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27話 異世界人らしさとは異世界人らしく振る舞う事

 

「何じゃそんな事か! そんなの我が手伝う必要もない程些細な事ではなっ……えっ? お主今何と言ったのじゃ? わ、我の聞き間違いかのぅ? ルカの子と別れたいと聞こえたんじゃが……」

 

「聞き間違いじゃないさ。 ルカと別れる為にリアの力を借りたい。 それが俺の今回の頼みだ」

 

 驚愕の声をあげるリアに俺は再度その言葉を口にした。

 

「なっ、何故じゃ! この状況はお主にとっては願ってもないチャンスでもあるのではないのか? ハーレムとやらはお主の夢なんじゃろ??」

 

「ま、まぁそうなんだけど」

 

 リアに悪気はないんだろうけど、あんまり真面目にハーレムが夢とか言わないで欲しいな。 

 今更だけど他人に真顔で言われるとかなり恥ずかしいわ。

 

「だったら何を悩む事があるのじゃ! このままあの三人と幸せに過ごせばよかろうに!! 

 はっ! ま、まさかと思うがお主、あの三人より我と一緒に居たいからこのような事を言っているのか? 

 よ、よせ! その気持ちはその、嬉しいが我の事はそんなに気にせんでも良い。 我はお主の二回目の人生を貰う予定じゃからな」

 

 画面越しにも分かる程に頬を赤く染めたリアが恥ずかしそうに小さくそう呟いた。

 

「あっ、いや別にそう言う訳じゃ……」

 

 何でリアが照れてるんだ? ってか二度目の人生って何? もしかしてリアの奴、本当に俺を使ってヤバい実験しようとか考えてるんじゃないだろうな? 

 思えば初めて会った時にも珍しいって言われたし。

 

「……そうか。 そう言う訳では無かったのか。 ま、まぁそうじゃろうな」

 

 え、何で落ち込んでるの? 

 

 明らかにテンションの下がった声でリアは続けて話す。

 

「じ、じゃあ一体何が不満なんじゃ? ただ単にルカとやらが嫌になっただけなのか?」

 

「そんな事ないさ。 それに不満なんて全く無いんだ。 青蜜や結衣ちゃんが俺やルカの事を気遣ってくれたのも嬉しいし、正直言えば俺だってこの時代にずっと居たいって思ってる」

 

「だったら居れば良いじゃろ?? それで全部解決ではないか」

 

「解決してないだろ? 俺達が過去に来てまでやろうとした事が」

 

 そう、このままじゃ何の解決にもなってない。 俺達は世界を救う為に過去にきっ。

 

「はぁ? もしやとは思うがお主、今でもこの世界を救おうとか考えておるのか?」

 

 俺の思考を遮ってリアは呆れた様に大きな溜息を吐いた。

 

「……そのつもりなんだけど」


 何でそんな顔するんだ? 俺なんか変な事言ったか? 

 

「はぁー、何を考えてるかと思えばそんなしょうもない事だったとはな。 良いかまどかよ? この世界はお主らが来る前からもう既に終わりを迎える星であったのじゃ。 

 じゃからこのままこの星が滅んでも異世界人のお主がその責任を感じる事など無い。 ただそう言う運命であったと言うだけじゃ。 

 そもそもこの世界の危機を異世界人に救って貰う自体、本来はおこがましい事だったのじゃ。 

 異世界人は異世界人らしく未来の事など考えずただその時を楽しめば良い。 今まで我が見てきた奴らと同じくな」

 

 何処か寂しそうにリアが言う。

 

 異世界人らしくか………そう言えばリアって転生者に意見を言ってこんな目にあってんだもんな。 

 だから無意識に諦めてるんだろう。

本当はリアだって自分の作った星が滅びるのを黙って見てるのなんて嫌な筈だ。

 女心なんて全くわからない俺だけど今のリア表情を見ればその胸のうちくらいはわかる。

 

「話は終わりか? 残念じゃが世界を救いたいからルカの子と別れたいと言う頼みを聞くつもりはない。 

 我としては勝手にこの世界の危機に巻き込まれたお主らにはせめて幸せに過ごして貰えればそれで良いのじゃ。 

 それにそんなに心配せんでも良い、あのポンコツもやる時は、そのまぁ多少はやる方じゃからな、お主らが帰らずとも意外に何とかする筈じゃ」

 

 ……うん、これは嘘だな。 ポンコツって言った時のリアの顔歪んでたし、あのおっさんが何とかするとは思えないもん。 

 今頃呑気のお茶でも飲んでる気さえするからな。

 

 にしても困ったな。 青蜜や結衣ちゃんはまだしもリアには絶対協力して貰わないと。 

 ルカの研究を理解できるのはリアだけだろうし……どうやら恥を捨ててもう一つの理由を言うしかなさそうだな。

 世界を救う為とか格好つけたけど本当はこっちの方が理由としては大きいしな。

 

「なぁリア。 世界を救うって目的じゃなかったら俺に協力してくれるのか??」

 

 覚悟を決めた俺はもう一度リアへと話を振る。

 

「ふん、まぁ本当に他に理由があれば聞いてやるが、我がお主に協力するとすればそれがお主の本心からの願いであった場合だけじゃぞ?? 世界の為や誰かの為ではなくお主自身の願いの時のみじゃ」

 

 釘を刺すようにリアは強い口調で言い切る。

 

 ……自分自身の願いの為か。 だとしたら問題ないな、俺は自分の為に、俺自身の為だけに未来に帰る事を決めたんだから。

 

「リア、ありがとう。 やっぱりお前は優しい魔女だよ。 未来に帰るって決めたのは本当に俺自身の願いなんだ。 

 このままこの時代に残って青蜜や結衣ちゃん、そしてルカと一緒にいても俺は心の底から幸せにはなれないんだからな」

 

「幸せになれないじゃと? 青っ子達のレベルではお主の欲求を満足させるにはいたらぬと言う訳か??」

 

「そんな事じゃないさ。 あいつらが勝手に俺のハーレムに入ってくれたと想像するならむしろ三人とも俺には勿体無いくらいだしな」

 

「だったら何が問題なんじゃ! 我にはお主の言ってる事の意味が全くわからんぞ?? 夢が叶う可能性があるのに何故幸せになれんのじゃ??」

 

 リアの言葉に俺はついさっきの出来事を思い出す。

 

 青蜜や結衣ちゃん、それにルカと一緒に過ごす事を想像した時によぎったあの事を。

 

「俺はさ、自分で気付かなかったけど結構強欲だったみたいなんだ。 このままこの時代に残ったら確かに俺の夢が叶う可能性は高くなるかも知れないし、ルカみたいな可愛い子に好意を寄せられるのだってこれが最後かも知れない。 

 だけどそれだけじゃ俺はまだ満たされないんだよ」

 

「強欲? 満たされない? 何じゃ? お主は何の話をしているのじゃ??」

 

 俺の言葉に本気で困惑する様にリアが首を傾げる。

 

 やっぱりはっきり言わなきゃ駄目だよな。 

 深呼吸を一度挟み俺は意を決してリアへと自分の本心を告げる。

 


「…こ、このままじゃ……その、こ、子供が出来ないだろ??」

 


「………はっ?? こ、子供じゃと??」


 唐突な俺の話に、リアは大きく目を見開き、驚きの表情を浮かべながらまるで時が止まったかの様に固まっていた。

少し長くなったので2話に分けました。 

明日のお昼頃に更新予定です。

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