↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
50/158

9話 青 黒 白 緑←New

 

「質問に答えてくれるしら? 貴方達は私を殺しに来たの?」

 

 まるでこの森の木々のような緑髪をなびかせて少女は俺達に怪訝な視線を向ける。

 

 見た目的には今の俺達と同じ年齢くらいだな、もしかしてこの子がルカ・ルーレットか?

 

「こ、殺すつもりなんてありません!」

 

 結衣ちゃんは慌てて否定する。

 

「じゃあ一体に何しにここへ? ここは普通の子供が気軽に来れる様な場所じゃないわ、貴方達の目的は何かしら?」

 

「そ、それはっ」

 

 少女の早口に結衣ちゃんは困り顔で言い淀む。 

 

 まぁ結衣ちゃんはこう言うの苦手そうだもんな。 得意な青蜜も今は寝てるし、ここは俺が話を纏めるべきだな。 


 ……それくらいなら出来そうだし。

 

「それは俺から説明するよ。 君の言う通り俺達はある目的の為にこの場所に来たんだ。 あっ、俺の名前は福吉えんっ」

 

「名前なんて聞いてない! 私は貴方達に何の為にここに来たのか聞いているの! それ以外は話さなくて良いわ、興味ないから!!」

 

 俺の言葉を遮り少女は冷たく言い放つ。

 

「あっ、はい。 わかりました」

 

 怖っ、なんか知らないけど凄いイライラしてるじゃん。 ……ってか子供に怒鳴られるのって精神的に来るな、次からは聞かれた事だけ素直に答えよ。

 

「えっと、目的だったよな? 俺達はルカ・ルーレットって女の子に会いに来たんだ。 聞きたい事があってさ」

 

「聞きたい事? 何かしら?」

 

 あっ、やっぱこの子がルカなんだ。   

    

「貴方がルカ・ルーレットさんなのですか?」    

 

「……」

 

 結衣ちゃんの質問をルカは聞いていなかったと言わんばかりに視線を逸らして無視をする。

 

「あ、すいません」

 

 その態度に結衣ちゃんは静かに頭を下げた。 

 

 あぁ成る程、今は私が質問してるの! って事か……なんかめんどくさそうだな、この子も。

 さっさと用件済ませて元の世界に帰ろう。

 

「今はなんの研究してるんだ?」

 

「答える義理は無いわ」

 

「せ、世界の滅亡を考えたりした事あるか?」

 

「答える価値のない質問ね」

 

「あの、俺の質問に答えてくれる気はある??」

 

「あるわけないじゃない? 聞きたい事が何なのかは興味あったけど、答えるとは言ってないわ。 用件は終わりかしら? じゃあもう帰ってくれる? 私は貴方達みたいなお子様と違って忙しいから」

 

 そう言ってルカは扉にかけていた手を離し、俺達に背を向けた。

 

 ほらな? めんどくさいだろ?  

 大体「お前もお子様だろ、なに大人ぶってんだか」 


「……い、今なんて言ったのかしら?」

 

 足を止めたルカは振り向く事なく呟いた。

 

 あぁ、またか。 いやでも今回はこれで良かったかも。 ここでルカに帰られたらもう二度と屋敷から出て来てくれないかも知れないからな……しかし結構効いてそうだな、普通に話しても無視されるくらいなら、このまま少し煽ってみるのも良いかもな。

 

「聞こえなかったのか? 見た目通りの子供だなって言ったんだよ。 あっ、やっぱ訂正するわ、見た目以下のお子様でちたねぇー」

 

「は、はぁぁ? そんなわけないじゃない!! 私はそこら辺の大人なんかよりもずっと優秀なんだから!!」

 

 振り向いたルカは真っ赤にした顔を大きく膨らませてながらどんどんと俺に近付く。


 想像以上に効いたな、それにこのまま怒っててくれた方が話もしやすいかも。


「ずっと優秀? お前が? 無理すんなよ、どうせ大した物作ってないだろ」

 

「むきゃー! 作ってるわよ! めっちゃくちゃ凄いの作ってるんだから!! それこそ世界を変えちゃう程に凄い物をね! 私は本当に天才なんだから!!」

 

「いや妄想だろ? 俺も子供頃そう言う時期あったからわかるよ。 子供ってさ、自分の事天才って思ったりするんだよね。 でも年を取るにつれ自分には大した才能がないって気付くんだよね。 わかるよその気持ち」

 

「いや、全然わかってないじゃない! 私はそう言う事を言ってるわけじゃないから! 本当に凄い研究をしてるのよ! そんなしょうもない葛藤に構ってる暇もないの! 

 私は自分の才能を疑ってない、自分にしか成し遂げられないと本気で思っている!!」 

 

 ルカの言葉の熱量に俺は思わず後退る。 

 ルカが叫ぶその言葉の全てが本気なのは目を見ればわかった。

 

 流石に星の裏日記に出てくる様な少女だな、本気で世界を変えてしまいそうな勢いだ。

 

「その凄い研究って何なんだ?」

 

「ふふっ聞いて驚きなさい! この世界から自然災害を消し去る! それが私の研究よ!」

 

 ……まぁまだまだ子供だけど。

 

「なるほど! つまりそれが災害支配って事ですね!!」

 

 結衣ちゃんは大きく頷きながら言う。

 

「良く知ってるじゃない! そうよ、私の研究は災害を支配するこっ……貴方どうしてその名前を知ってるの? この研究はルカの一族しか知らない筈なのに」

 

 大きな目を更に見開いてルカは結衣ちゃんに尋ねる。

 

 ここらが一番良いタイミングかもな、信じてもらえる可能性も高そうだし。 

 

「もう一度言うぞ、ルカ・ルーレット。 俺達は君に会いに来たんだ、160年後の未来から」

 

「な、何を言ってるの? そんな事信じられるわけないじゃない! 大体未来から来るなんて不可能だわ!」

 

「俺からした災害を支配するのも同じぐらい不可能に思えるけどな」

 

「そっ、それは……」

 

 今度はルカが言い淀む。 自らを天才少女と呼ぶルカの事だ、今必死にその可能性について考えを巡らせているんだろう。

 

「なぁ、もう一度話だけでも聞いてくれないか?」

 

 俺はここぞとばかりにもう一歩踏み込む。 

 

「さ、さっきも言ったでしょ、私は貴方達みたいなお子様と話している時間はないの……もう帰って」

 

 表情を曇らせながらもルカは俺達に背を向けた。 

 

 だ、ダメだったか……「それにしても世界の滅亡云々抜きにしても、もう少しルカとは話してみたかったな」

 

「ど、どうして?」

 

「いや、だって普通に可愛いじゃん? 後10年もしたら絶対美人になりそうだったし、今のうちに仲良くなっておくのも良いかなって」  

 

「……ちょうど休憩にする所だったの忘れてたわ。 つ、付いて来て」

 

 んー、でも性格がなー。 ってか断られた今この先どうしていいかわからないな。 とりあえず青蜜が目覚めるまでここで……あれ?。

 

「結衣ちゃん今、ルカなんて言ってた?」

 

 目の前の大きな扉を開けたまま屋敷に入っていくルカの背中を見ながら俺は小さな声で結衣ちゃんに尋ねる。

 

「し、知りません!!」

 

 俺の声の数倍の音量で結衣ちゃんは叫び、ルカに続いて扉の先に進む。

 

 な、何で結衣ちゃんが怒ってるの? それにルカも何で急に?

 ……もし異世界で女心を研究してる人いたら今すぐ俺に教えてくれ。 


 何が起こったかわからなかったが、俺は二人の後を追ってルカ家へ足を踏み入れた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。