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22-2話 全てが僕の力になる。 

 

「だ、だって死ぬかもしれないって思ったんじゃもん! 怖かったんじゃもん!!」

 

 頭を下げ上目遣いでおっさんは叫ぶ。

 

 ……いや、可愛く言っても無駄だからね? 死ぬかも知れないって思ってたのに、俺達を送ったんでしょ? ドクズじゃねぇーか、おい。

 

「はぁー、もう良いわ。 さっきも言ったけど今はそんなしょうもない事を責めるつもりは無いから。 さてとこれでまどかちゃんも少しは気が晴れたかしら?」

 

「えっ? あぁ、まぁな」

 

 もしかしてわざわざ俺の為におっさんに突っ掛かったのか? ……世界がもう少しで終わるかもしれないってのに本当に優しい奴なんだな、こいつ。

 

「そう、それなら早い所リアに連絡取ってくれるかしら? 時間も限られてるしね

 

 そうだ! あのなんでも魔女がまだ居たんだ! まだ希望があるじゃないか!

 諦めてる場合じゃなかったな!!

 

「わ、わかった! あっ、でもリア電話に出てくれるかな? この間の電話で凄い怒ってたし」


「大丈夫よ。 まどかちゃんからの電話ならリアは出てくれるわ」

 

 そう言って青蜜は優しく俺に微笑む。

 

 ほ、本当かな? むしろ俺からの電話なんて尚更とってくれないと思うんだが……ま、まぁ青蜜がこう言ってるんだ! 今は何も考えずに連絡しよう!!

 

 俺は直ぐにスマホを取り出してリアへ電話を入れた。

 

 頼む! 出てくれリア! 今の状況をどうにかするにはリアの力が必要なんだ!! 

 

「……わ、我じゃがっ?」

 

 電話をして直ぐに俺が握りしめていたスマホからリアの声が響く。

 

「リ、リア!! 良かった! 電話に出てくれたんだな! ありがとう、本当にありがとう!!」

 

「き、急にどうしたのじゃ? そ、そんなに礼など言わずともお主からの電話なら我はっ」

 

「あー、ごめんリア、少し急いでるの。 今直ぐリアに頼みたい事があって!!」

 

「あ、青っ子もまた近くにいるのか?

 ま、まぁそうじゃよな……何か用があるから電話して来たんじゃもんな。 で、今回はどうしたんじゃ??」


 何処か寂しそうにリアが青蜜に返す。

 

 きっと暇なんだろうな、リアの奴。 日本で園児に囲まれて過ごしてるって言ってたし話をする奴も居なさそうだもんな。 今度、話くらい聞いてやるか。 

 

「じゃが知ってると思うが頼みと言っても大した事は出来んぞ?」

 

 申し訳なさそうにリアが続けて言う。

 

 勿論、それは青蜜もわかってる筈だ。 多分青蜜の事だから、リアに今の状況を話してヒントか何かを貰おうと考えてるんじゃないかな。 ルカの森の時みたいに!!

 

 俺は青蜜に視線を向けて次の言葉を待った。 

 

 そんな俺い気付いてか、青蜜は深呼吸を一度挟み、意を決した様にその口を開く。

 

「リア、貴方に頼みたい事があるわ!!

 ま、前に世界を救う事が出来なかった時、私達3人くらいなら何とかしてやるって言ってたわよね?? 

 そのぅ……今直ぐ何とかして貰っても良いかしら??」

 

 うんうん、やっぱり青蜜は諦めてなんていなっ………ん?? 今なんて言った?

 

「あ、あかね殿! それはあんまりではないか!! お主、この世界を見捨てるのか? あんなに救ってくれると約束したではないかぁー!! 世界を救うのはお主の夢ではなかったのか!!」

 

 俺の困惑を余所におっさんが青蜜へと詰め寄る。


「う、うるさいー! 救おうとしたわよ! 残念ながら結果は失敗だったけど、出来る限り頑張ったつもりよ! だけど無理なものは無理なの! 世界にはそういう理があるの!! 世界を救う夢は……またの機会に別の異世界でやるわよ!!」

 

 張り詰めてた糸が切れたのか、青蜜は年相応の少女の様に喚き散らす。

 

 ……そうだった、青蜜も命の危機の際にはクズ化するんだったわ。 ル、ルカの森の時みたいに。

 

「し、失敗したならあかね殿もこの世界と共に死を選ぶべきでは無いか!!」

 

「はぁ? 嫌よ!! 私は死なないわ! 何としても生き残ってやるって決めてるんだから!!」

 

 

 そのまま青蜜とおっさんは子供の喧嘩を始めだした。

 

 ひ、人の事言えないけど今は喧嘩してる場合じゃないだろ……。

 


「なぁリア……俺を含めてだけど、やっぱ異世界って基本的にクズしか来れないのか?」

 

「ま、まぁクズとまでは言わんが異世界人もそれを呼ぶ者も、お世辞にも正常とは言えない者達ばかりじゃな……」

 


 絶えず怒鳴り合う二人を遠目に俺はリアの考えが間違っていなかった事に今更ながら気付いた。

 

    

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