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6話 激おこ

 

「あれ? 皆さんこんな所で何やっているんですか??」

 

 暫くして部屋から出て来た結衣ちゃんは俺達の姿を見て驚いた表情を浮かべる。

 

「ゆ、結衣! ち、ちょうど良かったわ! 探してたのよ、私も詳しくは知らないんだけどリアが私達に用があるみたいなの!! 今、時間あるかしら??」

 

 わざとらしく青蜜がそう言ったのをきっかけに、俺達はあたかも今さっきここに辿り着いた様に振る舞った。

 

「いや、本当に偶然だな!! まさか結衣ちゃんがこんな所に居るなんて思わなかったわ!!」

 

「そ、そうね! ブルーちゃんの勘も中々やるじゃない!! 適当に歩いてただけだと思ってたわ!!

 私達は今来たばかりだから勿論部屋の中身なんて見てないんだから!! そうよね、ブルーちゃん??」

 

「え、ええっ!! 私達は何も見てないわ!! 本当に本当よ!!」

 


 ……いや、俺も人の事言えたもんじゃないけど言い訳が下手すぎるだろ。 こんなの逆に怪しすぎると思うんだが。

 

「そうでしたか。 皆さん私を探してたんですね、それはご迷惑をおかけしました。 

 どうしても一人になりたくて……でも、もう大丈夫です!! では、リアさんの元に行きましょうか」

 

 あっ、納得するんだ。 まぁ純粋な結衣ちゃんらしいっ。

 

「……それにしても皆さんが部屋の中を覗いてなくて本当に良かったです。 

 もし見られてたら……ふふっ、何でもありません、これは言わない方が良いですね」

 

 ち、違う!! 絶対俺達が覗いてたのに気付いてるわ!! 

 気付いた上で恐怖で黙らせようとしてるわ!! なんか今の笑みで心臓を掴まれてる様な感覚を感じたもん!!

 

「……とりあえず行きましょうまどかちゃん。 あんまりリアを待たせるのもアレだしね」

 

「ええ……それが良いわね」  

 

 俺と同じ感覚を味わったのか、青蜜とルカが顔を引き攣らせてそう言った。 

 

「うん……そうだな。 じゃあ行こうか」

 

 俺は二人に促される様に歩き、リアの待つ自分の部屋へと帰る事にした。

 

 ……結衣ちゃんの胸が前より少しだけ大きくなっていた事については特に触れる事はしなかった。

 

 

 


 それから俺達は無言で城の中を歩き、俺の部屋の前まで辿り着いた。

 

「……ねぇ、ダーリン? リアはダーリンの部屋で何をしてるのかしら??」

 

 俺にだけ聞こえる様にルカは小さく呟く。

 

「えっ?? あー、確か疲れたから少し寝るって言ってかな……まぁ特に心配しなくてもなんも無いと思うぞ」

 

 多分、俺のを含めて見たくも無いものを何回も見ちゃったから警戒してるんだろう。 なんか身構えてるもんな。

 

「リアなら大丈夫だよ。 それに俺の部屋には変な物は置いてないしな、気軽に開けても大丈夫だと思うぜ」

 

 心配するルカの気持ちもわかるけど、相手はあの魔女だ。 

 俺達に見られて困るようなへまはしないだろう。

 

 俺はルカの不安を特に気に留める事はせず、そのまま部屋の扉を開けた。

 


「ただいまー。 遅くなって悪かったなリア。 言われた通り、青蜜達を呼んできっ……」

 


「はぁ……はぁ……これがまどかの匂いかぁ……ふむ、人間の匂いの割には悪くないのぅ……はぁはぁ……これ! いかんぞ、まどかよ!! 

 わ、我は、魔女であって人間と交わる事は……あぁ!! ダメじゃ!! 

 これ以上はダメじゃぞ!! 我は!! わ、我はっ!!」

 


 ……何やってんのこの魔女??


 甘い声を部屋に響かせベットで身体を捩るリアの姿に俺はもう声が出せなかった。 



「ち、ちょっとリア!! 何やってっ」

 

「このぉド変態発情魔女がっ!!」

 

「ふぎゃっ!!」

 

 青蜜の声を遮り、ルカがリアのお尻を勢い良く蹴り上げた。

 

「な、ななんじゃ!! お、お主らいつからそこに??」

 

「そんな事どうでも良いのよ!! あんたダーリンのベットで何やってるのよ!! 信じられない!! 元々知ってたけど、あんた相当馬鹿なのね!!」

 

「なっ!! 馬鹿ではないわ!! い、今のは……そのぅ……久しぶりの男の匂いについ興奮してしまっただけじゃ!!

 たまたまじゃ!! 抑えきれなかっただけじゃ!!」

 

 ……それ何の言い訳にもなってないだろ。 

 ってかあんまり生々しい事言わないでくれ。 なんか俺が恥ずかしいわ。

 

「それが馬鹿だって言ってるのよ!! 普通なら人様の部屋でそんな事しないもの!!」

 

「うっ……ぐぬぬ」

 

 流石のリアも分が悪いと思ったのか、それ以上ルカに反論する事はしなかった。

 

 それにしてもルカの奴かなり怒ってるな……まぁ今までのが溜まってたんだろうけど。

 

「ま、まぁまぁ、リアにもそう言う時があるって事で良いじゃない。 それより早く話を聞きまっ」

 

「厨二病は黙ってて!!」

 

「うっ……はい」

 

 再度青蜜の言葉を遮ってルカは怒りを露わにする。

 

「る、ルカさん?? 流石にそんなに怒らなくてもっ」

 

「おっぱい狂も黙りなさい??」

 

「ひっ!!」

 

 つ、ついに結衣ちゃんにまで……これはもう止められないな。

 

「ちょうど良いわ。 あなた達全員に言いたい事があるからそこに座りなさい!!」

 


「「「……はい」」」

 

 そう言ってルカは青蜜達を一列に正座させる。

 


 ま、まぁたまにはこう言う日があっても良いか。 

 青蜜も結衣ちゃんも、そしてリアも誰かに注意される事なんて滅多にないだっ。

 

「……何してるのダーリン?? ダーリンも座るのよ??」

 

「……あっ、ですよね……はい」

 

 それから1時間、俺達はルカにみっちりと道徳観や倫理観について説教された。

 

 まさかこの歳になって説教されるとはな……まぁでもこれで良かったかもな。 

 今回の騒動にルカが居なかったらそれこそ収集が付かなくなってただろうからな。

 

 

 全力で叱るルカの言葉に耳を傾けながら、俺は心の中でルカに感謝を告げた。

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