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メロメロにしてあげる。 1

 

 ……はぁー、またか。

 

 ここ最近目を覚ます度に連れて来られているこの空間に俺の口から思わず溜息が出る。

 まぁ実際には目を覚ましてる訳じゃ無いんだけど。



「おはようお兄ちゃん!! どうやらちゃんと眠れたみたいね!!」

 

「……メロ、今日はゆっくり寝かせてくれって言ったよな??」

 

「勿論聞いたわよ?? だからこうして夢の中で会いに来てるじゃん!! 

 現実のお兄ちゃんなら今頃ぐっすり寝てるから安心して」

 

 大きめのYシャツを身に纏いメロは悪びれる様子もなく答える。


「いや、俺は夢に出て来ないでくれって言ったよね?? 今日は本当に疲れたからって!!」

 

「なんで??」

 

「なんでって……普通に体力の限界なんだよ。 みんなが俺に気を遣って色々と優しくしてくれてるのはわかるんだけどさ。 

 いくらなんでもハード過ぎる!! このままじゃマジで死ぬって!!」

 


 朝3時からリアの武勇伝を聞かされ昼は青蜜の料理に夕方はルカとのマラソン、極めつけは結衣ちゃんとのおっぱい評論会!!

 

 なんだこれ、おい!! 俺は一体何をさせられてるんだ!! こんなの新手の拷問だろ。

 


 ……いや、青蜜達に悪気が無いのは俺だってわかってるよ?? 

 勇者とのいざこざが終わってから、みんなが俺がおっさんと過ごした夏休みに同情してくれた結果こうなってるのは知ってるし。

 

 でもさ、流石にきついのよ。 最近はおっさんと過ごしてた時間の方が楽しかった気さえしてきてるもん。

 


「……ふぅーん、じゃあ今日は私とは遊べないって事??」

 

「えっ?? あぁ、出来ればそうして貰えると助かるんだけど」

 

「そう、残念だけどお兄ちゃんがそう言うなら仕方ないか」

 

 俺の心情を察してくれたのかメロは優しい声で呟く。

 


 メロっ!! 俺、お前の事誤解してたわ!! ただのわがままなメスガキだと思ってたけど俺の辛い気持ちに気づいてくれるなんて流石は一国の王女様だよ。 

 

「あ、ありがとうなメロ。 じゃあ今日はこれでっ」

 

「あーあ、今日はいつもと違ってちょっと特別な事をしようと思ってたんだけどなぁー」

 

 俺の言葉を遮ってメロはわざとらしく声を張った。

 


「と、特別な事??」

 

「あれぇ?? お兄ちゃん寝るんじゃなかったの??」

 

「……まぁ話を聞くくらいの余裕はあるからな」

 

 こ、このまま眠りにつくのはメロにも悪いしな、うん、せめて話だけでも聞いてあげようかな。

 あくまで話だけな??

 

「へぇー、そうなんだ。 じゃあせ折角だし教えてあげようかな」

 

 小馬鹿にする様に頬を緩めてメロは話を続ける。

 

「お兄ちゃん、いつも私とのゲームに負けるじゃない?? 私なりに原因を考えてみたんだよね」

 

「原因?? そんなの普通にメロが上手いからだろ??」

 

「そんな事ないわ、私とお兄ちゃんのゲームの腕に目に見える差なんて無いもん。 あるのはモチベーションの差なのよ!! やる気の問題ね」

 

「やる気?? どう言う意味だ??」

 

「私は日本のゲームが大好きだけどお兄ちゃんはそこまでじゃないでしょ?? だから本気になれないのよ。 きっと気付かないうちに手加減してるのね」

 

「そうかぁ?? 別にそんなつもりは無いけどな」

 

 まぁ言われてみれば本気って訳でも無いかもな。

 そもそもメロが夢の中にまで来て俺と一緒にやりたい事がテレビゲームって時点で少し気が抜けてる所はあるしな。

 

「でもそれがどうしたんだ?? いつも通りゲームをするだけなら何も特別な事なんて無いだろ??」

 

「ふふん、大事なのはここからよ。 私は楽しくゲームするのも好きだけど本気でやるのはもっと好きなの。 

 そこで考えたのがお兄ちゃんのやる気を最大限出す為には何をすれば良いかって事なの」


「俺を本気に?? ゲームで?? ははっ、残念だけどそれは難しいかもな。 

 メロの言う通り俺はそこまでゲームに愛着もないし、勝っても負けてもどうでも良いって感じだからな」

 

 特別な事って言うから何かと思ったけど要するにメロは真剣勝負がしたかったんだな。 

 ふふ、王女様とは言えやっぱりまだまだ子供だな。 

 しょうがない、急には無理かもだけど俺も次からは出来るだけ真剣にゲームと向き合っ。

 


「お兄ちゃんが勝ったら私の身体を好きにして良いって言ったら??」

 

「……今なんて??」

 

 メロの方を見つめて、俺は今しがた聞こえた言葉が幻聴じゃない事を再確認した。

 


「もしもお兄ちゃんが勝ったら私の身体を好きに使って良いよ」

 

「す、好きに使って良いとは??」

 

「言葉通りなんでも有りよ。 どんなハードな内容でも受け止めてあげるんだから。

 それでお兄ちゃんが本気になってくれるなら安いものだもん」

 

「は、ハードな内容って……」

 

「ふふっ、あんな事やこんな事、お兄ちゃんが望む事なら何をしたって良いんだから。

 まぁ、とは言っても弱いお兄ちゃんが私に勝つなんて一生無理だと思うけどね」

 


 着ていたシャツを第2ボタンまで外しメロは妖艶な声でそう囁いた。

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