた死んだはずじゃ。」
「ええ、死んだわよ。死んで魔女としてよみがえったの。
安心して。あなたには一切危害を加えないから。」
「あ、あんたいったい何をするつもり?」
「決まってるじゃない。私を殺した奴ら全員殺すのよ。
この村も、教会も、国もすべて。」
「あなた、狂ってる。」
「ええ、あの時から私は狂ってるわよ。それじゃ、
私はそろそろ行くからさようなら。」
そう言って、少女改め魔女は密告者から離れていった。
そして、密告者と魔女以外のすべてのものを殺した後、
魔女は祖父母がいるであろう元自宅へと向かった。
魔女が元自宅に入り目にしたのは、
少女を裏切った後悔か、異端者を育ててしまった責任か、
自殺をした祖父母の姿であった。
魔女は、死んだ祖父母を見ても何も変わらない自分の心に、
ああ、変わってしまったんだなと思った。
そして、魔女は夜が明けぬうちに村から出ていき、村には
密告者だけが残った。
数年後、魔女は自分の住んでいた国とその周辺国家を滅ぼし、
魔女を恐れた連合軍によって殺された。
魔女を生み出した密告者はその後どうなったのかは誰もわからない。
さらに数十年後、魔女が滅ぼした国の跡地には
魔族の国が建国され、人間と終わらない戦争をしていた。
そして、魔族の国の王が崩御し、異世界からとある若者が新たな
魔族の王として召喚されるのだが、それはまた別のお話。
???「ちょうどいい人間が処刑されてたから魔女にしてみたけど
彼女はいい働きをしてくれたね。さてと、
計画を次の段階に進めるとしますか。
新たな魔王となるものを探さないとね。」
いかかだったでしょうか。
これを入れたほうがいいようなので一言。
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別の番外編も出すかも。