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ポンコツなおっさんに今更ながら異世界に召喚されてしまった。  作者: みんみ
ポンコツなおっさんに召喚されてしまった。
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37話 転生したら魔女を狩っていた件


「その中でも特に多いが日本からの転生者じゃ、我を封印したのも元は日本人じゃったしのぅ」


 まぁそうだよな……ってやっぱり異世界に転生する人って本当に居たんだな。

 いいなぁー、もし事故で死んじゃったら俺も転生出来たりしないかなぁ。 

 あっ、その時は勿論この世界以外でお願いします。


「そもそも貴方は何で封印されたのよ? その転生者にちょっかいでも出したの??」


「……良かろう。 我が何故この様な目にあったかを簡単に説明してやる」


 リアは声と身体を震わせながら話を続けた。


「我はな、様々な情報を集め生まれた時から得意であった魔法に関する研究を重ねる事を生き甲斐にしておったんじゃ。 

 それこそが我ら魔女の本分でもあるからのぅ。 

 そしてその研究の最中、我はある大魔法を偶然完成させた。


 それこそが異世界へと転移魔法じゃ!

 この魔法で我は自由に世界と言う壁を越えられる唯一無二の存在になったのじゃ!」


「「「「おー!!」」」」


 おっさんを含めた俺達全員がリアの凄さに驚嘆する。

 

 っておっさんも驚いてるの? リアについては詳しいかと思ったんだけど??


「更にじゃ!! 勢いに乗った我は直ぐにもう一つの大魔法をも完成させるのじゃ!! それが分裂魔法じゃ、この大魔法によって、我は自身の身体と精神を十の器に分けたのじゃ」


 つまり影分身って訳か。 今のリアがこんな幼い見た目をしてるのもこの魔法が影響してそうだな。


「そ、そうした方がより多くの世界を見る事が出来るからね!!」


 目を輝かせた青蜜は興奮しながらリアに尋ねる。 

 まぁ青蜜の好きそうな話だもんな。


「その通りじゃ!! 様々な世界に転移した我の分裂体はそれは良く働いてくれた。 勿論異世界の生態系を壊す訳にはいかないから、ごく僅かな量を誰にも気付かれない範囲で慎重に収集活動をさせていたのじゃ」


 あれ? なんかリアって愉悦の魔女とは思えない程の常識人じゃない??

 しかもかなり優秀そうだし。


「す、凄い魔法じゃない! 貴方天才なのね!!」


「よ、よせ。 天才などではない、運が良かっただけじゃ。 この二つの魔法を作り上げるのもかなり時間がかかったしのぅ。 それに分裂魔法の方は結果的には失敗じゃったからのぅ」


「どうして? 効率的に情報を集める良い素晴らしい魔法だと思うけど??」


「確かにその通りなのじゃが……問題は我の力を綺麗に十の器に分けてしまった所なのじゃよ。 今にして思えば分裂魔法ではなく分身魔法を完成させるべきじゃった」


 リアは悔しそうに下唇を噛む。


「我が全力を出せていれば……あのクソ転生者共にもやられる事はなかったのにっ!」


「転生者……あっ」


 青蜜は何かを悟って声を上げた後、申し訳なさそうにリアから視線を逸らした。


「ふっ、ここまで言えば流石のじゃじゃ馬娘にも伝わった様じゃな……そうじゃ!! ここ最近現れた異世界への転生者が我の分裂体を葬りさったのじゃ! 本体の我以外全員じゃぞ! 揃いも揃って力試しの如く適当にあんな大技ぶっ放しおって! 殆ど巻き込まれて死んでしまったわ!!」


「ま、巻き込まれたって……抵抗はしたんでしょ? 戦ってすらいないの??」


「我が戦う訳にもいかないじゃろ! その世界では我は転移者であり部外者なのじゃ、常にその世界におけるパワーバランスを保つ努力をしておったのだから。

 基本的に我の様な力を持った者の存在は絶対に悟られてはいけない事じゃからな! その世界の常識を覆す事は、図らずとも周りに大きな負担を強いる事になるものじゃ」


 やっぱり、リアって根は本当に良い人なんだろうな……それがどうしてあんなに歪んだんだろう。


「つまり魔女さんは好き勝手に暴れる転生者に自身の分裂体を全て殺されてしまったのですね? だからこそあんなに転生者が嫌いだったと言う訳ですか」

 

 そう言えばそんな事言ってたな、転生者は大嫌いだって。 よく覚えてるな結衣ちゃんも。

 

「確かにそれもあるのぅ。 お主らもあの理不尽な力を喰らう側に立ってみればわかるのじゃよ。 どんな魔法陣も魔法壁も一瞬で破壊されるあの恐怖をな……


 しかも攻撃している本人は最高に腹立つ顔をしているんじゃぞ? 

 惚けた阿呆面を必死に作って、臭い演技で『ふぅー、まぁこんなものか』とかふざけた事言うんじゃぞ? なんじゃそりぁ! 『こんなもの』に巻き込まれた我の気持ちになってみろ! この馬鹿がっ!!」

  

 小さな身体を激しく動かし熱のこもった声でリアが叫ぶ。 

 

「それもあるって事は他にも何か嫌いになる事があったんですか??」

 

 え、結衣ちゃんそこ掘り下げるの? 

 

「勿論じゃ、我が一番腹立つのは、基本的にその後じゃからな」

  

 ……あぁ、またこのパターンか。 異世界転生者批判は2回目だから扱いに困るな……まぁでも今回はリアの気持ちもわかる、俺もそう言う事したいって思ってたし戒めに聞くのも大事かもな。

 

 俺は特に話を遮る事はせずに怒るリアの言葉に耳を傾ける事にした。


 出来るだけ批判の口数が少ない方向でお願いします……後が怖いので。

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