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36-1話 天才と言う名の免罪符


「わ、我じゃが?」


 3回目のコールが鳴ると同時にスマホからリアの声が聞こえた。


「リ、リア! リアが力を取り戻すのは、3ヶ月後で間違えないんだよな??」

 

 その声に興奮が抑えられず俺は早口でリアへと質問する。


「な、なんじゃ急に! どうしたんじゃ?」

 

「良いから教えてくれ! どうなんだ??」

 

「う、うむ。 まぁ前回も言ったが3ヶ月後には2割程度の力を取り戻す予定じゃが……その、なんじゃ? 上手くいったのか??」

 

「そ、そうか……良かった、本当に良かった」

 

 リアの言葉に俺は心の底から安堵した。

 

 正直、もしなんの進展もなかったらきっとこれ以上何か行動を起こせるとは思ってなかったから。

 

「な、なんなんじゃ一体! 我にも分かる様に説明せい!!」

 

「あ、あぁ。 そうだな、先ずは情報共有だよな」

 

 俺は一度スマホを耳元から離し、青蜜とルカとリア、それからおっさんに今の状況を説明した。

 

 

「な、なるほど! 確かにまどかちゃんの言う通りだわ!」

 

「ふむ、どうやら上手くいった見たいじゃな」

 

「……ん? 一体どう言う事じゃ??」

 

 どうやらみんな理解してくれたみたいだな。

 おっさんだけいまいちわかってなさそうだったけど、まぁどうでも良いか。

 それにしても結衣ちゃんには感謝しないとな、結衣ちゃんのおかげで精神崩壊せずに済んだんだし。


「……ねぇ、このリアは私と一緒に研究してたリアとは別人なの??」

 

 俺の話がひと段落したあたりで、ルカがタイミングを見計らっていた様にそう呟く。


「我のことか? そうじゃな、別人では無く同一個体で間違いないじゃろうが、お主とやり取りしていた個体はおそらくもう消滅しておるから、そう言った意味では別人ではあるかのぅ……。

 我はお主と最初に話したリアであって一緒に研究をしたリアではない。 

 その時の記憶も今は持ってはおらぬ……すまんのぅ」

 

「いえ、別に良いのよ。 ……そっかぁ、消えたんだあいつ」

 

 何処か寂しそうにルカは小さく呟く。 

 その話し方でリアとルカが良い関係であった事は察しがついた。

 

「まぁ、そんな寂しがるでない。 元々は我自身じゃ、全ての力を取り戻す事が出来れば、記憶も取り戻せる筈じゃしな」

 

「ほ、本当に!! ……って別に寂しがってないわよ!! ただ話し相手が居なくなるからちょっと暇になるかなぁーって思っただけなんだから!!」

 

 ……か、かわいい。 エロいツンデレとか破壊力エグいな、おい。

 


「なぁ? どうでも良いが今日はもう休まんか?? そろそろワシも限界なんじゃよ」

 

 リアとルカのやり取りを見て昂っているとおっさんは急に弱々しい声を出した。


 いや、おっさんはなんもしてないだろ。 

 その疲れた演技もバレバレだぞ。

 

「……おっさんのクソ演技で締められるのは癪だけど確かに疲れたわね」


 ほらな??


「わ、私もあかねちゃんの意見に賛成です。 これからの事については後日改めて時間を取りませんか??」

 

 うーん、俺としては今のうちに今後の予定を決めておくのも良いと思ってたんだけどなぁ。 

 まぁでもまだ時間はあるもんな、ここは青蜜と結衣ちゃんの気持ちを優先した方が良いよな。

 ……特に結衣ちゃんは服に着いた返り血をどうにかしたいだろうし。

 


「そうだな。 今日は一旦解散しようか」

 

「おおー!! いやぁー良かった良かった! 実は今からゲームのイベントが始まる所じゃったのじゃ!! では、これにてワシは失礼するぞ!!」

 

 俺の言葉におっさんは嬉しそうに目を輝かせ、駆け足でこの部屋から出て行った。

 

 まだやってたのか、あのゲーム。


「はぁー、おっさんは後で絶対に殴るとして、結衣、私達も部屋に帰りましょうか。 お風呂にも入りたいでしょう?」

 

「は、はい! お風呂に行きたいです!」

 

「ふふっ、そうよね、じゃあ一緒に入りましょうか。

 まどかちゃん、そう言う事だから私達も一旦帰るわね」

 

「ま、まどかさん! お疲れ様でした!!」

 

 おっさんに続いて、青蜜と結衣ちゃんがゆっくりと歩き出した。

 

 ……なんか二人ともあっさりしてるなぁ。 俺だけ凄い興奮してたみたいで恥ずかしいわ。


 ってか今一緒にお風呂入るって言った?? いつの間にそんな仲良くなったの?? 凄い羨ましいんだけど!!

 

「まどかよ……とりあえずは良かったのぅ。 想像してた展開よりはお主が楽しそうにしていて、そのぅ、なんじゃ……安心したぞ」


「えっ? あぁー、そうだな。 これもリアのおかげだよ、ありがとうな」

 

 思えば今回もリアにはかなり世話になったな。

 俺に出来る事なんて殆ど無いかも知れないけど、いつかこの恩を返せる日が来れば良いな。


「よ、よせ。 元々お主らには関係ない事だったのに、我の発明品で迷惑をかけておるのじゃ。 礼を言う必要など無い」


 スマホ越しでも分かる照れた声でリアは恥ずかしいそうに言った。


 ……あれ? もしかしてリアって結構可愛いんじゃ??

 お、おっさんじゃなくてリアに召喚されたかったな。


「そ、そう言えばさ! ルカがこの世界に来れたのは人間凍結機を作ったからだって言ってたんだが、そんな事本当に可能なのか??」


 リアの思わぬ可愛さに何処かこっちが恥ずかしくなり、俺はとりあえず話を変える事にした。

 


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